リナ、揺れるコンディションに仮ラベルを付けてみる
**20xx年3月2日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
電子音が鳴る前に、
なんとなく目が覚めた。
(……重い)
まぶたの内側が、
いつもより一枚分だけ厚い感じがする。
枕元じゃなくて、
机の上のノートの横で
スマホが震え始める音。
「七時……一分」
先週より、またちょっとだけ早い。
(身体は“起きたくない”って言ってるくせに、
頭は“今週はもう三月だよ”って急かしてくる)
布団の中で、
下腹あたりがじんわり重いのを確認する。
(たぶん、そろそろ)
カレンダーの小さいマス目の中で、
先月のところに自分でつけた
ちっちゃい黒い点を思い出す。
(先月も、だいたいこのくらいのタイミングで
“なんか全部だるいウィーク”が来てた気がする)
布団から腕を出すと、
ひんやりした空気と一緒に、
足の付け根までぼんやりした重さが
ぞわっと立ち上がってくる。
(実験、その八。
“体調用ミニマーク+三色評価の組み合わせ観察”)
えいやっと上半身を起こして、
足を床に下ろす。
ふくらはぎと太ももの境目あたりが、
いつもより少しだけ
自分の重さを主張してくる。
机の前に座って、
『二月からのゆるい実験メモ』を開く。
ページの右下、
先週の自分が書いた小さな欄。
『・生理前チェック用ミニ観察メモ
→一週間だけ試す』
今月のカレンダーページの隅に、
丸と三角と四角の凡例が描いてある。
『○:身体軽め
△:ふつう
□:重め/集中しづらい日』
(今日は……まあ、迷わず□だな)
ボールペンで、
今日の日付のところに
小さな四角を一つ書き込む。
(“しんどい日”って最初からラベル貼っておくと、
あとから見返したときに
「サボりじゃなくてコンディションだった」って
自分で証拠出せるの、
けっこう大事かもしれない)
油性ペンを取って、
手の甲を見る。
先週書いた『余白』は、
まだうっすら残っていた。
(成績表ウィークの一番でかい山場は
とりあえず越えたけど)
木曜日の夜、
“良かったとこ報告タイム五分”実験。
最初の三分くらいは、
お母さんもちゃんと
「ここ頑張ったんだね」とか
「この教科は安定してるね」とか
“緑マーカー目線”で話してくれて。
四分目あたりで
「でも数学のここは〜」が
にょきっと顔を出してきて。
お父さんが
「おっと時間切れだ」って笑って、
変な空気にならないように
割り込んでくれた。
(五分ピッタリとはいかなかったけど、
ゼロ分よりだいぶマシ、くらいの成功)
その記憶をなぞってから、
『余白』の横に
小さくもう一文字足す。
『余白/波』
(今日は、“数字”の余白に加えて
“コンディションの波”も
ちゃんと観察対象にする日)
制服に袖を通して、
タイツを引き上げる動きが
いつもより少しだけしんどい。
鏡の中の自分は、
顔色はふつうだけど、
目の奥に“眠気のフィルター”が一枚かかっている感じ。
(見た目は“まあ元気そう”カテゴリなんだよなあ)
手の甲の『余白/波』を一度見てから、
ノートを机の端に開きっぱなしにして
部屋を出る。
階段を降りるとき、
一段一段が
いつもよりほんの少しだけ
遠く感じた。
---
**午前**
ホームルーム。
先週、
茶色い封筒と一緒に予告された
三者面談の日程表が配られる。
先生は、
いつもの出席簿を机に置いてから
黒板の前で言った。
「はい、じゃあ三者面談の希望日、
今日中に第一希望から第三希望まで
書いて出してください。
進学も就職も、
**みんなそれぞれ**考えることが多いと思いますが——」
(……ん?)
