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第39話 ギガント・ロック・アリゲーター②

「ぐぅぉおおおおお!!」


周囲の惨状を目にし、ギガント・ロック・アリゲーターが吼える。かなり怒ってるようだ。

すぐさまこちらを向き、あの急速回転のタックルをかましてきた。


体の向きからして標的は俺じゃない。セリの方を向いていた。

セリはまだどら焼きタイムで気付いていないようだ。完全にお菓子の世界に入ってしまってる。


『「おいセリ!! 攻撃来るぞ避けろ!!」』


言葉と念話で知らせるが反応しない。

慌てて駆け寄ろうとするが、ギガント・ロック・アリゲーターの方が圧倒的に速い。


間に合わない。


「おいセ、あーー!!」


ギガント・ロック・アリゲーターは俺の目の前で幸せそうな顔のセリを轢いた。

体格差があったためセリは弾き飛ばされず、そのまま踏み潰される。


ギガント・ロック・アリゲーターはそのまま止まらず、木々をへし折りながら遠くで止まる。


最悪の状況が頭をよぎる。

前にマッドロブスターに潰された時は、セリも攻撃を認識してガードしていた。

しかし今回は気付いてすらいない。


急いでセリの元へ駆け寄る。


「おい!、セリ!! 大丈夫か!?」

『う・・・ん、何や?何が起こったんや?』


全身地面にめり込んでるけど、どうやらセリは生きてるようだ。まずは一安心だ。


ギガント・ロック・アリゲーターは遠くで方向転換をしている。

終わり次第、もう一撃来るだろう。その前にセリを助け出さないと。


急いでセリを地面から抜き取った。

地面にセリの型が綺麗にできている。後で写真撮っとこう。


『・・・なぁススム。ウチのどら焼きは?』


セリが虚な目で聞いてくる。

それどころでは無いと思うが、そんなことを考えてるってことは体の方は大丈夫みたいだな。


「どら焼きなら潰れたぞ。ほらあいつがお前ごと轢いたんだ」


そう言って方向転換が終わったギガント・ロック・アリゲーターを指差す。

セリが向いたのと同時に急速回転し出した。またすぐに突撃してくる。


ギガント・ロック・アリゲーターを見たセリの目が瞬時に変わった。どうやらギガント・ロック・アリゲーターだからではなく、どら焼きを潰されてキレてるみたいだ。


『ウチのどら焼きに・・・何しとんやぁーーー!!!』


ギガント・ロック・アリゲーターが突撃したのと同時にセリも突撃する。どうやら真正面からぶつかるようだ。


体格差から明かに無謀すぎるが、セリならなんとかなりそうな気がする。

さっきも攻撃でも無傷っぽいし。


というかセリのやつ物凄く速いな。

本気出したらあれくらい動けるのか、いつものっそりしてるのが嘘みたいだ。


セリは徐々に加速し、・・跳んだ。あれはセリのとっておきの体当たりだな。

そしてギガント・ロック・アリゲーターと真正面から激突した。


ガキィィインと生物同士がぶつかったとは思えない金属音を響かせ・・・


セリは吹っ飛んだ。


「あ、負けた。そりゃそうか」


あの体格差だしこうなるのは当然だよな。

例えるなら猫が象に体当たりしてるようなもんだ。


「って、危ねぇ!!」


弾き飛ばされたセリをボーっと見ていたせいで気付かなかった。

弾き飛ばしたギガント・ロック・アリゲーターはそのまま俺に突っ込んでくる。


ギリギリで緊急回避し、なんとか避ける。

着地時に打ったお腹が痛い。


「セリは?」


慌てて起き上がりセリを探す。見つけたと同時にセリは池ぽちゃった。


あれ?アイツ泳げるのか?

