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アンチジャスティス -魔王戦隊ダークトリニティ-  作者: DD22


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第2部 第15話『赤き絶唱、魂の咆哮(前編)』

【前回のあらすじ】

墜落した要塞跡で、ジャッジレッドことレクスは、過去のトラウマからマニュアルに縋り付いていた。彼は食料を盗もうとした老人と子供を犯罪者とみなし、見殺しにしようとする。その場に現れたグリムは、レクスの歪んだ正義を否定し、鉄拳で彼の目を覚まそうとする。泥水に倒れ込んだレクスは、初めて自分の過ちと向き合い始めるのだった。

※本作品の執筆にはAIを活用しています。


 黄金の装甲が泥にまみれ、誇り高き「法の番人」の仮面はグリムの拳によって無残に歪んでいた。

 レクス・クレイドは、泥水の冷たさに震えながら、自分が踏み潰した缶詰の残骸を凝視していた。

「……私は……何を……」

 自らの口から漏れた声は、システムを通さない、一人の弱く怯えた男の震え声だった。


「……勝手にしぃ。自分の足で立てへん奴に、俺が言えることはもうあらへん」


 グリムはレクスに背を向け、吐き捨てるように言った。

 その足取りは、先ほどまでの勢いを感じさせないほどに重い。

 グリムの身体は、限界をとうに越えていた。

 空中要塞ジャッジメントの墜落という地獄の中、爆発する動力炉からライガ(バーニングレッド)を身を挺して庇い続けた代償は、彼の魔導外殻マギア・シェルをボロボロに砕き、全身を赤黒い火傷と打撲で覆い尽くしていた。

 右腕を吊るした包帯は乾く暇もなく血に染まり、一呼吸ごとに折れた肋骨が肺を刺すような激痛が走る。


 だが、グリムの足は止まらない。

 森の奥から、異様な熱気と、木々が焼け落ちる音が近づいてきていたからだ。


「……ッ、チッ。あいつ、また暴れとるんか」


          *


「走れ! 追いつかれるよ!」


 焦げ臭い森の中を、ヴェルミリオンが駆ける。

 その手には、戦意を喪失したアシュレイ(ブレイズ)の腕が掴まれていた。

 アシュレイは足をもつれさせながら、何度も後ろを振り返る。その顔は恐怖で引きつっていた。


「嘘だ……あんなの、バーニングじゃねぇ……!」


 彼らの背後から、灼熱の津波が迫ってくる。

 木々が一瞬で炭化し、地面がドロドロに溶ける。

 その熱源の中心に、ゆらりと歩く「影」があった。


「ガ……ァ……」


 真紅のスーツは高熱で融解し、装甲の隙間からはマグマのような光が漏れ出している。

 バイザーが砕け、剥き出しになった右目は、システムの処理ログのように不気味に明滅していた。

 それは戦士ではない。制御を失い、炉心が剥き出しになった歩く焼却炉だった。


「ハイジョ……対象……ハイジョ……」


 ライガが右腕を振るう。

 圧縮された熱波が鎌鼬のように飛び、ヴェルミリオンたちの背後の大木を薙ぎ払う。

 倒木が炎を上げながら降ってくる。


「くっ、ここまでか……!」


 ヴェルミリオンが幻術で防ごうとした、その時。


 ドゴォォォォン!!


 横合いから飛び出した黒い影が、炎の倒木を蹴り飛ばした。


「伏せろアホんだらぁッ!!」


 グリムだ。

 彼は着地の勢いを殺さず、そのままライガとの間に立ちはだかる。


「グリム!?」

「遅かったねぇ、主役の登場かい?」


「うるさいわ! ……おいライガ! ええ加減にせえ!」


 グリムが叫ぶ。

 だが、ライガの虚ろな瞳は、グリムを「新たな障害物」として認識しただけだった。


「障害……カクニン……」


 ドォン!!


 ライガがスラスターを噴かし、音速で距離を詰める。

 融解しかけた拳が、グリムの顔面を襲う。


「ぐ、ッ……!!」


 グリムは左腕一本でそれを受け止める。

 皮膚が焦げる音。骨がきしむ音。

 圧倒的な熱量が、防壁の上からグリムの体力を削り取る。


「ハァ……ハァ……! 相変わらず馬鹿力やな……!」


 グリムは膝をつきそうになるのを堪え、ライガを睨みつけた。

 至近距離で見る友の顔は、苦痛とシステムエラーで歪んでいた。

 右目の明滅が、助けを求める信号のように見える。


「……ヴェルミリオン! そのボケナス連れて下がっとけ!」

 グリムが背中で叫ぶ。

「こいつの相手は、俺がする」


「正気かい? 君の身体、もうボロボロじゃないか。

 今のあいつは化け物だ。触れば溶けるよ」


「知るか! 化け物やろうが何だろうが……」


 グリムは拳を握りしめ、赤黒い炎を灯す。


「俺が連れて帰るって言うたんや。

 ……ここで見捨てたら、俺は一生、自分を許せへん!」


 その言葉に、アシュレイがハッと顔を上げた。

 自分はリーダーを見捨てて逃げようとした。

 だが、この「悪」と呼ばれた男は、命を懸けて立ち向かおうとしている。

 その対比が、アシュレイの心をさらにえぐる。


「……好きにしなよ。死んでも知らないからね」

 ヴェルミリオンはアシュレイを引きずり、後退した。


 燃え盛る森の中。

 残されたのは、二人の赤き戦士。


「来いよ、ポンコツ。

 ……その腐った性根、俺がへし折ってやるわ!!」


 グリムが咆哮し、ライガが応えるように熱波を放つ。

 満身創痍の魔王と、壊れた英雄。

 絶望的な死闘が、幕を開けた。


(第16話へ続く)

皆様、今回も作品をお読みいただきありがとうございます!


今回は、満身創痍のグリムが、暴走するライガに一人で立ち向かうという、胸が熱くなる展開となりました。グリムの「俺が連れて帰る」という言葉に、彼のライガへの強い思いと覚悟が詰まっていると感じていただけたでしょうか。また、ライガの圧倒的な破壊力と、それを目の当たりにしたアシュレイの心の動きにも注目していただけたら幸いです。

第16話で二人の死闘がどう展開するのか、ぜひご期待ください!


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