第54話 レーヴィア
遅くなりすみません・・・・
チョコが案内役を引き受けてくれたので、3人で街へと向かう。チョコに聞くとあの街の名前はレーヴィアというらしい。
「なぁ、それ持とうか?」
案内報酬として渡したレギュラー・アリゲーターを、両手と背負ってるハンマーで器用にバランスをとりながら持っているチョコに聞く。
レギュラーサイズにもなると、チョコの身長の2倍は体長があるので普通には持てないし、何より重い。
代わろうかと言った俺も、実際代わりに持つわけでなく、セリの“収納”に入れ直すだけだし。
しかし、チョコは首を振った。
「この位なら大丈夫よ。ドワーフは力も強いから」
確かに、疲れを見せずにずっと持ち続けているところから、余り苦では無さそうだけど、なんかこう・・見た目的に良くない。
側からみると、子供に荷物持ちをさせてる大人にしか見えないからな。
「それにしても、森の奥にはレギュラーサイズもたくさん居るのね。これはちょっと無理してでも潜った方がいいのかしら?」
案内をやってくれると言ったくれたので、簡単ではあるけど互いの自己紹介を済ませておいた。
とはいえ、異世界から来ましたとは言えないので、気付いたら蛇神の森の中に居て、それ以前の記憶がないと言ってある。
後はここまでの道のりを、セリの封印など秘密にしておいた方がいいところを省いて話しておいたのだ。
アリゲーター辺りの話はチョコもだいぶ食いついたが、場所が場所なので、未だ行く決心がつかずに考え込んでいる。
「あそこまでの道のりは大変だが、魔物も大した事ないからそんなに苦労しないと思うけどなぁ」
「セリがいるススムはそうかもしれないけど、あの森の魔物はこの辺りの魔物よりも数段強いから、1匹倒すのに一苦労する冒険者達も多いわ。そもそもこのレギュラー・アリゲーターだって私レベルでも1人じゃ勝てるか分からないし」
え?、それが普通なのか?。
レーザーで穴開けるだけでサクサク倒せるんだけど。もしかして俺っておかしいのか?。
チョコは強いと言うが、俺にとっての基準はセリになので、周りの魔物があんまり強く感じない。
そういうとチョコは苦笑いしてたけど。
チョコは数年前にあの街に来たらしい。元々、やりたい事が見つけるために旅をしていたのだが、資金が無くなったのであの街で冒険者として稼いでいたそうだ。蛇神の森周辺が稼ぎやすかったため、やめ時が見つからず、今に至るらしい。
ただ、最近はアリゲーター乱獲により、森の周辺でも見かける事が少なくなったので、また旅に出ようかと悩んでいると言っていた。
「それで、やりたい事は見つかったのか?」
「全然、こうして冒険者で稼げると、これでもいいかなって選択肢が増えちゃったし」
「他の選択肢って何があるんですか?」
「そうね・・・。えーっと、まず鍛治師、服飾師、建築士、解体師・・・、あ、宝飾師もいけるわね」
やっぱりドワーフだけあって、生産系が多いな。でも冒険者をしてるってことは冒険者って稼げるのか?
俺には生産はどれも無理そうだから、旅して適当に狩った魔物を売って稼ぐ旅人冒険者でも目指そうかな。
「チョコは、物を作ったりしするのは好きじゃ無いのか?」
「嫌いでは無いけど好きでも無いわ。私の家系は生産一点特化系だから、何やっても一点特化した兄妹達には及ばない・・・。色々出来るのはいいのだけど、突出した上物を作る事が出来ないのよね」
器用貧乏か・・・。
なんでも出来る反面、どれも中途半端なんだそうだ。だからチョコは選択肢としてあっても選ぶのを躊躇っている。何を選んでも中途半端な物しか作れない。
「ねぇ、ススム達は旅する目的とかあるのかしら?」
ちょっと空気がしんみりしだしたので、チョコは話題を変えてきた。
目的?
