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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


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第3部 第14話『孤独な太陽と冷たい星(前編)』

【前回のあらすじ】

中部セクターで合流したグリムたちは、シグマスーツの残滓に侵されていたレクス、セイジ、アシュレイをグリムの白炎で完全に浄化。過去と決別し、それぞれの思いを胸にカイとの最終決戦に挑むことを決意する。魔王とレッドの面々は、武器もスーツもない生身のまま、カイが待つ最上層へとEVで向かうのだった。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 EVの扉が、開いた。


 轟音もない。警報もない。


 ただ——静寂が、そこにあった。


 ライガは一歩、踏み出した。


 損傷したスーツの各所から熱い蒸気が漏れ出し、白く立ち上っていく。赤いスカーフが、風もないのに微かに揺れた。


 最上層——統合中枢コア。


 四方はガラス張りで、ノクタリアの夜空が広がっていた。管理都市の白とグレーに塗りつぶされた街並みが、遥か眼下に広がっている。無数の光ファイバーが走るモニター群が壁面を埋め尽くし、青白い光が空間全体を冷たく染めていた。


 広大な円形の空間。


 その中心に——玉座があった。


 無骨な鉄と白銀で作られた、無駄のない椅子。その背もたれの向こうには、無数のモニターが青白く輝いている。


 カイ・レグリオは、そこに座っていた。


 白のロングコート。金色の刺繍。足を組み、頬杖をつき——まるで全てを知った上で、全てを待っていたような姿勢で。


 扉が開いた音を聞いても、立ち上がらない。振り返りもしない。


 ただ——口元が、かすかに動いた。


「……来たな、ライガ」


 穏やかな声だった。


 怒りでも敵意でもない。まるで——長い旅の果てに、会いたかった人間と再会したような声だった。


 ライガは立ち止まらなかった。


 一歩、また一歩と、玉座へ向かって歩いた。


 損傷したブーツが、鉄の床を踏む音だけが響く。


「ああ」


 ライガは答えた。


「来たよ、カイ」


 沈黙。


 カイはようやく、顔だけをライガへ向けた。


 その瞳は冷たく、しかしどこか——飢えていた。


「セイジも、レクスも、アシュレイも……全て機能停止か」


「あいつらは今、自分の足で立ってる」


「……そうか」


 カイは静かに言った。


「計算外だ。だが——それが何だというんだ。この計画の前では、些末なことに過ぎない」


「お前はそう言い続けてきた」


 ライガは足を止めた。


 二人の距離は、あと十メートルほどだ。


「でも俺には分かる。お前が今——計算通りじゃないことが起きてると、感じてるはずだ」


 カイの眉が、かすかに動いた。


「……買いかぶりだ」


「違う」


 ライガの声が、低く、しかし真っ直ぐに響いた。


「カイ。要塞でお前が言ってた言葉、ずっと覚えてる。『あの日、私が何を失い、何を託されたか』——あの時、俺にはその意味が分からなかった」


 カイは何も言わなかった。


「今もわからない。だから聞きに来た」


 玉座の上で、カイの手が——ほんの少しだけ、強く握られた。


「……不要な話だ」


「不要じゃない」


「……」


「お前が何を背負ってるか——それを知らずに、お前を止めることはできない」


 カイは長い沈黙の後、静かに言った。


「……止める、か」


 その唇が、かすかに歪んだ。


「何度会っても、君は変わらないな。ライガ」


「お前こそ変わってない」


 ライガは動じなかった。


「昔から——全部一人で抱えて、一人で決めようとする。誰にも頼らずに」


「それの何がいけない」


「寂しいだろ」


 カイの動きが、止まった。


 コンマ数秒だけ。だが確かに——止まった。


「……不要な感情だ」


「不要じゃない」


 ライガはもう一歩、前に出た。


「お前がそこまで追い詰められて、それでも一人で全部やろうとするのは——誰かへの、誓いじゃないのか」


 カイの瞳が、揺れた。


 深い、深い場所で。


「……何を根拠に」


「勘だ」


 ライガはまっすぐカイを見た。


「お前のことは長い付き合いだからな。効率とか管理とか、そういう言葉の裏に——いつも誰かの顔があった。俺にはそれが、誰なのかわからなかったけど」


 カイは、ライガを見ていた。


 頬杖をついたまま。玉座に座ったまま。


 だが——その瞳の奥が、揺らいでいた。


 やがてカイは、静かに口を開いた。


「……彼女は、私の唯一の理解者だった」


 声は、いつもより低かった。


「孤独な施設の中で、私の言葉を笑わず、全て肯定してくれた。世界が私をノイズと呼んだ時も、彼女だけが『君は正しい』と言い続けた」


「……」


「だが私は——彼女よりも、大きな理想を選んだ。世界を管理するというシステムの設計者になることを選んだ瞬間、彼女は消えた」


