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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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バレた

人間って、不思議なもので


少しでも痩せると——


もっと痩せたい、と思うようになる

それは、私も例外じゃなかった。


理由は分からない。


でも、人生で初めて

7キロも体重が落ちた。


——もっと、痩せてみたい


そう思うようになっていた。


とはいえ

なぜ痩せたのかが分からない。


だったら、もう

手探りでやるしかない。


当時は、まだガラケーの時代だった。


検索するだけでも通信費がかかる。


今みたいに

気軽に調べられる環境じゃない。


インターネットをフル活用

なんてこともできなかった。


そんなある日。


彼とご飯を食べているとき

メニューを見ながら

思わず顔をしかめていたらしい。


「どうかしたの?

 仕事でなんかあった?」


「めっちゃ顔怖いよ?」


そう言われて


「え?ううん?

 何食べようかな~って」


咄嗟に、そう答えた。


本当は、ダイエットしたいから

カロリーの少ないものを探していた。


今ならば、普通に言える。


「ダイエットしてるからさ、

 カロリー低いの探してるんだよね」と。


でも、当時は

ダイエットしてるって言って

気を使わせたくなくて

素直に言えずにいた。


そして、もう一つ。

気恥ずかしいとでも言うのか…

そんな感じだった。


結局、食欲にも勝てず

いつも通りの定食を頼んだ。


(……結局、恋愛脳より

 食欲が勝つんだよな)


それからも


特に食生活を変えることなく

いつも通りの日々が過ぎていった。


でも——


体重は、それ以上減ることはなかった。


ずっと同じ数字のまま。


今思えば、あれはきっと


〘停滞期〙


だったのだと思う。


それまで、痩せたいなんて

思ったことはなかったのに

なぜか、そのときは

妙に、焦っていた。


せっかく落ちたのに

ここで止まるのも

戻るのも嫌だ。


——もっと、痩せたい。


そんな気持ちが

少しずつ強くなっていった。


とはいえ

彼には、ダイエットしているとは言えない。


だから


「お腹空いてない」


そう言ってみたりする。


でも——

長年のクセというか…


食べ物への執着は

簡単には消えてくれない。


彼が食べているものを

じーーっと血走った目で見てしまったり


気づけば

口をパカーン…と開けたまま

見つめていたりしていた、らしい。


(……いや、やめろ

 ダメだって)


自分でも、そう思う。


でも、止められない。


そんなことを繰り返していた、ある日。


ついに、彼が口を開いた。


「……もしかして」


一瞬、間があって


「ダイエットしてる?」


あー…バレた。

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