閑話 どら焼き依存度
最近セリのお菓子依存度が上がっている。
事あるごとににお菓子をねだるようになってきた。
特にどら焼きに関してはかなり敏感になり、俺がこそっと食べてる匂いを感知してすぐさま寄ってくるようになった。
そしてずるいを連呼し自分も食べようとするのだ。
まぁ俺が食べてる以上食うなとは言えずに渡すのだが、要求してくる量が多い。
あーだ、こーだ理由をつけて、俺が食べてる量の数倍は要求してくる。
ぼったくろうとしてくるのだ。
正直このままではまずい。
というよりめんどくさい。
『いっその事、おやつをなくしたら良いんじゃないっすか?』
「そうしたいんだが、ナギさんたちが怒るからなぁ」
ナギもフウもお菓子が好きなので、おやつを抜くのはダメだ。
多数決をとっても3対1で俺が負ける。
『お菓子の何がそんなに良いんすかねぇ』
お菓子を食べないアンダルシアはため息をつく。
女性はお菓子が好きなんだよ。いや、甘い物が好きなのか?
ナギ達はいい、おやつの時間以外はねだってこないし、我慢だってできる。
問題はセリだけだ。
『姐さんの好物の・・・どら焼きでしたっけ?それを出すのをやめたらどうすか?それとも甘いのをやめるとか・・・』
なるほど、甘い物好きのセリには効果があるかも知れない。
逆効果でもありそうだが
「逆上したりしないかな?」
『しても旦那ならなんとかできるっすよ』
いや、そんなことないと思うけどな。
アイツが暴れたら抑えることなんて出来ないぞ。
『でも旦那が死んだらお菓子が食べれなくなるっす。姐さんもそれが分からないほど馬鹿じゃないっすよ』
なるほど・・・。
ものすごく怒るのは間違いないけどな。
『あ、あの・・・。よ、様子を見たらどうでしょうか?』
小さい声でカイマンが言ってきた。
「様子を見る?どうするつもりだ?」
『えっと・・・、た、例えばどら焼きを出せなくなったとか言って一時的にやめるんです。だ、出さないと言うから怒るんだと思うんです。だ、出せないと言った方がいいかと・・・』
自信がないのかさらに声が小さくなる。
怒らないからもっと自信を持ってほしい。いい案だと思うぞ。
『いいんじゃないっすかね。みんなの反応もおもしろそうっす』
アンダルシアは面白がってるが、お前・・傍観してるだけだからそんなこと言えるんだぞ。
セリは何とかなるが、ナギを怒らしてはいけない。
『旦那、大丈夫っすよ。ナギが怒ってもたいしたことないっす。僕に任せてくださいっす』
「ほう? じゃあ、何かあった時は頼んだぞ」
『了解っす』
アンダルシアは楽観的に考えてるが、どうなっても俺は知らんぞ。
お前は怒られたことがないからそう思うんだ。
その後色々と内容を決め、後は実行するだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
1日目:フウ(どら焼き依存度:低)
「おやつー!」
まず来たのはフウだ。どうやらいつもより早く、昼寝から目を覚ましたらしい。
どたばたと走りながらリビングにやってきた。
「ねぇねぇ!今日のおやつは?」
お菓子棚を漁って準備をしてる(フリ)の俺に聞いてくる。フウは基本お菓子なら何でも食べるが食べにくいのは嫌いらしい。
だから、その手のお菓子は出さないようにしている。
どら焼きに関しても、出したら食べるくらいでそれほど依存はしていない。
「どら焼きにしようと思ったんだが・・・何故か出ないんだ」
もちろん嘘である。自然に言ったつもりだが
フウにはばれなかっただろうか・・。
「そうなの?じゃあ他のでもいいよ」
「フウは何が食べたい?」
「アイスがいい!!」
「分かった。今日はアイスにしようか」
その日は皆でアイスを食べた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
3日目:ナギ(どら焼き依存度:中)
「あ、ススムさん。おやつの準備ですか?」
今日はナギが先に来たか。昨日と同じように出すフリをしていると畑仕事を終えたナギが戻ってきた。
ずっとやっていたからか、何か様になってるな。
「そうなんだが・・・何故かどら焼きがでなくてさ。昨日も出そうと思って出なかったんだ」
なるべく自然に話す。フウは大丈夫だが、ナギにばれると危険だ。
ここは慎重にいかなくては・・・
俺の言葉を聞いたナギは、「・・え?」と一瞬固まりすぐに寄ってきた。
「出ないって、どう言うことですか?」
「いやそのまんまの意味だけど。どれだけイメージしても出てくれない」
そう言って、お菓子棚の戸を開けたり閉めたりする。閉めた状態でイメージし、開けるとその物があるのだが、今は出てこない。
もちろん今はイメージしていないからだけど。
「え・・・、じゃあもう食べられないってことですか?」
「うーん・・・、そうと決まったわけじゃないけど、当分は無理かなぁ・・」
はぁ・・とイスに座りため息をつくナギ、結構ショックなようだな。
ナギも餡子大好きだしな。
悲しそうな姿を見ると後ろめたい気持ちになる。後でネタ晴らしするときが怖いな。
いや、いっそのことバラさないほうがいいか?
