360話 側近の優先順位
俺は今、トウ・ダーラ城にある玉座でアンダルシアから引き継ぎを受けている。
いつもは執務室で受けるのだが今回はたくさんの人間が俺に報告があるため、玉座の間で待ってもらっているのだ。
アンダルシア、シャッテン、【各部門の長】が、報告の順番待ちをしている。
まずは、アンダルシアというわけだ。
国営は基本彼女に任せてる。
なので、彼女からの報告は重要な内容が多い。
必然的に優先されるというわけである。
「~~ですので、この件は私の方で片づけられます。しかしこちらの案件は、我が君でなくては~~」
俺はこうした方がいい。
書類はまとめて私室に置いといて、などと返事をしながら、
左右の側近がする会話に聞き耳を立てている。
魔王タイセイの両碗。
他国から「魔王の右腕」。そして「左腕」と呼ばれているサタナと、ナハトである。
「マスターは忙しそうだ。武器と防具の納期。
作物の収穫期が重なるので仕方がないことはわかるがな。
………ナハトききたいのだが、僕にはない能力だぞ。その色は何だ?」
「僕らもこの時期は役を担う場所。
奴隷都市や各所にドッペルを置き、魔王の警護に専念することになるからのぅ。
僕はこの前のゼットの一件で褐色肌になる能力を得た。
君にもお披露目してるんじゃ。
マスターも『オソレイッタヨ〈※:棒読み〉』と褒めてくれたのじゃ。凄いじゃろ?」
俺は褒めたんじゃなくて呆れたんだよなぁ。
でもナハトのやつが、いい方に解釈してるなら訂正することもないね。
世はこともなし、すべて良きに計らえなのだ。
「おっと!? 僕の奴隷都市で事件発生じゃ! ふむむ。攫った奴隷をどうやら中で売買しようとした、馬鹿がおったらしいのじゃ。
ドッペルと入れ替わり捕まえてくるのじゃ」
「捕まえて死罪にするだけじゃもったいないな。"ココナの奴隷都市に送って有効活用してもらおう"。
攫った奴隷を売りに来たやつは今回で10回目だからな。
ここいらで見せしめが必要だろう」
「「聞いていただろう/じゃろう!? マスターの判断がききたい、それでいいか?」」
「……良きに計らえ…………」
サタナの言う事も一理あるが。更生できそうならでかい保釈金と引き換えで助けてあげるとしよう。
俺の懐も温かくなるしね。
〈森四郎、アデルは。ナハトに氣付かれないように様子を見て来るんだ。
アップルをつけるから彼女の『目』で更生可能かを判断してくれ〉
〈〈拝命いたしましたタイセイ様/アベル様〉〉
〈俺に任せときなよ。アベル行ってくるぜ〉
トウ・ダーラから大きな戦闘能力が三つ消える。
森四郎、アデル、アップルの三人が〈転移〉を使って、ナハトを追っていったのだ。
ナハト程の強者に見つからないよう行動させることはいい訓練になるだろう。
三人の技量も上がるのだ。
姿は見えないが。護衛を務めるシャッテンが「タイセイ様の手腕はさすがでございます」
俺だけにそう聞こえるよう呟いた。
納期が重なる時期は警護も厳しくなる。
シャッテンだけでなく【情報部門】のエージェントは見えない影となり町中に散って、不審者がいないか警備してるのである。
俺がいるトウ・ダーラ城はエージェントの中でも腕利きで固めているときいた。
「私語は禁止なはずなのにー」
「部門長だけズルい。
私もタイセイ様に後でご苦労様って褒めてもらうんだからー」
……ヒソヒソあちこちで、なんかきこえるんだけど…………。この娘たち本当に腕利きなんだろうね!?
アンダルシアからの引継ぎを終える。
さて、【部門長】の番になったところで筋肉ゴリラ。ヴォルデウスがドカドカと近づき割りこんできた。
少なくともこの横入りに、文句を唱える人間はいない。
魔王タイセイは側近と呼べる人間が複数おり、その優先順位は確定している。
一番は最古の仲間で。相棒と呼べるヴォルデウスというのが側近たちの共通認識であるらしいのだ。
俺も噂は聞いてるけど、仲間に順位を付けた覚えもないので。
コレは民衆の噂でしかない。
だからシャッテンも。ミコットと、ジョフレたちもかしこまって控える必要はまったくないぜ!
親衛隊の皆さん! 魔王に不審なゴリラが近づいてますよ。
とり押さえなくていいんですか!?
「アベルよ。ランブーキンが新メニューを創作したらしいのである。どうだ、我輩と今から寄ってみんか?
ルーヴァンたちも行くといってたのである」
「もうそんな、時間かい!? そうだね。
各部門の報告は後で受けることにするよ。一時中断だ」
「んやー。おなかペコペコだぜ。ミコたちもアップルについてくよ」
「ヴォルデウス。いいタイミングでしたわよ」
「アベルが頑張っているのだ。我輩もこのくらいはしなくてはな」
そういや、前の報告会のときも…ヴォルデウスが来て中断になったね………。
長い拘束にならぬようヴォルフはタイミングをみて、割り込みに来てるとかなのかな?
とも思ったのだが、キンダのことである。
そこまで考えていないだろう。
キンダめ嬉しそうな顔するない。
俺は自然と、笑顔になっていたのだった。
ヴォルデウスはアベルが損をしないようタイミングを計って行動しています。
アベルが最後に考えたことが当たりです。
他の側近たちはヴォルデウスとアベルの関係性だけでなく彼の考えを知ってるので優先権を譲ります。
他の側近がアベルに報告してる。
→ヴォルデウスが割り込む。
→側近〈自分が氣づかぬタイセイ様の得になることがあるのだな!?〉
→ヴォルデウスに優先権を譲り、側に控える。
このようになります。
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アベルの仲間④
・オウ次郎/アーファル→西遊◯の◯八戒です。
2話でアベルがアーファルといいそうになってからオウ次郎と名づけなおすことは最初に決めていました。
・ヒト三郎/キルレイン→西遊◯の◯悟浄です。
ヒト三郎の名前が先にできて、本名はまともにしようと決めていたキャラです。
アベルが女主人公なので男側の主人公にしようと考えてました。
とあるで、主人公格が複数人いるのでいけるかなぁ、と考えていたのですが浅はかな考えでした。
・サン/バルケスティ→西遊◯の三蔵法◯とお釈迦様です。
天界の使者のみの設定で。最初はバルケスティとは別人でした。
進めていくうちにヘンリー〈※:シャッテン〉が「天界にいるバルケスティよ。ここまででてきてみろ!」といわせたとき。
同一人物にしたら面白そうと考えたキャラです。
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