2-(20)
「俺もシャオンと同じだよ。真実を確かめてみんなを助けたいと思う。でも…その…、それだけじゃなくてというか…。それよりも俺は…っ」
--コンコンッ
「!!」
アレンらしくない歯切れの悪い言葉は最後まで発せられないまま、突然部屋に響いてきたノックの音によって遮られた。
すっかり話し込んでいたらしく、普段なら気付くはずの部屋に近付いてきた気配に二人とも気付かなかった。
内容が内容なだけに、聞かれてしまったかと緊張ぎみにアレンが返答を返す。
「…はい、…どうぞ。」
「失礼するわね。」
返事とともに部屋に入ってきたのは、コップと灯りを手にしたセレスティアだった。
驚きと安心感の入り混じった視線が彼女に向けられる。
「どうかしたの?二人とも真剣な顔して…」
「あ~いや、いつから部屋の前に居たのかなと思って…」
「今きた所だけど…何かあったの?」
先に我に返ったアレンが疑問を口にすると、セレスティアは不思議そうに首を傾げて答えた。
「え?あ、何でもないんです。変なこと聞いてすいません。気にしないで下さい!」
「ならいいけど…あ、これよかったら飲んで。身体が温まるわよ~」
そう言うと、セレスティアは手に持っていたコップをシャオンとアレンに渡した。
大して気にしていない様子の彼女の反応に安堵しながら、渡されたコップに手を伸ばす。
お礼を言いつつそれを受け取ると、暖かそうな湯気と交じってほのかに甘い匂いが鼻をくすぐる。
先に受け取ったアレンがコップに口を付けて喉を鳴らした。
「おいしいし、身体が暖まる~!セレスティアさんホントありがとうございます!!」
アレンが感動したように眼を丸め、すぐに頬を緩めて感想を口にした。
それを見たセレスティアも笑顔を返した。
「喜んで貰えてよかったわ。もう遅い時間だし、夜は冷えるからそれを飲んだら休んでね。シャオンさんは怪我人なんだから無理しちゃダメよ」
そう二人に告げて、彼らが頷いたのを確認してからセレスティアは部屋を後にした。