「今日は餡子入りの饅頭にしておくから元気出してくれ」
「はい・・・ありがとうございます」
そういいつつも、ナギのその日のテンションは低かった。
相当ダメージが大きいようだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
7日目:セリ(どら焼き依存度:測定不能)
『おやつの時間や!!ススム、今日のおやつはよ!』
3時ジャストになるとセリが騒ぎ出した。普段は3時前から準備するので騒がないが、忘れているとセリが騒ぎ出す。
最早アラームだな。3時限定だけど・・・。
俺がお菓子棚からお菓子を取り出そうとすると、セリがよってきた。
『今日はどら焼きにしてーや!最近、なんでどら焼き出してくれてへんやん!』
「いや、今日は羊羹だ」
理由は俺が食べたいからだ!
『なんでや、ススム出すヨーカンはあんま甘ないやん。ウチはどら焼きがええんや!』
なんかゴネ出したぞ。もう一週間はどら焼きを出してない。
ちなみに前は3日くらいの間隔で出してた。
そういえばまだセリにはあのこと言ってなかった。
「そう言うが・・・今どら焼き出せないんだ。ナギさんたちには言ったが言い忘れてた」
『な・・・・なんやてぇぇえ!!!!』
今日1番の絶叫。いや今までで1番かもしれない。
セリは驚いた表情のまま動かなくなった。
どうやら衝撃がデカ過ぎたらしい、そのまま気絶している。
「ど、どうしたんですか!」
セリの絶叫を聞いてナギが慌ててやってきた。すまん、セリにどら焼きの件を伝えただけなんだ・・。
「あ、そう言うことでしたか、ビックリしました」
ナギは固まったままのセリを見て、状況を理解する。
「どら焼きの件、まだ伝えてなかったんですね」
「ああ、なんかこうなるって思ったし」
「その、どら焼きはまだ出せませんか?」
うーん・・・もうそろそろ出してもいいかもしれない・・・。
ナギも聞いてくるって事は食べたいんだろうし、セリみたいになられても困るし。
「ちょっと確認してみるよ。最近どら焼きを出そうとしてないから、出るようになったか分からないし」
そう言って、お菓子棚を開ける。今回はちゃんとどら焼きをイメージしたのでしっかり入ってた。
「お、あるぞ!出るようになってる!」
自然を装って、いかにも出るようになった風に話す。
「本当ですか!?じゃあ今日はどら焼きにしましょう」
え?今日は羊羹にしようとーー、はい、どら焼きにしますのでそんな目で見ないでください。
「ありがとうございます!」
嬉しそうに準備を始めるナギ。
その姿をみると今まで嘘ついてたのが後ろめたい。
『あれ?旦那、どら焼き解禁したんすか?』
その時、庭からアンダルシアが言ってきた。どうやらセリの声を聞いて様子を見に来たらしい。
その声を聞いてナギの動きが止まる。
「解禁?」
あ・・・・
ナギの様子を見て、アンダルシアも気付いたらしい。
舌をベロっとして逃げてった。
あの野郎、ナギが怒っても大した事ないって言ってたくせに!
「ススムさん。解禁ってどう言う意味ですか?」
気付くとすぐ側までナギが寄っていた。既に腕を掴まれてるので逃げられない。
ナギの後ろから怒ってますオーラが出始めている。
「ご、ごめん!実はーー」
俺は包み隠さず全部話した。発案者をアンダルシアにしたけど・・・。
セリの現状はナギも知っていたらしく、理由を言うと納得してくれた。
ただし、ナギにも黙っていたことに関しては物凄く怒られた。黙っていたことより、仲間外れにされたくないようだ。
今度する時はナギにも言うと約束し、許してもらえた。
ナギはその後アンダルシアに説教し、落ち着いたのか久しぶりのどら焼きを堪能していた。
勿論俺はおやつ抜きだ。アンダルシアは当分の間、人参抜きにされたらしい。
俺に泣きついてきたが知らん。
カイマンが『じ、自分のをどうぞ』と分けてくれたが、俺生肉食べないから・・・。
気にせず食べてくれ。
ちなみにセリは数日気絶し続けていた。
目の前にどら焼き置いたら速攻で復活したけど・・・。
「それで、結局何がしたかったんですか?」
「いや、だからセリがお菓子をだな・・」
「それは分かりますが、おやつを減らしたらいいだけでは?」
「でもセリだけだと怒るから、その場合全員だぞ?ナギさんたちはそれでいいのか?」
「うっ・・、でもススムさんがそうするのであれば我慢します」
ナギがそう言ってくれたので、次の日からおやつを減らした。案の定、フウとセリから苦情がきたが、ナギが黙らした。
原因であるセリが、泣いて謝ってきたのでその次の日から元の量に戻ったけど。
・・・最初からナギに頼ればよかったな。
ちょっとストーリー構成が変ですみません。




