表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リナの冒険ノート2  作者: リナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/93

リナ、自分の歩幅を守る

**20xx年8月18日(火曜日) 高校1年生**

**朝**


目が覚めて、足をそっと布団の外に出す。


(うん、これは“ちゃんと動ける元気デー”ってやつ)


・足 → 軽い。地面重力も標準。

・お腹 → 生理終わりゾーンからさらに何日か、安定続行中。

・頭 → ぼんやり少なめ。外にも出られそう。


ベッド横の赤い手帳を開く。

今週のページ、今日の欄にはこう書いてあった。


『8/18

 天気:晴れときどきくもり/気温:暑い/体調:元気デー


 8〜10:家ブロック(数学ワーク+英語一行)

 13〜15:外ブロック(図書館勉強+読書少し)

 20〜22:二人の季節+ストレッチ』


(今日は“外で勉強しつつ、様子を見る日”って感じだな)


洗面所で顔を洗って、化粧水→乳液→日焼け止め。

タオルでぽんぽんと水気を取ってから、鏡の前で三秒自分チェック。


一、二、三。


(ニキビの赤み、前より落ち着いてきてる気がする。

 たぶん“蒸し料理とちゃんと寝るやつ”の、じわじわ効果)


前髪を整えてから、ペンで手の甲に今日のキーワードを書く。


『歩幅まもる』


(友達と一緒に何かするとき、

 つい相手のペースに合わせすぎて自分がバテるから、

 今日は“自分の歩幅”もちゃんと残したい)


キッチンに行くと、テーブルには


・雑穀ごはん

・鮭とブロッコリーとエリンギの蒸し料理

・小松菜とにんじんの胡麻和え

・豆腐と玉ねぎの味噌汁


が並んでいた。


「今日は“外出する人応援セット”です」と母。


「名前のバリエーション、よく尽きないよね」


鮭とエリンギを一口食べると、

きのこのじゅわっとした感じと一緒に、

(これで今日も“未来の肌貯金”ちょっと追加ってことで)

と、勝手にポイントを足してしまう。


テレビからは、

「夏休み明けに向けた勉強計画特集」みたいなニュースが流れていた。


『勉強は“自分のペース”をつかむことが大事です』


キャスターの人が真面目な顔で言う。


(それができたら苦労してないんだよな〜)


味噌汁を飲みながら、

里奈は手の甲の『歩幅まもる』をちらっと見た。


---


**午前(ブロック勉強と、5分だけの相談タイム)**


8〜10時の家ブロック。


机の右上に赤い手帳を開いて、

数学ワークと英語一行ノートを並べる。


(とりあえず、英語で頭を起こしてから数学にダイブする作戦)


英語一行ノートには、

こないだから続いている“自分ペースシリーズ”の一文を書く。


『I can walk beside my friends without losing my own pace.

 (友達と並んでも、自分の歩幅はなくさなくていい)』


声に出して読む。


(文法にちょっと自信ないけど、

 今日の自分に言いたいこととしては100点)


英語を少し音読してから、数学ワークを開く。

二次関数のグラフの問題と格闘していると、

机の上のスマホが震えた。


画面を見ると、

クラスの友達からのメッセージが二つ。


『今日さ、図書館行かない?

 一緒に勉強したい〜』


『あとでブロック勉強の決め方教えてほしい…

 夏休み後半、ぐちゃってきた』


(うわ、“外出のお誘い+勉強の相談”セットだ)


最初に、

自分の手帳をちらっと見る。


『13〜15:外ブロック(図書館勉強+読書少し)』


(もともと図書館行くつもりだったし、

 一緒に行くの自体は全然あり。

 問題は“どこまで付き合うか”だな)


こないだから決めているルールを思い出す。


・人を助けるのは、基本「5分以内でできること」。

・それ以上かかりそうなら、範囲を先に伝える。


手の甲を見る。


『歩幅まもる』


(今日は、“相手に全部合わせないで一緒に歩く”って日)


深呼吸してから、メッセージを打つ。


『図書館行くのは賛成〜。

 私も13〜15時を図書館ブロックにしてる。

 ブロック勉強の決め方は、

 行く前に“5分だけ”通話で話そっか?』


すぐにスタンプ付きの返事が来た。


『助かる…!

