2-(19)
父様--
シャオンの実の父親がなぜ??
権力争いではないのなら他に何か…?
考え込むように俯くアレンに、シャオンは続けて言葉を発する。
「どうして父様が私を殺そうとしたのかは分からない。ただ…あの人が私のことを、愛してくれなかったのは事実だ」
驚きに目を見開いたアレンを瞳の端に映しながら、シャオンは幼い頃の記憶を語りだした。
覚えているのは、冷たかった父の眼。
2つ下の妹に向けるものとは明らかに違うその態度に、幼いシャオンは酷く傷付いた。
-どうしてとうさまはわたしをきらいなの?
そう問いかけるシャオンをスレアは優しく抱き締め、仕事が忙しくて疲れているだけだと言った。
幼心にそれが嘘だと分かってはいたが、悲しそうにほほ笑む母を困らせたくなかったのでそれ以上は聞けなかった。
それでもどうにか父に好かれよう、振り向いてもらおうと必死に努力したが、結局最後まで父は相手にしてくれず、命を狙われていると知った時にそれも諦めた。
いくら望んでもどうしようもないことがある。
そのことに気付いていたが、納得するにはまだ幼く、色々な葛藤があった。
「母様と別れる時に、自分はもう王族ではなく医者の娘なんだと強く言い聞かされた。初めは戻りたくて仕方なかった…なんで母様と別れなきゃいけないんだろうって。辛くて、苦しくて…」
そこまで言うとシャオンは一旦目を伏せたが、今度はアレンを真っ直ぐ見据えて言葉を紡ぐ。
「でも、アレンたちが居てくれたから頑張れた。父様の…あの場所ではなく、みんなのいる村に戻りたいと今ならはっきり言える」
「シャオン…」
「だから、余計に赦せないんだ…。あの村の人たちを襲ったあいつらを、そして父様を…。」
最後に見た村の惨状を思い出して、心が悲鳴をあげる。
「でも、一番赦せないのは自分なんだ…」
村を襲われた。
何も出来ず、逃げることで精一杯だった。
原因は自分であるのに。
「私は、真実を知りたい。確証はないけど、囚われてるかもしれないみんなを助けたい。そして…みんなに謝りたいんだ」
シャオンの強くて真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうになりながら、アレンも彼女から視線を外さずに答えた。




