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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


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第3部 第13話『灰の中から、もう一度』

【前回のあらすじ】

ネビュロスは、システムに支配された参号機ジャッジの中に、かすかに残る人間性を見抜く。激戦の末、ネビュロスはシステムを打ち破り、その中からレクス・クレイドを解放する。傷だらけで倒れたレクスに、ネビュロスは「まだ終わっていない」と告げ、戦いは次の局面へ向かう。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 ドォォォォンッ!!


 凄まじいGと共に、グリムとアシュレイを乗せたプラットフォームが中部セクターへ突入した。


 断裂したケーブルが火花を散らし、床に叩きつけられた衝撃がセクター全体を揺るがした。


「っぶねぇ……! ポルクのやつ、いっつも加減ってもんを知らんのか!!」


 グリムが悪態をつきながら立ち上がる。


 その視線が、白い霜に覆われたプラットフォームの床を捉えた。


 散らばる黄金の装甲の残骸。蒸発した黒い液体金属の跡。そしてその中心に、一人の大きな男が横たわっていた。


 傍らに、蒼銀の甲冑を纏ったネビュロスが立っている。


「……終わったか」


「ああ。終わった」


 グリムとネビュロスは短く目を合わせた。それだけで十分だった。


 グリムは床のレクスへ近づいた。


 レクス・クレイドはゆっくりと顔を上げた。黄金の鎧は剥がれ落ちているが——よく見れば、装甲の継ぎ目に、まだ黒い液体金属の名残が張り付いていた。シグマスーツの残滓だ。完全には排除されていない。