先週までは
「女子は特に考えることが多い」で
始まっていたところが、
今日は
「みんなそれぞれ」になっていた。
胸の奥が、
ほんの少しだけ
びくっと動く。
(たまたまかもしれないけど)
先週、
授業アンケートのコメント欄に
“女子は特に〜って言われるたびに
男子も女子も微妙な顔になってる気がする”って
こっそり書いた。
それが届いたのか、
たまたま先生の中で
言い回しが変わったのか。
真相はわからない。
でも、
教室の空気は、
先週より少しだけ
均等に息をしている感じがした。
(“世界が一ミリ動いたかもしれない”ってやつ、
たぶんこういう感覚なんだろうな)
プリントが回ってきて、
“保護者氏名”の欄に
お母さんの名前を書く。
その横にある
小さな空白に、
シャーペンで点を三つ打つ。
『・・・』
(“この三点リーダー部分が、
今から交渉していく余白ゾーン”ってことにしとこ)
二時間目の体育は、
ちょうど持久走の総まとめの日だった。
廊下から体育館に向かう途中、
さっき描いた□が
下腹の重さと一緒に
じんわり主張してくる。
(よりによって今日か──って思ったところで、
たぶん毎月一回はこういう“よりによって”の日が
現れるんだよな)
体育館の前で上履きを脱いでいるとき、
何人かの女子が
小声で話していた。
「今日、
私ムリかも……」
「私も。
なんか足に鉛入ってる感じ」
「保健室行こうかな」
“その感じ”、
よく知ってる。
(身体の都合と、
“みんなと同じペースで走らないと”っていう圧の間で
板挟みになるやつ)
ジャージに着替えているとき、
ふと
“痛みを我慢しすぎて爆発するより、
早めに“しんどい”って言う方を選ぶ”って
先週のメモの一行が浮かんだ。
(実験、その九。
“コンディションを先に申告してみる”)
体育教師が、
出席を取り始める前のタイミング。
里奈は
心臓がドクドク言っているのを感じながら
手を挙げた。
「あの、先生」
「ん?」
「今日、ちょっと
お腹と足が重くて……
**タイム計測は参加するけど、
全力じゃなくて
フォーム意識する感じで走ってもいいですか**」
教室より静かな
体育館の空気の中で、
自分の声が思ったよりよく響いた気がした。
一瞬、
周りの視線が集まる。
(“生理なんです”って
そのまま言う勇気はまだないけど)
先生は、
少し驚いた顔をしたあとで
あっさり頷いた。
「体調悪いときは
そう言ってくれる方が助かる。
じゃあ今日の里奈は“フォーム重視ゾーン”な。
無理はしないけど、
止まりはしない感じでいこう」
(“フォーム重視ゾーン”)
勝手にラベルを作られたけど、
それは
“サボり”とは違う名前だった。
胸の奥に、
じんわり変な涙が浮かんでくる。
(女子だから休めて得、
じゃなくて。
コンディションに合わせて
モードを変えるっていう選択肢)
スタートラインに並んだとき、
前の方の男子が
「いいなー“フォーム重視”」と
小声で笑っていたけど、
それは
“ズルい”というより
“羨ましいけどちょっとおもしろい”くらいの
温度に聞こえた。
(“得”じゃなくて、
“そういう日なんだな”っていう認識が
もう少し増えるといいな)
走りながら、
足の重さと
呼吸のリズムと、
体育館の時計の秒針を
同時に観察する。
手の甲の『余白/波』が、
揺れる視界の端で
小さく光った。
---
**昼**
お弁当を広げながら、
今日の唐揚げが
いつもより妙にうれしいことに気づく。
(脂と塩分って、
こういう日の
正直すぎる味方なんだよな)
向かいの席の子が、
のり弁の端っこをつまみながら言う。
「ねえ、
先週の成績表タイム、どうだった?」
(来た)
「うちは、
“良かったところから言うタイム”
試験導入された」
そう言ったら、
隣の子が
「なにその新ルール、
すごく欲しい」と笑った。
「最初の三分くらいは
ちゃんと守られてたけどね。
四分目から
“ここは次がんばろうか”って
オレンジゾーンが
ちょっとずつ侵食してきた」
「三分でも
ないより全然マシじゃん」
「わかる」
向かいの子が、
少し真顔で頷く。
「うちはさ、
“女子なんだから安定したとこ目指しなさい”が
セットで来るからさ。
安定って
誰目線の話なんだろって
最近すごい思う」
(“女子なんだから安定”って言われるたびに、
こっちの中の波の話は
どこに置いていけばいいのか
迷子になるんだよな)
箸を動かしながら、
今日の自分の食欲が
いつもより
半歩だけ暴走気味なことに気づく。
(甘いの、
このあと普通に食べたくなるやつだな)