風呂ではいつも浮いてるから気にしてなかったけど、泳いでるとこは見たことない。


『セリ! 大丈夫か?』


念話で話しかけるが反応はない。

流石にまずいかも。


急いで池に入ろうとすると前からギガント・ロック・アリゲーターが突撃してくる。

体がこちらを向いてるし、次の標的は俺のようだ。

セリはあれで倒したとでも思ってるのだろうか、セリが落ちた池には見向きもしない。


「やばっ! 早く逃げないと」


急いでその場から離れようとする。しかし相手のスピードが速すぎる。

回転し一気に距離を詰めてきた。


「くそっ!避けきれない」


そもそもさっきまで避けれてたのは俺を狙ってたわけじゃなかったからだ。

狙われたらただの人間である俺に避ける術はない。


だからガードすることにした。


俺は目の前に門を出す。

出すのとほぼ同時にギガント・ロック・アリゲーターがぶつかった。

そして弾き返される。


「おお、壊れねぇ」


前に取説で読んだが、この門は破壊できないそうだ。

前々から盾に出来るのではないかと思ってたが、ためして壊れても嫌だし、中に影響が出ても嫌だったからしなかった。


正直今回も使いたくはなかったが、使う以外に生き残る術がなかった。

取説通り壊れなかったが、中は大丈夫だろうか?


「ぐるぁあ? がぁあ!」


弾き返されたギガント・ロック・アリゲーターは困惑しているようだ。

何が起きたかよくわかっていないらしいな。


「とりあえずガードは出来る。混乱しているウチのセリをーー」


助けようと思って池に向かおうとすると、突如池が光り出した。

びっくりして慌てて池から離れる。ギガント・ロック・アリゲーターも同様に池から離れた。

池を見て唸っている。何かを警戒しているらしい。


どおぉぉん!


光が少し収まったと同時に水しぶきを天高く上げ、中から巨大な白い蛇が現れた。

池から離れていたが水しぶきを受けずぶ濡れになった。

だがそれどころではない。


「は?なんだあれ?」

「がぁぁ・?」


出てきた蛇の大きさはギガント・ロック・アリゲーターよりデカい。

持ち上げた頭が周りの木より高い位置にある。頭以外が池に浸かってるので全長は分からないが。


というか、こんなデカイ蛇がずっと池の中にいたと思えない。

巣にしていたギガント・ロック・アリゲーターも困惑している。


それで、このタイミングで白い蛇といえばアイツしかいない。


『ウチのどら焼きぃー!!』


だよな。

やっぱりあの蛇はセリのようだ。池の中で何があったんだ?


見た目は大分変わったが、中身はセリのままなのようだ。『どら焼き』と連呼しつつギガント・ロック・アリゲーターに襲い掛かっている。


俺はセリから離れて様子を見る。

でかくなって攻撃範囲が広くなり当たりそうになったためだ。


「がぁああ、があああ!!」


ギガント・ロック・アリゲーターはセリの物理攻撃を"鋼質化"で受けつつ反撃しようとしているが、セリの攻撃が強すぎるようだ。

受けるたびに悲鳴のような声を上げてよろける。


さっきまでは体格差で勝っていたため問題なかったが、体格差で負けた今、ギガント・ロック・アリゲーターに勝ち目は無い。


「が・・・、が、がぁああ!!」


ギガント・ロック・アリゲーターは後ろに跳んでセリの攻撃をかわしつつ、空中で急速回転する。

着地と同時にセリに突っ込んできた。


『ええかげん見飽きたわ!!』


セリは尻尾先だけ"鋼質化"してギガント・ロック・アリゲーターの側面に叩きつけた。

ギガント・ロック・アリゲーターは衝撃で弾き飛ばされ、木々を倒して仰向けに転がった。


『とどめや。どら焼きの恨みぃ!!』

「がぁぁ・・、がぁぁ!」


セリが尻尾を振り上げる。

ギガント・ロック・アリゲーターは仰向けから戻ろうともがいてるが戻れない。


セリは狙いを定め、尻尾を振り下ろした。


ドォン!と音が響く。


ギガント・ロック・アリゲーターに直撃・・・していない!?

尻尾が直撃する直前で止まっている。


「すみませんが、そこまでですよ」


セリの尻尾を片手で受け止めた女性がそこに立っていた。


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