 グリムはそれを一目見て、すぐに気づいた。


「……まだ残っとるな」


 レクスが眉をひそめた。


「何が」


「そのスーツの名残や。自我は戻っとるかもしれんけど、まだ完全に切れてへん」


 ネビュロスが静かに補足した。


「私の《凍滅零界ゼロ・アブソリュート》でシステムの接続は断ち切った。だが——シグマスーツそのものの残滓を排除するには至らなかった。もし再接続されれば……」


「また飲み込まれる、ってことか」


「そういうことだ」


 その時、頭上から重低音が響いた。


 上昇セクターのプラットフォームが、ポルクのハッキングによって下降を始めていた。軋む鉄の音と共に、プラットフォームごと中部セクターへ合流する。


 ヴェルミリオンだ。《真・魔導外殻トゥルー・マギア・シェル》の翅を静かに畳みながら降り立つ。その傍らには、生身のセイジがよろめきながら立っていた。


 グリムはセイジをひと目見て、同じものを見つけた。


 セイジの首筋から肩にかけて、黒い筋が幾本か走っていた。シグマスーツの残滓が、皮膚の下に張り付いたまま残っている。


「……お前もや」


 セイジは自分の首筋に触れた。


「……わかっている。ヴェルミリオンの攻撃で自我は戻った。だが完全に排除されたわけではない、と」


「そや」


 グリムは右手を開いた。


 指先から、静かに白い炎が灯る。


 怒りの赤黒い炎ではない。守る意志から生まれる、清冽な白炎。


「これで焼き切る。痛いかもしれんけど——我慢せえ」


 レクスがグリムを見た。


「……貴様の炎で、か」


「嫌か」


 レクスは少しの間、黙っていた。


 それから——首を横に振った。


「……頼む」


 グリムはレクスの胸板に、静かに右手を当てた。


「《白炎断滅ソウル・イグニション》」


 白炎がレクスの全身を包む。


 アシュレイの時のような爆発的な奔流ではない。静かに、しかし確実に、装甲の残滓を内側から焼き払っていく。


 レクスの体から、黒い煙が薄く立ち上った。


 シグマスーツの名残が、蒸発するように消えていく。


「……ぐ、ぅ……ッ」


 レクスが歯を食いしばる。痛みをこらえながら、それでも倒れなかった。


 白炎が収まった。


 レクスの全身から、黒いものが消えていた。


 グリムは次にセイジへ向いた。


「お前もや。覚悟しとけ」


 セイジはグリムを真っ直ぐに見た。


「……頼む」


 グリムが右手をセイジの肩に当てた瞬間、ヴェルミリオンがくすりと笑った。


「おやおや。魔王が人間を浄化するなんて、随分と奇妙な絵だねぇ」


「うるさいわ」


「褒めてるんだよ」


 《白炎断滅ソウル・イグニション》。


 白炎がセイジを包む。


 セイジは声を上げなかった。ただ、白い光の中で目を閉じていた。


 やがて炎が収まり、セイジの首筋の黒い筋が完全に消えた。


 セイジはゆっくりと目を開けた。


「……これが、お前の力か」


「なんや」


「以前、私はお前の炎を『非効率な感情の産物』だと思っていた」


「今は?」


 セイジは少しの間、黙った。


「……今は、そう思わない」


 グリムは鼻を鳴らした。


「そら良かったわ」


 アシュレイが壁から背を離し、グリムの前に立った。


 かつてのギラついた目ではない。虚勢もない。ただ——真っ直ぐな目だった。


「……なあ、グリム。俺、あの中で怖かった。自分が自分じゃなくなっていくのが。……でもお前の声が聞こえた。拳が届いた」


「……」


「ありがとな」


 グリムはしばらく黙っていた。


 それから、盛大に顔をしかめた。


「……キモいわそういうの。鳥肌立つやろ」


「うるせぇ! 素直に受け取れよ!!」


「受け取っとるわ! 口に出すなっちゅーねん!!」


 怒鳴り合いながら、二人の間に確かな熱が灯った。


 その様子を、ヴェルミリオンが静かに見ていた。


 そしてセイジに視線を向けた。


「……君は以前、感情を『バグ』と呼んでいたね」


「ああ」


「鏡の中で、自分の顔を見た。……どうだった」


 セイジは少しの間、黙った。


「……怖かった。自分が切り捨ててきたものが、全部そこにあった」


「そうだよ」


 ヴェルミリオンは静かに言った。


「それが生きているということだよ、セイジ。怖いと感じられる、それだけでもう——君はバグじゃない」


 セイジは何も言わなかった。


 だが、目を逸らさなかった。


 一方、レクスはネビュロスの前に立っていた。


「……お前は、なぜ俺を引き出そうとした」


「グリムが言っていた。あの男が珍しく神妙な顔で——『まだ中にいると思う』と」


 レクスの目が、微かに揺れた。


「……グリムが」


「ああ。だから確かめた。それだけだ」


 レクスは深く息をついた。


「……俺は長い間、自分の判断から逃げていた。カイに与えられたマニュアルに縋り続けた」


「知っている」


「もう逃げない。自分の言葉で——カイに向き合う」


 ネビュロスはレクスをひと睨みした。


「ならば立て。膝が震えていても、自分の足で立て」


 レクスは立ち上がった。


 セイジも立った。アシュレイも壁を蹴って立った。


 グリムが六人を見渡した。


 魔王三人。そして今度こそ完全に生身になったレッド三人。


《変身ブレス》のエネルギーも尽きている。武器も、スーツも、もう何もない。


 それでも——六人全員の目に、消えない光があった。


「……行くぞ。ライガを一人にしすぎた」


 六人はEVへ向かった。


 扉が閉まる。上昇が始まる。


 狭い箱の中に、沈黙が満ちた。


「……カイって、ほんまのとこどんなやつやねん」


 グリムがぽつりと言った。


「執着の男だ」


 ネビュロスが答えた。


「ライガを自分のシステムの最後のピースだと思っている。同時に——自分にはないものを持つライガを、どこかで羨んでいる」


「歪んでいるものは、一点に力が集中すると折れる」


 ヴェルミリオンが続けた。


「感情のない相手より、崩れる時は脆い。……それがカイという男だよ」


 グリムは拳を握った。


「ほな——崩したるわ」


 アシュレイが、ぽつりと言った。


「……俺ら、生身で何ができるんだろな」


「そこに立っていろ」


 グリムが即答した。


「それだけでカイの計算は狂う。廃棄したはずの部品が、自分の足で立っとる。それだけで十分や」


 レクスが静かに続けた。


「俺には——自分の言葉でカイに言いたいことがある」


「私もだ」とセイジ。


 アシュレイは少しの間、黙っていた。


 それから、静かな本物の顔で言った。


「……俺はただ、そこに立ってるだけでいい。それだけで十分だろ」


 グリムは何も言わなかった。


 ただ、前を向いた。


 EVが、最上層へ向かって上昇を続ける。


(第14話へ続く)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


今回のお話では、シグマスーツの呪縛から解き放たれ、それぞれが新たな一歩を踏み出すレクス、セイジ、そしてアシュレイの「再生」を描きました。特にグリムの「白炎断滅」は、敵を打ち砕く怒りの炎ではなく、内なる闇を浄化し、傷ついた魂を救い出す「守護の炎」として表現できたかと思います。ヴェルミリオンの「魔王が人間を浄化するなんて」というセリフは、グリム自身の変化、そして彼が仲間たちに与える影響を象徴するものでした。


自分の弱さや恐れと向き合い、仲間たちの助けを得て立ち上がった彼らが、カイにどう向き合っていくのか。その行く末を、ぜひ引き続き見守っていただけると嬉しいです。


面白い!と思っていただけましたら、ぜひ下の★★★★★から評価をお願いします!

ブックマークやご感想も、執筆の大きな励みになりますので、お気軽にいただけると嬉しいです!

次回の更新も、どうぞお楽しみに!

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