机の下で、
スカートの上からそっとお腹を押さえる。
「……なんかさ」
自分でも、
どこから出てきた言葉かわからないまま続ける。
「成績とか進路の話って、
“ちゃんと考えなさい”って言われる割に、
身体のコンディションの話は
あんまり一緒に出てこないじゃん」
「たしかに」
「“女子は特に”って言うならさ、
“女子は特に、
コンディションが波打つ前提で
スケジュール組んだ方がいい”とか、
そういう話も一緒にしてほしい」
言いながら、
自分で自分の言葉に
ちょっと驚いていた。
(さっきの体育で
“フォーム重視ゾーン”って言われたの、
地味に効いてるのかもしれない)
向かいの子が、
「それ、
なんかのキャッチコピーっぽい」
と笑った。
「“女子は特に波がある前提で
今日を選ぼう”みたいな」
「それ、
『二人の季節』に入れなよ」
隣の子が、
何気なくそう言う。
胸の奥で、
何かがカチッとハマった。
(世界のラベルを
変えたいときは、
まず自分の物語のラベルから変える)
口の中で、
唐揚げの衣が
いつもより少ししょっぱく感じた。
---
**午後**
放課後。
今日は部活がある日だったけど、
朝つけた□を思い出して
顧問の先生に
「今日はちょっと見学気味で参加します」と
先に伝えた。
(“波の日モード”の設定を
ちゃんと出しておかないと、
あとから自分で自分を責めるルートに
一直線だからな)
顧問の先生は、
「無理しない範囲でやっておいで」と
あっさり受け入れてくれた。
(意外と、
言えば通ることって多いのかもしれない)
家に着く頃には、
足の重さと一緒に
頭もふわっと霞がかかってきていた。
(でも、
今日の“フォーム重視”と“見学気味”の分、
明日以降の自分に
少しは優しくできてるはず)
部屋に入って、
机の上に
三色マーカーとノートを並べる。
今日は、
成績表そのものを塗り分けることにした。
『通知表 三色マップ』と
ページの端にタイトルを書いてから、
一つ一つの教科の評定の横に
色をつけていく。
『緑:自分でも納得してる/楽しかった教科
青:よくわからないまま取れた数字
オレンジ:しんどさが数字より大きかった教科』
数学の「3」の横には、
オレンジ。
理科の「4」の横には、
緑。
英語の「3」は、
青。
(点数だけ見たら
全部“まあまあ”ゾーンなんだけど)
三色を塗っていくうちに、
数字の並びより先に
“自分がどこで呼吸しやすかったか”が
見えてくる。
(“女子は特に安定を”って言われるときの“安定”って、
たぶんこの数字の横に
5とか4が並んでる状態の話なんだろうけど)
自分にとっての“安定”は、
緑が多いところに
青がちょっとあって、
オレンジがたまに顔を出すくらいが
いいのかもしれない。
(数字じゃなくて色で見ると、
“今の私はけっこう青頼み”ってことが
よくわかるな)
タイマーを二十五分にセットして、
後半は『二人の季節』タイム。
今日は、
進路指導室のシーンに
“コンディションの波”の話を
こっそり混ぜ込むことにした。
> 「“女子は特に”って言うならさ」
> 「“女子は特に、
> 毎月なんかの波に巻き込まれてる前提で
> スケジュール組んだ方がいい”とか、
> そういう話も一緒にしてほしいんだよね」
> 「今日みたいに足が鉛の日にさ、
> “全力で走れ”って言われても、
> そもそもスタートラインまで来てる時点で
> まあまあがんばってると思うんだけど」
> 「それを“得してる”って言われると、
> どこにそのしんどさ置いとけばいいのか
> わかんなくなる」
書きながら、
さっきの体育館の空気と、
走りながら感じていた重さが
別の形で整理されていく。
(“どこに置いとけばいいのか
わかんなくなるしんどさ”)
それを物語の中の台詞として
置き場所を作ってやると、
現実の方のしんどさも
ほんの少しだけ
座る場所をもらえた感じがした。
ページの端に進捗メモ。
『・進路指導室シーン
コンディションの波についての会話 3/4ページ追加
・“得してる”と言われたときのモヤモヤの置き場所を確保』
タイマーが鳴ったとき、
頭の中の霧はまだ残っていたけど、
胸の奥の重さは
ちょっとだけ形がはっきりしていた。
---
**夜**
夕食のとき、
食卓に成績表は乗っていなかった。
代わりに、
三者面談の日程希望を出したプリントの控えだけが
テーブルの端に置いてある。
「で、
第二希望の日が
いちばん空いてるって
先生が言ってたんでしょ?」
お母さんが、
お茶を注ぎながら聞いてくる。