 じゃあ10時ぴったりくらいに電話してもいい?』


『OK〜。

 10:00〜10:05の“相談ブロック”に入れとくね』


そう返して、

スマホを机の端にひっくり返して置く。


(“ここからここまでは数学の番”って決めておくと、

 途中で気が散りそうになっても、戻ってきやすい)


10時になったところで、

タイマーを5分にセットしてから、ビデオ通話をつなぐ。


画面の向こうの友達は、

髪をひとつに結んで、ちょっと眠そうな顔をしていた。


「ごめんね、いきなり。

 ブロック勉強ってさ、

 どうやって決めてるのか知りたくて」


「大丈夫。

 “5分だけ相談枠”って決めてるから、

 その範囲なら全然OK」


そう言って、

里奈は自分の赤い手帳をカメラに向ける。


「私は、

 ・2時間を1ブロックって決める

 ・1日に◎を1個以上つけられたら合格

 ・ブロックの中身は“欲張りすぎない”

 ってルールにしてる」


「欲張りすぎない?」


「うん。

 例えば“数学も英語も理科もやる!”って詰め込むと、

 だいたい崩壊するから、

 “メイン1つ+おまけ少し”くらいにしてる」


「なるほど…」


友達が、

自分のノートにごしごしとメモを書いているのが見える。


「あと、

 スマホの通知はブロック中は“最低限だけオン”にしてる。

 家族と、緊急そうな子だけ。

 その代わり、ブロックの終わりに“返信タイム”作る感じ」


「ブロックの終わりに…返信タイム…」


タイマーを見ると、

ちょうど4分半くらい。


(よし、5分ルール内で収まりそう)


「詳しい計画立てるのは、

 自分で試して“合う形”探してく感じで良くない?

 最初は1日1ブロック◎目標とかでも全然ありだと思う」


「うん、それならできそう。

 なんかさ、田中って

 “全部やろうとしないで生き延びる方法”見つけるの上手いよね」


「生き延びるって言い方やめて」


二人で笑ったところで、

タイマーがピピッと鳴った。


「じゃ、続きは図書館で。

 ここまでにしとこ」


「ありがと。

 田中の“5分相談ルール”、

 私も真似したいかも」


通話を切ってから、

赤い手帳の今日の欄に小さく書き足す。


『8〜10:数学+英語一行 ◎(5分相談ルール守れた)』


---


**昼(図書館で、歩幅の調整)**


お昼は、


・鶏もも肉とキャベツとパプリカの蒸し料理

・きゅうりとわかめとトマトのサラダ

・白いごはん

・なめこと豆腐の味噌汁


だった。


「なんか今日、彩りが“頑張る人向け”って感じだね」と里奈が言うと、


「“外で集中したい人セット”です」と母が返してくる。


(だんだんネーミングにジャンルが出てきた気がする)


ごはんを食べ終わってから、

水筒にお茶を入れ、英語ノートと数学ワーク、

『二人の季節』ノートもカバンに入れる。


(元気デーとはいえ、

 飛ばしすぎると次の日“なんとかデー”に落ちるから、

 今日は13〜15のブロック一本だけにしとこ)


図書館の自習スペースに着くと、

さっき通話した友達と、

もう一人クラスメイトがすでに座っていた。


「田中ー、こっちこっち」


「おじゃましまーす」


三人並んで座ると、

友達の一人が言う。


「とりあえずさ、

 30分勉強→10分休憩→雑談→また30分、みたいなのでどう?」


「私はそれ助かる〜。

 ずっと黙ってるのムリだから」


(うわ、ここで“完全に合わせる”かどうか問題)


里奈は、

手の甲の『歩幅まもる』を見る。


(最初から全部合わせると、

 絶対あとでバテるやつ)


そこで、

前にうまくいった“グレーな一言”を思い出す。


「最初の30分は、

 私、雑談なしでがっつりやりたい派かも。

 その代わり、休憩タイムになったら、

 そのぶん全力でしゃべるっていうのはどう?」


「え、全力でしゃべるって何」


「推しの話しようってこと」


二人が笑う。


「じゃあ、

 “最初の30分は無言ゾーン”って決まりにしよ。

 そのあと10分は、雑談フリータイム」


「賛成〜」


ノートに「13:05」と小さく書いて、

そこから30分、三人とも黙々とワークを進める。


横から、

シャーペンの音と、

ページをめくる音だけが聞こえてくる。


(“みんなと一緒に集中してる感じ”、

 けっこう好きかもしれない)


30分経って時計を見たところで、

友達の一人が小声で言う。


「はい、推しタイム入りました〜」


一気に空気がゆるむ。


「最近さ、

 海外ドラマで観てるやつがあって…」


もう一人の友達が、

カバンからタブレットを少しだけ出す。


画面には、

『星をなくした街で』というドラマのサムネイルがちらっと見えた。


「これの主人公がさ、

 みんなと歩くペース合わなくて悩んでるんだけど、

 途中で“自分の歩幅で歩くことがむしろ役に立つ”って展開になるの」


(タイムリーすぎん?)


