357話 【ななつのくに】を呑む怪物
ゼットの行動がはやい。
やつは戦闘能力が高くなると、一般人はもう必要ないと判断したようだ。
【ななつのくに】の幹部が狙われはじめたのである。
幹部はレベルが70万の強者ばかりだが。
全員が同じ強さというわけではないのだ。
オウや、ヒトは上澄みにあたるが。アルマや、シャウは幹部の中でも真ん中くらいの強さだ。
カンポンと、モーブは下の下になる。こいつらにいたっては幹部だけど70万レベルですらないし。
まずカンポンがやられた。その後すぐにモーブが逝った〈※:生きてます〉。
ゼットは奪った戦闘能力を活用し。
他人から奪う戦闘能力で、その強さをグングン増していき、強さが中くらいの幹部すら全滅させてしまったのだ。
上級幹部だけになり、ゼットはとうとう俺の弟まで引っ張り出す強さになってしまったのである。
「大兄貴と兄貴が出る相手じゃありません。
魔王様とその後継者さんが、たかがアクシデントで生まれた魔物相手に本氣を出すことになったら。
他国から侮られますからね。
この件はヒト三郎に任せるっす!!」
お供すらつけず一人で出かけてゆくヒトの後ろ姿は、最高の男の様ですごく頼もしい。
次の日。
力を失いながらも這いずって、ミラルカの別宅に辿りついたヒトは彼女に保護される。
ヒトの話を聞くと。
・ゼットを見つけ交戦を開始する→ヒトが優勢になると、ゼットは逃走を図る。
・姿を見失うが完全に逃がしたわけではない。ゼットの戦闘能力を追っていく。
・「キル君、僕も一緒に戦うよ」と、ミラルカが登場する。
ヒトは、ゼットの変身かと怪しむが。ゼットの戦闘能力を別の場所に感じたため、本物と判断した。
・ヒトは「油断するなよミラルカ」と、背中を預けるがもうゼットの策は完了していた。
・ゼットは体を分裂させることができる。
半分をゼット状態にしヒトを騙した。
そして、もう半分をミラルカへと擬態し獲物に近づいたのだ。
ヒトは敗れ戦闘能力を取られてしまうが、コチラが得た情報も大きいぜ。
ゼットにはあきらかな知能があり、敵を騙す狡猾さを持っていることがわかった。
ヒトが敗れた以上、他国がどうこうと言ってられない。
俺は全力でこの敵を排除する。
弟分が敗れるということは、そのくらい深刻な事態でもあるのだ。
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俺はトウ・ダーラ城にある大広間で緊急の幹部会を開いている。
どうやってゼットを倒すか? そんな議題である。
ココナから、ゼットの目標について説明される。
「【ななつのくに】の幹部は現在、私を含めて強さが上澄み。いうなれば上級幹部のみが生き残ってる。
そんな、ひどい有り様なわけじゃが…………。
ゼットの最終目標が、アベル王なのは間違いないのじゃ。
妻に娶るか、喰らうかまでは知らぬ話なのじゃ」
「俺めがけてゼットが一直線に来るなら話がはやいね。この手で直々に片づけてやるさ。
ナハトの具合は悪いままなのかい?」
「ナハトよ自覚があるだろうがじゃ。
ゼットは『エメット・アモル』にいる人間達から少しの戦闘能力と、"ナハトより大量の戦闘能力を強奪し"、混ぜ合わせることで生まれた魔物じゃ。
生命力も吸い取られておるのでナハトの命は持って数日じゃ」
「じゃうぅ~~。どうりで回復が全く起きぬわけじゃ。苦しいのじゃ~~~」
ナハトに〈全回復〉をかけても治らないわけだ。
ゼットに生命力と戦闘能力のほとんどを持っていかれてるため、ナハトは今の瀕死状態が基本になってしまっているのだ。
時間がたつほど生命力は減ってゆき、彼女に待つ運命は死だ。
させるもんかい。
蟲毒の塊であるゼットを消滅させれば奪われた力は全て元の体へと帰ってゆくはずだ。
俺はナハトの手を握りながら。グラヴィタス戦のとき以来である、『敵の殺害』を最初の目標に定めるのだった。
「アベル殿が動く以上、わしらに出来ることはないかもしれんのぅ」
「アーガシアたち【神越えの七帝】の実力を疑うわけじゃないけど、俺一人の方が戦いやすいと思う。
そういうわけだからさ。
アンダルシアたち【四天王】と、シャッテンほか【ツェーンヘルト】。
オージたち【七勇者】も今回は出番なしだ。
もちろんヴォルフの【永夜の夜明け】も出番はなしだぜ」
「「「「わかりました我が君!!!!」」」」
「悔しいがアベルの判断に間違いはない。ここは素直に従うのである」
俺の仲間たちと、ヴォルフが返事をした。
ココナから追加情報がもたらされる。
それによるとゼットは中途半端に奪った力を補完し、完全なものとするため。ナハトの吸収を企むだろう…………とのことだった。
まったく! 魔人ブ〇なのか、人造人間セ〇なのか? いいかげんにハッキリしてほしいぜ!!
その時だった。
はるか上空から襲撃のタイミングを計っていたんだろう。
大広間の天井をつき破ってゼットが姿を現した。
ゼットは【ななつのくに】の民と幹部、そしてヒト三郎から、戦闘能力を吸収しレベルを大きく上昇させています。
アベルと、ゼットの戦闘能力は。人造人◯16号がいう「計算では私とセ◯はほぼ五分と五分の力だ」状態になってます。
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アベルの仲間は音楽家からとってます。
ヴォルデウス・アツォルフ・モートン→【ヴォルフガング・アマデウス・『モーツァルト』】
ルーヴァン・ベトヴィエ→【ルートヴィヒ・ヴァン・『ベートーヴェン』】
セルバス・バティハ→【ヨハン・ゼバスティアン・『バッハ』】
タキタ・レンタロウ→【『瀧廉太郎〈※:たきれんたろう〉』】
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