「うん。
たぶんそこで決まると思う」
「仕事、少し調整しないとね。
女子は特に——」
またそのフレーズが
口から出かかった瞬間、
里奈は
わざと大きめに箸を置いた。
「その“女子は特に”の前にさ」
お母さんが、
ちょっときょとんとした顔でこっちを見る。
「“身体にも波があるから”って一言
挟んでくれると、
私の中のハードルが
ちょっと下がる気がする」
「ああ……」
お母さんの表情が、
少しだけ変わった。
「この前の体育もさ、
“フォーム重視ゾーン”って先生が言ってくれて、
それでだいぶ気持ちが楽だったから」
「フォーム重視ゾーン?」
太一が食いつく。
「なにそれ、
必殺技?」
「体調悪いときの
モード名だよ」
さくらが、
なぜか得意げに説明する。
「お姉ちゃん、
ちゃんと先生に言ったんだよ。
“今日はフォーム重視で走ります”って」
お父さんが、
「それはいい言い方だな」と笑う。
「仕事でもあるぞ。
“今日は安全運転モードでいきます”って
先に言っとくやつ」
「それ、
ずるく聞こえない?」
思わず聞き返したら、
お父さんは
少し真面目な声になった。
「ずるいかどうかは、
普段ちゃんと走ってるかどうか次第だろうな。
里奈は、
普段けっこう全力出してる方だと
父さんは見てるから、
“今日はフォーム重視”って言われたら
“あ、そういう日なんだな”って思う」
胸の奥で、
何かがぽん、と跳ねた。
(“普段ちゃんと走ってるかどうか”)
自分で自分に
それを言うのは
まだむずかしいけど、
誰かの口から
そう言われると、
とりあえず今日は
信じてみようかな、という気になる。
夕食のあと、
いつものように
片付けを手伝ってから
自分の部屋に戻る。
カレンダーの今日の□を見て、
笑ってしまう。
(数字の評価軸だけじゃなくて、
コンディション用の簡単なラベルも
ちゃんと“データ”として残しておこうとしてるあたり、
我ながら理科っぽい)
机に座って、
『二月からのゆるい実験メモ』の最後の欄を埋める。
『・□の日に“フォーム重視モード”申告→◯
・“女子は特に〜”の前に一言挟んでもらう案→試験導入
・成績表三色マップ→自分の“安定”の定義が少し見えてきた』
電気を消して布団に入ると、
下腹の重さと足のだるさは
相変わらずそこにいる。
(でも今日は、
この重さも含めて
“ちゃんと今日をやったコンディション”って
自分でラベル貼れた気がする)
“普通そうな顔”の内側で
揺れている波に、
小さな名前を一つずつ付けていく作業は、
たぶんこれからも続く。
昨日よりほんの少しだけ、
その揺れを
“言い訳”じゃなくて
“前提条件”として扱えるようになった気がして、
その感覚をそっと抱えたまま
目を閉じた。
## 後書き
**日記**
**20xx年3月2日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、
“身体のコンディションの波に
自分なりの仮ラベルを付けてみた日”だった。
---
**今日できたこと**
1. カレンダーに
○△□の体調マークをつける実験を
実際にスタートできた。
今日は迷わず□の日で、
「しんどいのは気のせいじゃなくて、
ちゃんとパターンの一部なんだ」と
自分で証拠を残せたのが
少し安心につながった。
2. 体育の時間に、
先生に対して
「今日はお腹と足が重いので、
タイム計測はするけど
フォーム重視で走りたい」と
事前にコンディションを申告できた。
その結果、
“サボり”ではなく
“フォーム重視ゾーン”という名前で
モードを設定してもらえたのは、
自分の身体をちゃんと扱おうとした
小さな成功だと思う。
3. 成績表を
三色マーカーで塗る実験をして、
数字とは別に
「自分がどこで楽しかったか」「どこがしんどかったか」を
目で見える形にできた。
そのおかげで、
“安定”という言葉を
誰かの基準じゃなくて
自分の色の組み合わせで考える
きっかけができた。
---
**今日できなかったこと**
1. 体育のとき、
男子が「いいなー“フォーム重視”」と
冗談ぽく言ったときに、
本当は
「いいことばっかりじゃないよ」って
軽く返したかったのに、
笑ってごまかすだけで終わった。
モヤモヤを
その場で半分くらい外に出すことは
まだできていない。
2. お昼ごはんのあと、
甘いものが欲しくて
コンビニでデザートを買いそうになった。
結局ギリギリでやめたけど、
「身体が欲しがってるから」という理由を
盾にして、
なんでも許可してしまいそうになる感覚に
