第92話 ポクシラージ
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『?・・、あれ?、どうしたんすか?』
アンダルシアの進化は無事終了したようだ。同時に起きたのか、こちらを見て戸惑っている。
一際体が輝いたと思ったら、その体が徐々に大きくなり始めた。その状態が数分過ぎたところで光が収まり、全体の姿が現れた。
ポニーと同じくらいの大きさだったが、今はサラブレッドの成体程の大きさだ。
元々の白い体色は変わらず単純に大きくなったように見えるが、所々変わっていた。
まず足元の毛が前より多く長くなっている。そして尻尾の毛も多い、全体の毛も前より多い気がする。
あと1番分かりやすいのがツノだ。額から一本伸びていた。
これは・・・・
『ユニコーンやな!』
今言おうとしたのに・・・。
というか、来てたんなら言えよ。
セリにはアンダルシアの進化が始まっていると伝えてある。
セリからナギとフウに伝わり全員が今ここにいる。
女性陣は進化したばっかりで、何が起きたか分からないアンダルシアにくっつき、いろいろ触ったり調子を聞いたりしている。
『正確にはポクシラージって言うみたいやな。また変異したんか?』
「また?」
『せや!、あの姿やと本来ならユニコーンの筈なんやで』
元々アンダルシアの種族、リストーロホースは暑い地域に生息する種族らしい。だが今いる家の気温は暑くも寒くも無く、温度計を置いても20〜25℃程で少し暖かい春といった感じだ。
俺たちにとっては快的だが、リストーロホースにとっては少し寒い気候になるのでそれが変異した原因では無いかとセリは推測していた。
確かにその推測だと、毛が増えていることにも納得できるな。
「それで、特異性とかは何か変わったのか?」
『そやなぁ・・・、数種類増えているで!、見てみぃ』
名前 :アンダルシア
種族:ポクシラージ
特異性:念話 癒しの手 加速 解毒 走り屋 恵みの光 空渡り
セリから送られてきた情報をみる。確かに3つ増えてるな。
スマホで詳細を調べてみる。
とりあえず増えた順で・・・
“走り屋”
走るスピードが速くなる。そして移動による疲れが無くなる。
これは俺も欲しいな。移動による疲れが無いのは、歩き回る身としてかなりメリットがある。
走らないので、もう一つの効果は余り要らないが、魔物から逃げるときには使えそうだ。
セリがいる限り、そんな事態が起きる想像が出来ないけどさ。
じゃあ残りは・・・
“恵みの光”
対象の状態変化を癒し、正常に戻す。
“空渡り”
空を蹴り跳躍することが出来る。
『ほー・・、中々ええやん!』
「何だ・・・、見てたのかよ」
気付くと後ろからセリが画面を覗いていた。わざわざ”風生成“で滞空までして見なくても、言ってくれたら見せたのに。
『“恵みの光”は状態変化って書いてあるけど、病気とかも治せるんや。“癒しの手”は怪我を治すしシアがいれば余程の事でも無い限りなんでも治せるな!』
それは助かる。
これからはお腹が痛くなってもアンダルシアが治してくれるな。
『もっと大変な事を治して貰えや・・・』
「そんなこと言われても風邪なんてそうそうならないし・・・」
ナギたちも風邪ひかないしな。
『旦那!、そろそろ助けてくれないっすか!?』
気付くとアンダルシアは女性陣に撫で回されていた。顔だけこっちを向けて助けを求めてきている。
仕方ない。そろそろー
「おじちゃん、シアの毛がふかふかしてる!」
「マジで!、俺も触っていい?」
『ま、マジっすかぁ!?』
丁度目の前に尻尾があったので触ってみる。
これは・・・なかなかの触り心地だな。カーペットやラグをに引けを取らない。
『・・・アンタらもうやめときや』
そのあとセリが止めるまでみんなで撫で続けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「何だよ兄貴。俺は今忙しいんだが!?」
部屋に入ってきた途端愚痴るテット。
お前今日殆どサボってただろ!、何が忙しいだ。
「あれは・・・、その・・、何だ。そんなことより今は冒険者が狩ったピッグバードの処理で忙しいんだ!。用件なら手短にしてくれ!」
いつもの事だ、それはわかっている。
フェスティバルが終わった後は、買い取りが殺到するので解体の作業員達はかなり忙しい。
普段は作業しないテットですら作業に参加しているくらいだからな。
「お前ススムについていっただろ?、近くで見てどうだったんだ?。」
「何だそんなことで呼んだのかよ。後じゃダメなのか?」
心底今はどうでもいいと思っているのか、テットはため息をついた。
俺は一枚の申請用紙をテーブルに置く。ススムが書いて渡して行った契約魔物の申請用紙だ。
「そうだ、これが本当なら本部にも連絡する必要があるからな。で?、アイツから契約魔物の追加申請が来ているが、これは本当か?」
「ああ、ギガント・ランプリーのことか・・・。その件はマジだ、実際に会ったからな」
「マジだったのか・・・」
出来れば嘘であって欲しかったがな。ギガント級が居るとなると、国に報告しないといけないからな。
面倒な・・・。
「で?、危険性はあるのか?」
「さぁな?、だがアイツの言うことは素直にきいていたし問題はないと思うぞ」
「そう・・か。ならこれの承認はしても大丈夫だな?」
コイツは良いことにも悪いことにも正直だから嘘は言わない。
実際に見て大丈夫だと言っているのならいいだろう。
俺は申請用紙にドン!っとハンコを押した。
「しかし・・・、やっぱりギガント級があの川にはいたか・・・」
昔から居るとは言われていた。だが目撃情報は無く、その存在は確認できなかった。
恐らく会った奴はやられていたんだろう。当然か、ギガント級なんて会ったら生を諦めるような怪物だからな。
しかし、それならなぜススムの契約魔物になったんだ?。
・・・・まさかアイツはギガント級とやりあえるほど強いのか?。いや、たまたま波長があっただけか?
どちらにしろ、ススムが異常なのは分かった。
「テット!、ちょっと狩りの時のことを詳しく教えろ」
なんか嫌な予感がする。