当初は[元の世界に戻る]だったが、今では正直どうでもいい、それくらい今の生活が気に入っている。
1番大きいのは仕事しなくていいところだけど。
まぁ街に行くのが目的と言えなくもないけど。
「今は特にないかな。まずは街に着くことだけ考えてたし」
『寄り道しまくってたくせにようゆうわ』
「本当ですね・・・」
後ろの2人が何か言ってるが無視する。
寄り道は仕方ないだろ?。そこに道があるんだからさ。行ってみないと何があるか分からないし。
「じゃあ、レーヴィアに着いたら旅やめるの?」
「やめない」
やめるつもりは一切ない。
“旅の宿”があれば街に住む必要ないし、物資も無くならないので買い足す必要もない。
とはいえ、次何処行くかなどは決めてないけど。
チョコは「そうなんだ・・」と何か考えてるが、聞く前に街の入口についてしまった。
聞くのはまた今度にしようかな。
街の入口には、街全体を囲う壁についた大きな門がある。門の周辺で検問でもしてるのか、兵士と思われる姿の人が、来た人に何かチェックをしていた。
「街に入るには身分証がいるけど・・・、持ってないわよね?」
「「ないです」」
どうやら身分証の提示がいるらしい。勿論そんな物持ってない。もしかして、持って無いと入れないのか?
ここまで来て入れないのはかなり辛い。
「基本はね。でも多分大丈夫よ。私に任せて貰えるかしら」
そういうとチョコは俺たちを連れて兵士と所に向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
身分証は無かったが検問はあっさり通った。
昔からこの手のチェックは嫌いで内心ビクビクしていたけど大丈夫だった。警察とかが検問してると、悪いことしてないのに何故かビクビクする。1度挙動不振で連行されそうになったこともある。
今回はチョコが対応してくれたので大丈夫だったけど。
本来なら身分証がいるが、街の誰かが身元保証人になれば入れるらしい。これは遠くにいる家族を招く際、わざわざ身分証を作らなくてもいいようにとの制度らしいが、今回はそれを利用したとの事だった。
街の門を潜るとレンガ調の家が目に入る。地球でいうところのヨーロッパなどで見る建築様式に似てるな。海外に行ったことはないので実物を見たことはないけど。
街の入口が近いからか、行商人達がそこらじゅうで市場を開いて客を招いている。チョコは「まず寄るところがあるから」と無視するが、何を売ってるのか見てみたい。
お金ないけど。
それでもふらふらと寄っていく俺は、最終的に腕をナギに掴まれて連行される。捕まえた時のナギの目が「ダメです」と言っていたので諦めた。
連行されている最中、あることに気付いた。
「人間ばかりの街かと思ったが、亜人が多いな。ここは亜人たちの街なのか?」
先行するチョコに聞いてみる。チョコは「ん?知らないの?」と付け加えてから
「このレティシア共和国が多種族共存国なの。つまり亜人の国ね。だからこの街だけでなくこの国では他の街もこんな感じよ」
門兵も獣人だったのでもしかしてとは思ってたが、国全体とは。これだけ亜人たちが居るならナギたちも普通に歩けるな。
「だからナギもそこまで気にしなくていいわよ。この国では誰も亜人だからと危害を加えたりしないわ」
「え?、あ・・・、はい。ありがとうございます」
チョコには、ナギが人目を気にしている事がバレていたらしい。まぁあれだけ人目を気にしてキョロキョロしてたら分かるか・・。
「ん?、でもこの国ではってことは・・、他の国では迫害とかあるのか?」
「あるわ。特に隣のロスティーナ帝国は人間至上主義国だから行かないほうがいいわね。行ったら、即捕まって奴隷行きよ。二度と帰って来れなくなるわ」
うーわ・・・、そんな国があるのか。初めて入った国がここでよかった。
その国にはいかない様にしないとな。場所知らないけど。
「ええ、そうしたほうがいいわね。それにあの国は今戦争を起こそうとしてるみたいだし、ススムも近づかないほうがいいわよ」
「そうなのか?わかったよ」
どの世界でも戦争は無くならないらしい。帝国は権力者同士の内紛も多いそうで危険な国なんだそうだ。
行く前に聞けて良かった。当分近づくのはよそう。




