表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/198

10 .バイオレット、勘違いする

「ちょっと待ってよー……」


アイビーから返ってきた手紙を読んで、バイオレットは盛大に項垂れた。

侍女は下がらせているので、ソファの上で胡座をかいたまま横に倒れたのだ。


どういうことなの?

アイビーとカディスの出会いは、どう考えてもゲームでカディスとエーリカが出会う設定そのままじゃない。


もしかして、アイビーって子も転生者でカディスを狙ったとか?

それとも、アイビーと同じように出会うからエーリカに親切にするっていう設定だったのかな?


えー、どっちだろう?


アイビーと同じように出会うからなら、アイビーとエーリカを比較するシナリオがゲームにあってもよかったと思うけどなぁ。

そっちの方が攻略している感が出るし、攻略相手の切ない過去って壁になりがちなんだけどなぁ


だったら、やっぱりアイビーは転生者でカディスを狙ったってことだろうな。


読んでいた手紙をもう1度読み返して、大きなため息を吐き出した。


うん、絶対にそうだわ。

じゃないと、こんなにもカディスを好きアピールしてこないよね。


それに、カディスがめちゃくちゃ優しいってことは、順調にカディスのツボをおさえて攻略しているってことだし。


だって、これが本当に婚約破棄か死に別れだったら、絶対にゲームで「前公爵令嬢との決別」みたいなスチル付きイベントが発生するはずだもんね。


カディスが泣きながらエーリカを抱きしめるか、エーリカが泣いているカディスを抱きしめるか、そしてそのままキスをするみたいな。


どっちが萌えるだろうなぁ。

ルートによって違うとかも有りだなぁ。

あー、カディスって本当に最高だわ。


妄想でテンションが上がり、体を起こして胡座をかき、ローテーブルの上に置かれている数枚の姿絵に視線を移した。


小さい頃のカディスって、本当に可愛い!

生で見たい! ツルツルだろう肌を触りたい!


あー、もー! どうして隣国なのよ!

アイビーって子と同じように、カディスと同じ国なら迷子シュチュは私がしたのに!


まぁ、カディスが惚れたのも分かるほど、アイビーはめちゃくちゃ可愛いんだけどね。

マジでいいなぁ。私も美人顔より守ってあげたい顔がよかった。


というか、隣国の顔の偏差値ヤバい。

高位貴族の子供たちの姿絵を一通り送ってもらったけど、誰もが、いや、ダフニって子以外はレベルが違う。

主人公のエーリカでさえ勝てないと思う。


個人情報も読んでみたけど、乙女ゲームでありそうなキャラ設定だった。

もしカディスが隠れ攻略者じゃなくて続編のゲームの攻略者だった場合、このダフニって子が主人公の立ち位置だよね。

珍しい精霊魔法が使えるかもしれなくて、義理の姉には虐められててさ。


でも、本当に主人公になれるなら、瞳の色はスペクトラム公爵家のルビーレッドだろうから、ワインレッド色のこの子は無理だろうな。

ポテンシャルが足りないもの。

攻略者も足りないから妄想が捗らないわ。


まっ、妄想が捗らない最大の理由は、ラシャンなんだけどね。

アイビーの兄であるラシャンが、カディスよりもドストライクなのよ!

なんて綺麗なんだろう。

一生眺めてられる。


カディスに求婚する前に知っていたら、ラシャンの方に狙いを定めたのに。

だって、公爵令息でこの顔なら、攻略者じゃなくても最高の物件だと思うのよね。


今すぐラシャンに求婚を申し込んだら怪しまれて断られそうだし……カディスの周りの人に次から次へと接触するのは不気味がられて印象悪いだろうし……


本当にしくった。

時を戻せるなら巻き戻したい!


あ、でも待って!

アイビーと仲良くなって、紹介してもらえばいいんじゃない!?

我が家に遊びに来てほしいって招待したら、まだ子供のアイビーを1人で来させないと思うのよね。

仲がいいらしいから、ラシャンはきっとついてくる。


いいじゃん! いいじゃん!

そうと決まれば、早急にアイビーと仲良くならなきゃ。


うんうん、そうだよ!

もしもの時にカディスに助けてもらうにしても、アイビーの友達だったら助けてくれるんじゃない!

アイビーにお願いしたら、カディスに協力を求めてくれるよね!


やったー! 道が開ける!


手紙だけでこっちに来てもらえるほど、どうやって仲良くなるかだよね。

難しいな……あ! 転生者仲間だもんね!

前世の話したら絶対に仲良くなれる!


でも、転生者ですよね? って聞くと警戒されそうだしなぁ。

匂わせて「もしかして?」って思わせないと無理か。


ふふ、ラシャンを手に入れるために頑張ろう。

あの綺麗な顔は、私のものよ。






いいねやブックマーク登録、誤字報告、ありがとうございます。

読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