 カイの声に、ほんの僅かな——ひびが入った。


「自ら、去っていった。私が彼女を必要としなくなったから」


「カイ……」


「だから——この計画は、私にとって後戻りのできない誓いだ」


 カイは立ち上がった。


 ゆっくりと。しかし確かな重さを持って。


「彼女を失ってまで選んだ道が、間違いであってはならない。この計画を完遂することが——彼女への、唯一の答えだ」


「それは違う」


 ライガは即座に言った。


「違わない」


「お前を全肯定してくれた人間が——世界を支配しろって、望むと思うか」


 カイが、止まった。


「お前のことを全部受け入れてくれた人間なら——お前に笑っていてほしかっただけじゃないのか。世界を管理することより、お前自身が」


 カイの瞳が、また深いところで揺れた。


「……うるさい」


「カイ」


「うるさいと言っている」


 カイの腕にあるサング(変身ブレス)に、手がかかった。


 声は、また元の冷たさを取り戻していた。


「決定事項だ。……君を止めるものは何もない」


 サング(変身ブレス)が起動する。


「ジャスティスチェンジ!!」


 白銀の閃光がカイの全身を包んだ。


 光が収まった時——ユナイトレッドが、静かにバーニングレッドを見下ろした。


 プラチナシルバーの装甲。幾何学的な白いライン。十字架を模した細いバイザー。額に蒼く輝くセンサー。腰の白いコートテイル。そして背中に——光の翼が、ゆっくりと展開された。


「さあ。……かかってきたまえ、ライガ」


 右手に光の長剣が生成される。


 バーニングレッドは——拳を握った。


 損傷したスーツの各所から、熱い蒸気が噴き出している。エネルギーは底をつきかけている。


 それでも——ブラウンの瞳は、揺れていなかった。


「お前の答えは聞いた」


 ライガは踏み込んだ。


「俺の答えを——今から見せる」


「うおおおおおおッ!!」


 バーニングレッドが咆哮と共に、ユナイトレッドへ向かって突進した。


 ユナイトレッドは光の翼を広げ、静かに浮き上がる。


「《重力崩壊グラビティ・コラプス》」


 重力が歪む。バーニングレッドの足元が逆転し、ガラス張りの天井へと叩きつけられた。


 ガンッ!!


「ぐ……ッ!!」


 眼下にノクタリアの街が広がっている。遥か下に、管理都市の白とグレーが広がっていた。


 ライガは天井を蹴り返し、体勢を立て直す。


 スーツの排熱ダクトが唸りを上げる。エネルギーが、最後の火花を散らすように燃えている。


「まだか」


 ユナイトレッドが、静かに浮かんだままライガを見下ろした。


「エネルギーは尽きかけている。スーツも損傷している。……それでも向かってくるのか」


「当たり前だろ」


 ライガは口の端の血を拭い、拳を構えた。


「お前を止めるって言った。それだけだ」


 ユナイトレッドの光の翼が、大きく広がった。


「では——」


 光の長剣が、構えられる。


「証明してみせろ。限界を超えた君が、私に届くというなら」


 ライガは走った。


 傷だらけの、限界を超えたスーツで。


 ユナイトレッドの光の剣が、鋭く振り下ろされた。


 バーニングレッドはそれを——右腕一本で受け止めた。


 ジュウウウッ!!


「が、ァ……ッ!!」


 スーツの装甲が焼ける。右腕のガントレットに亀裂が走る。


 だが——ライガは退かない。


 受け止めた腕を軸に、強引に距離を詰める。


「《爆熱剛拳バーニング・ナックル》!!」


 排熱ダクトから最後のエネルギーを絞り出し、右拳を叩き込む。


 ドォォォンッ!!


 ユナイトレッドの胸部装甲に、確かな衝撃が走った。


 ユナイトレッドが——後退した。


 わずか一歩だけ。だが確かに、後退した。


「……ッ」


 バイザーの奥の瞳が、揺れた。


「限界を超えて……なお……」


「まだまだだな、カイ」


 ライガは焼けた右腕を抱えながら、笑った。


 ボロボロで、血だらけで——それでも真っ直ぐに笑った。


「俺はここにいる。お前の計算通りにはならない。そういう意味だ」


 ユナイトレッドの光の翼が、再び大きく広がった。


 その動きに、かつてよりも——わずかな、怒りが滲んでいた。


(第15話へ続く)

ここまでお読みいただきありがとうございます!


今回は、いよいよライガとカイ、二人の因縁がぶつかり合う場面が描かれました。カイの口から語られた過去と、その根底にある「誓い」。そして、それに対してライガが投げかける「寂しいだろ」という真っ直ぐな言葉。それぞれの想いが交錯し、ついに変身して激突する二人の姿は、いかがでしたでしょうか。


物語も佳境に入り、ライガとカイの戦いは、果たしてどのような結末を迎えるのか。そして、カイが背負う「誓い」とは一体何だったのか。ぜひ、今後の展開にもご期待いただければ幸いです。


面白いと感じていただけましたら、ぜひ下の★★★★★から評価をいただけると、今後の執筆の大きな励みになります!ブックマークや感想なども、心よりお待ちしております!

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