【第十七話、前編です】
「ね、真白ちゃん。ここから出たいよね、できれば一刻も早くって感じ?」
晶都くんの顔で、いつもの様に笑う佑都。
不気味です。
体が冷気にあてられ冷えたせいだけではなく、掴み所のない恐怖に小さく震えます。
そんなわたしを見て、佑都はゆったりと微笑みます。
「この場所ね、そうとう見つかりづらいんだ。
だからこそ今までずっと遺体が見つからなかったわけだけど。
この部屋、誰の部屋かわかる?」
「・・・一々くどいですね。そんな解るはずもないことを聞くなんて。」
ふふっといつものように上品に笑った。
この異様な状況でいつもどおりというのがまた、不気味さに拍車をかけている。
解ってやっているのなら質が悪い。
彼はへたり込んだ私に視線を合わせるように膝をついた。
「ここね、莉都の用意した部屋なんだよ。」
「・・・・は?」
「だからね、莉都が用意した部屋なんだよ。莉都、自分大好きだから。
ほら、目元とか、俺と莉都、そっくりでしょ。」
意味がわかりません。
本当に、意味がわからない。
この幽霊は、殺されたから幽霊になったわけで・・・殺された、わけで。
遺体は当然、遺族の手で埋葬されるはずであって。
なぜその埋葬されるはずの遺体がそのままで、ここにあるのかといえば、今彼がその理由を、言ったわけで。
遺体をどうこうできるかなんて、家族にしかできないわけで・・・。
ぐっ、と吐き気をこらえる。
あぁ、気持ちが悪いです。気味が悪いです。
自分の容姿が好きで、自分の容姿に似ている家族の遺体を、埋葬もせず部屋に飾るなんて。
「狂ってる・・・。」
「うん?そうだよねぇ、そう思うよねぇ。」
また、楽しげに笑った。
あぁこの悪霊は、本当に何がしたいんでしょうね。