「へえ。

 それ観たら、

 “全員に合わせなくていいんだな”って思えて、

 ちょっと気が楽になった」


(フィクションからも“歩幅メモ”もらえるのありがたいな)


10分の雑談タイムが終わるころ、

里奈は自分のノートの端に小さく書く。


『・勉強も雑談も、“時間で区切れば”一緒にできる。

 ・最初の集中タイムを大事にすると、自分の歩幅も守りやすい。』


残りの時間も、

「集中→雑談」を二回まわして、

図書館ブロックは終了した。


帰りぎわ、

友達がスマホを取り出す。


「せっかくだから、一枚写真撮らない?

 “図書館頑張りました”記念」


三人で本棚を背景に自撮りする。


「フィルターどうする?」


「盛れるやつで!」


友達が、

肌がつるつるになって目が大きくなるフィルターを選ぶ。


(たしかに可愛いけど、

 もはや誰って感じのときもあるんだよな)


自分のスマホのほうでは、

色味だけちょっと明るくなるくらいの、

控えめなフィルターを選んで撮り直す。


画面を見て、

三秒だけ自分をチェック。


(クマはちょっとあるけど、

 “頑張った人の顔”って感じで、

 これはこれで好きかも)


『“今の自分で好き”フォルダ』に、

その写真を一枚だけ追加する。


(将来、

 誰かの写真を撮る立場になったとしても、

 “盛りすぎないけど、その人が好きって思える顔”を

 ちゃんと残せる人でいたいな)


---


**夕方(体力ゲージと、スマホの歩幅調整)**


家に帰って、

水筒を洗って一息つく。


(今日は“元気デー”だけど、

 ちょっと足に疲れが来てる感じ。

 このままダラダラSNS見始めたら、

 夜ブロックが死ぬ未来しか見えない)


ソファに座ってスマホを開くと、

グループトークがにぎやかになっていた。


『図書館組おつかれ〜』

『写真盛れすぎて笑ったw』

『田中のブロック勉強の話、もっと聞きたかった』


(“もっと聞きたい”って、

 ここから延々とチャット相談コースに行く可能性あるやつ)


そこで、

通知設定を開いて、

自分なりの“小さなルール”を追加してみる。


(夜ブロックが始まるまでは、

 グループトークの通知はオフ。

 代わりに、赤い手帳の横に

 “18:30〜18:40:返信タイム”って入れておこ)


メモ欄に書き込む。


『・スマホ返信は“時間の箱”に入れる。

 → だらだら開きっぱなしにしない。』


(“全部リアルタイムで反応しなきゃ”って思わなければ、

 ちょっとは脳みそも休めるかもしれない)


---


**夜(二人の季節と、今日の実験メモ)**


夕食は、


・鶏むね肉とナスとししとうの蒸し料理

・ひじきと大豆とにんじんの煮もの

・雑穀ごはん

・ほうれん草と卵の味噌汁


だった。


「今日、図書館どうだった?」と父が聞く。


「なんか、

 みんなで勉強するときも、

 “自分の歩幅”決めておいたほうが楽って気づいた日」


「お、なかなかの名言出たな」


(さすがに家族の前で“歩幅まもる”って

 手の甲見せながら語るのは恥ずかしいけど)


お風呂でしっかり温まってから、

20〜22時ブロックに入る。


机の上に、

赤い手帳と『二人の季節』ノート、英語一行ノートを並べる。


まず英語ノートに、

今日のフレーズを書く。


『I want to keep my own pace, even when I walk with someone.