押されそうだった。
3. 夜、
布団に入ってから
“体調悪い日あるある”みたいな投稿を
SNSで十五分くらい見てしまった。
「わかる〜」って共感している間は楽だけど、
見終わったあとに
逆にしんどさが強調される感じがあって、
時間と気力の使い方としては
あまりうまくなかったと思う。
---
**障害とその分析**
1. 男子に何か言われたときに
軽く返せなかったのは、
「ちゃんと説明しなきゃ」と
真面目に構えすぎているからだと思う。
“一言のツッコミ”レベルでいいのに、
全部をわかってもらおうとして
言葉が重くなってしまい、
結局何も言えない、といういつものパターン。
2. 甘いもの欲求に押されそうになったのは、
身体のだるさと一緒に
「なんか今日はよくがんばってるから
ご褒美ほしい」という気持ちが
くっついていたから。
“ご褒美=食べ物”のルートしか
まだ持っていないのが、
選択肢の少なさの原因な気がする。
3. SNSで“あるある”を見続けてしまったのは、
「自分だけじゃない」と思いたい安心感と、
“しんどい自分”を
正当化してくれる言葉を
探しにいってしまうクセのせいだと思う。
共感自体は悪くないけど、
それをやりすぎると
逆に「ずっとしんどいモード」に
自分を縛り付けてしまう感じがある。
---
**明日以降の具体的な対策(小さな実験)**
1. 男子からの何気ない一言に対して、
全部を説明しようとするのではなく、
『二人の季節』で考えた台詞の中から
“軽い一言バージョン”を
ひとつだけ現実に持ち込む実験をする。
例えば、
「得って言うなら、
代わりに月一で足に鉛入れてあげようか?」
みたいな、
ちょっとだけ笑いを含んだ返しを
タイミングを見て試してみる。
2. ご褒美ルートを
“甘いもの”一択にしないために、
体調□の日限定で
「ご褒美リスト」を作ってみる。
・あったかいお風呂に長めに入る
・ふかふかのタオルをおろす
・『二人の季節』用に
お気に入りのペンだけ使う時間を作る
など、
“感覚が楽になるもの”を
いくつか書き出しておいて、
その中から一つ選ぶ実験。
3. 夜のSNS対策として、
布団に入ってから
“あるある投稿”を見たくなったら、
まず三分だけ
呼吸に集中するタイマーをセットする。
それでもまだ
「読みたい」が残っていたら、
読む時間を五分に限定して
アラームをかけておく。
昨日からやっている
“朝の観察タイム”を
夜にも小さく応用するイメージ。
---
**繰り返しの意識**
今日向き合ったのは、
・毎月なんとなくやってくる
“全部だるいウィーク”に
ちゃんと名前を付けてあげること
・“女子は特に”という言葉の中に
身体の波の話が抜けている違和感
・「得だよね」と言われたときに
どこにしんどさを置けばいいのか、
という置き場所問題
みたいなテーマだった。
一年前の私だったら、
ただ「なんか今日だるい」「全部めんどくさい」で
終わらせていたと思う。
今日の私は、
・カレンダーに□をつけて
「これはパターンだ」と
自分で証拠を残したり、
・体育の先生に
“フォーム重視ゾーン”を申告して、
モード名を一緒に決めてもらったり、
・成績表を三色で塗りながら、
“安定”の意味を
自分の言葉で考え直してみたり、
少しずつだけど、
「身体の波」と「評価のラベル」を
自分の側からいじる練習ができた。
まだ、
・男子に軽く返す一言は
頭の中でしか再生できないし、
・甘いもの欲求との付き合い方も
ぜんぜんスマートじゃないし、
・SNSに逃げ込む癖も
相変わらず残っている。
でも、
それらを全部まとめて
「ダメな自分」と一括りにするんじゃなくて、
「今日は□の日だから、
こうなりやすいのは仕様」
「その中でできた工夫は
ちゃんと緑マーカー」
みたいな見方が
ほんの少しだけ
板についてきた気がする。
身体の波は
たぶんこれからも、
いいタイミングも悪いタイミングも選ばずに
やってくる。
そのたびに、
・手の甲の小さな文字とか、
・カレンダーのちっちゃい□とか、
・『二人の季節』の台詞たちとか、
今まで積み重ねてきた
いろんな実験の痕跡を
クッション代わりに挟みながら、
「まあ今日も、
このコンディションなりに
ちゃんとやったよね」と
言える回数を
少しずつ増やしていきたい。
全部の波を
きれいに乗りこなせなくても、
昨日よりほんの少しだけ
“揺れてる自分”に
やさしいラベルを貼れたなら、
それだけでも
十分実験成功の一歩なんじゃないかと
今日は思えた。




