第29話 出発したが遊んでばかりで進まなかった
誤字、脱字報告ありがとうございます。
(ぽちぽちしてたら終わったけど勝手に修正してくれるの?すげぇ)
数日かけて村中の残ってるものを確認した。
大したものはそれ程無かったが、必要そうなものは一通り回収した。ただ倒壊した家が多くて、確認があまりできなかったのが残念だ。
因みに、その最中に出てきた物で、髪飾りなどの個人の遺品っぽい物はまとめて墓に埋めておいた。特に意味は無いそうだが、ナギが言うには本人の遺体がない場合はそうするらしい。
元々、魔物に襲われ、遺体すら残らない人は今までも居たらしく、そういう人の墓には遺品を入れるそうだ。
ナギは数日間ずっと両親の形見を探していたが見つけることは出来なかった。
なので俺は写真を渡しておいた。彼女の両親の写真を。
なぜ俺が持ってるかというと、全ては“過去視”のおかげである。取説での説明によると透過物に付与できると書いてあったので、カメラでもいけるんじゃ?と試した結果、付与することが出来た。おかげで両親が生きている時まで遡り、写真を撮ることが出来たのだ。
写真を渡したときナギが泣き出したので焦ったが、すごく喜んでくれたので良かったよ。
そして“過去視"の使い勝手もすごく良い。微妙とか思って申し訳ない。
過去の映像であれば時間停止すら出来る。DVDプレーヤーのように見たい箇所を巻き戻ししたり一時停止したりでき、写真を撮るのには超便利だった。
これで魔物の写真を撮るのも楽になりそうだ。遭遇直後にセリが始末してしまうからカメラを構える時間もない。かと言って構えていたら魔物出てこないし・・・。
そんなこんなでいろんなことがあったが、昨日で確認は終えたので今日からまた旅の続きである。
方針としてまずは川沿いまで戻り、川沿いを歩いて出口を探す。今まで通りだ。
寄り道? 出来そうならするつもりだが、ナギやフウもいるので相談してからになりそうだ。
「出発するけど二人ともいいかな?」
「はい」
「はーい」
二人の返事を聞き歩き出す。
ナギは徒歩だが、フウはアンダルシアに乗っての移動だ。
セリは、いつも通りリュックインしている。見慣れた光景なのかもう誰も気にしない。
道中、来るときはチャロアイトのせいで魔物だらけだったが、なくなった今は会うのも少ない。
会ってもすぐに襲って来たりしないので、対処もしやすい。
2~3時間程で川沿いまで出てしまった。
川沿いは変わらないが、あれだけあったマッドロブスターの死骸がなくなっている。
雨も降っていないので、増水で流されたわけではなさそうだ。
だとすると、他の魔物の仕業だろう。
「どうやらこの辺りにも魔物が戻ってきてるみたいだな。マッドロブスターの大量発生もなくなったかな?」
『いやまだ分からんで。奴ら共食いしよるからな』
そういやそうだった。一体で数十体寄ってきてたなそういえば。
当時を思い出し、セリと二人で笑う。たった2週間ほど前なのだがずいぶん昔に感じるのは、その2週間に色々あったからだろう。
『旦那ぁ・・この辺りマッドロブスター出るのか?』
「ん?出るけど? それが?」
どうやらアンダルシアはマッドロブスターが嫌らしいな。体が小刻みに震えている。
よく見ればナギもそうだった。
「ススムさん。マッドロブスターといえば、この周辺ではかなり危険な魔物になるのですが・・・」
『あいつらなんでも食うから見つかったら終わりなんだよ』
そうなのか?
数十体ほどが一斉に出てきたけどセリが瞬殺してたし強そうに見えなかった。雑食なのは知ってたが。
その話を聞いてナギとアンダルシアが乾いた笑い声を出してた。俺の感性がおかしいのか? セリの戦闘力がおかしいのか?
「どっちもです!」
どっちもかぁ。そんなにおかしいかな?
ナギは魔物についてもそれなり知ってそうだし、今度魔物の一般常識を聞いてみよう。
とか思ってたら、マッドロブスターが出てきた。 その目が呼んだ?と聞いてきてる気がする。
呼んでないので、レーザーで縦に真っ二つにしておく。
ウインドドラゴンでも貫通したレーザーはマッドロブスターの殻程度どうってことなかった。
その状況を見て、何も言わなくなったナギとアンダルシア。ちょっと遠い目をしている。
フウだけは「すごーい」と言って楽しんでいた。多分、危険度が分からないから怖くないのだろう。俺と一緒だな。
・・・まぁ数十体を一斉に見たときはびびったけどさ。
結局その日はそれ以降魔物が出てこなかった。ただ殆ど進みもしなかった。
フウの水遊びしたいと言った所から始まり、フウの水遊び中、暇になった俺が釣りを始め、釣りに興味を持ったナギが参加し、意外と釣れるためおやつを要求するセリを無視して没頭し、フウが遊び疲れて寝てしまうまでやり続けた。
まとめると遊んでたのだ。
あ、釣った魚?は最後にリリースした。ナギによると食べられるらしいが、毒を取り除く必要がある。
料理が出来るナギでも、取り除くのは難しいといっていたので食べるのをやめた。
毒に当たったら最悪死ぬそうだ。アンダルシアの解毒で対処できるかも不明らしい。
らしいと言ったのは試したことがないからである。
「あれだけ釣れたのに勿体無いです!。身はおいしいのですよ」
村では魚が滅多に食べれないそうだ。危険を冒して釣りをする人はいないためなかなか手に入らない。
取れるのは増水後、くぼみから抜けだせなくなった魚だけらしい。
ゆえに村での魚は高級品であり、人気があった。
ナギたちも好きらしく、食べれるなら食べたいらしい。
「別の魚でいいのなら用意するぞ? 俺は捌けないのでナギさんにやってもらうことになるんだが」
「本当ですか? やります!任せてください!」
・・・すごいやる気だな。なら頼もう。俺も久しぶりに魚食いたい気分だし。
最近はナギが料理をしてくれることもあり、彼女の料理技術は知っている。村でもずっと料理をしていたようでかなり上手い。任せても大丈夫だろう。
リリースした魚は白身魚らしいし、それに見た目も似ている魚は何があったかな・・・
『ウチ今日の晩甘いもんがええんやけど・・・』
3時のおやつを食べれなかったセリがボソッと呟く。
ちょっと恨みが混じってるしちょっと怖いぞ。
だが今晩は魚で決定している。諦めてほしいのだが・・・、だめか・・・。
仕方ない。
おやつを抜いたのは俺のせいだし、交渉しデザートを追加することで了承してもらった。
セリ「釣竿なんてどこにあったんや?」
進「家の倉庫にあったぞ」
ナギ「ほんと、なんでもありますね・・・」




