え、マジで?
「凉ちゃん!!あなた、本当は男が好きなんでしょう!?」
「は?」
いきなり姉の部屋に呼び出され、何事かと思えば姉はそんな事を言い出した。
思わず冷たい目線を向けても、仕方がないと思う。
姉曰く、ここはBLゲーム(ギャルゲーの攻略対象が男になったもの。主人公も男らしい)『君とみた天―sora―』という通称『キミソラ』の世界で、姉はそれにハマってやりこんでいたらしい。そして、そのゲームの続き『君とみた天―hoshi―』通称『キミホシ』を買った直後に間抜けにも階段を踏み外し、打ち所が悪く死亡。
それで、気がつけば俺の姉として転生したらしい。
どうやら、俺は『キミソラ』の続きの『キミホシ』に新しく出てくる攻略対象者だと言うのだ。
そして俺が言えるのは、これしかない!
「姉ちゃん、いよいよ頭のネジ飛んじゃった?」
「飛んでないわよっ!!?」
俺の言った言葉に姉は目を吊り上げて、怒った。おい、般若よりも怖くなってるぞ。顔。
喉から出かかった言葉を、喉の奥に押し込めた。流石にこれを言ったら、殴られるからな。勿論、姉に俺がだけど?
「それに、これは大事な事なのよっ!?あんた、そのゲームの中では"唯一"主人公に掘られるのよっ!?」
え?今、なん・・・掘ら、れる?え、掘られる・・・?
「え、えぇぇえええええ!?俺、掘られんのっ!?」
俺は、ケツを庇いながら後退りした。姉は、気の毒そうな目線を此方に向けながら、口を開いた。
「えぇ。パッケージに唯一の受け!!って書かれていたから間違いないわ」
「で、でも・・・俺、ホモじゃないぞっ!?」
「ネットではプレイした人達の感想があってね。バッドエンドでは複数人にレイプされ、ハッピーエンドでも、主人公に無理矢理犯され、体から始まる愛・・・みたいなものなのよ」
って、どれも俺にとってはバッドエンドじゃねえかぁぁあああっ!!!!!?
も、勿論姉はそうならない様にこの話をしてくれたんだよな?と、姉を見ると、慈愛のある微笑みを貰った。
「そんなの・・・傍観するに決まってるじゃないっ」
と、語尾に☆がつきそうな感じで言われた。
おぉぉおいいぃいぃっ!!!!!??
普通、そこは可愛い弟がそうならない様に助けるだろうがっ!!!
結局、最後は"無理矢理"掘られそうになったら助けるという、約束を取り付けた。
この日、高校の入学式の前夜である。