 (一緒に歩くときも、自分の歩幅はちゃんと持っていたい)』


声に出すと、

胸のあたりが少しだけしゃんとする。


『二人の季節』ノートを開く。


今日書きたいのは、

主人公の女の子と、友達の歩くペースが合わない場面。


> 「私さ、

>  あんたのことは好きなんだけど、

>  全部の歩幅をあわせ続けると、

>  自分の足がすり減る気がするんだよね。」


> 「だからさ、

>  最初の角までは私のペースで歩かせて。

>  その先は、あんたの話を聞きながら、

>  お互いの歩幅を探す感じにしない?」


そんな台詞を書きながら、

里奈は手の甲を見る。


『歩幅まもる』


(今日みたいな日を、

 ノートの中の人たちにもちゃんと残しておきたい)


赤い手帳の今日の欄に、

今日の“実験メモ”を書き込む。


『・誰かと勉強するとき、

 → 最初に“集中タイム”と“雑談タイム”の時間を決める。

 → 自分の集中タイムを削ってまで合わせない。


 ・スマホ返信は、

 → “返信タイム”を決める。

 → グループトークはブロック中オフ。』


ブロックの達成度も書き込む。


『8〜10:家ブロック(数学+英語一行) ◎

 13〜15:外ブロック(図書館勉強+読書少し) ◎

 20〜22:二人の季節+ストレッチ ◎(ストレッチ5分+脚多め)』


(◎三つの日は、

 “今日は自分の歩幅で走り切れた”って感じがする)


ご褒美に、

冷蔵庫からぶどうを小皿に出す。


種なしの粒を半分に切って、

プレーンヨーグルトの上にころころとのせる。

上からハチミツをほんの少したらす。


(ぶどうって、

 皮ごと食べられるタイプだと、

 “そのままで完成してる感”あって好き)


一口食べると、

ぶどうの甘さと、ヨーグルトの酸味がまざって、

(今日は、誰かのペースに流されすぎずに済んだな)

と、お腹のあたりがふわっとゆるむ。


画面の中の“完璧な高校生”たちとは、

まだ全然違う自分だけど、

「自分の歩幅をちょっとだけ守れた日」が

一個増えたなら、それでいいか、と思いながら、

里奈はもう一口、スプーンを口に運んだ。


## 後書き


**日記**


**20xx年8月18日(火曜日) 高校1年生 田中里奈**


今日は、自分の歩幅を守る練習をした日だった。


午前中は、家でブロック勉強をしてから、

友達にブロック勉強の決め方を5分だけ通話で話した。

前に決めた「人を助けるのは5分以内でできること」とか、

「知識と工夫で助ける」というルールを思い出して、

自分の赤い手帳を見せながら、

「2時間を1ブロックにして、1日◎1個でOKにしてる」とか、

「ブロックの中身は欲張りすぎない」っていう話だけを伝えた。

タイマーを5分にセットしておいたおかげで、

相談もちゃんと聞けたし、

そのあと自分の勉強ブロックも崩れなかった。


午後は、友達二人と図書館で勉強した。

最初に「30分勉強→10分休憩→雑談」の流れにしようって話になって、

いつもみたいに全部合わせるか迷ったけど、

手の甲の「歩幅まもる」を見て、

「最初の30分は雑談なしでがっつりやりたい」って

グレーな感じで本音を混ぜてみた。

結果的に、三人ともちゃんと集中できたし、

休憩タイムに推しの話を全力でできて、

(合わせすぎないほうがむしろ仲良くいられることもあるんだな)

ってちょっとびっくりした。

海外ドラマの『星をなくした街で』の話を聞いて、

“自分の歩幅のままで役に立つキャラ”のことを思い出したのも、

今日のテーマとつながってた気がする。


今日の実験は、

・誰かと勉強するときは、

 最初に「集中タイム」と「雑談タイム」を時間で決めること。

・スマホの返信は、

 “返信タイム”を赤い手帳に一つ入れておいて、

 それ以外の時間はグループトークの通知をオフにすること。

この二つをやってみたら、

友達との距離はそのままで、

自分のブロック勉強と体力はちゃんと守れた。

「一緒にいる=全部合わせる」じゃなくて、

「一緒にいるけど歩幅はそれぞれ」でもいいんだと分かったのは、

今日いちばん大きな収穫かもしれない。


おやつは、

半分に切ったぶどうをのせたプレーンヨーグルトに、

ハチミツをちょっとだけかけたもの。

皮ごと食べられるぶどうが、

なんか“そのままでもいいよ”って言ってくれてる感じがして、

(私も、完璧じゃなくても“今の歩幅のまま”で進んでよさそう)

って少しだけ思えた。

まだ、これからも相手のペースに引っ張られてしまう日もあると思うけど、

そのたびに今日の「歩幅まもる」メモを思い出して、

自分のペースをちょっとずつ言葉にしていけたらいいなと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