346話 ナハトディユのアルヴェール・マント
バンとレムのやつが机をたたいて立ち上がった。
唐突すぎてビクッとなったことは内緒だ。
「そんな事ありません!! アルカディアさんからすれば、アベルさんは余計なことをしたかもしれません。
僕達はそれでもっ。この人のおかげでペリルの支配から解放されてるんです!!」
「私もレムと同じ意見。……いや私だけじゃない…………。
このことは我がフォルモ帝国の総意。国民はみんなアベル君に感謝してる」
「後50年もすれば解放されたんじゃぞ。
奴らの生命力が尽きペリル、レイゾック両名の魂は悪魔に吸収される手筈だったのじゃ。
それでも不満か?」
悠久の時を生きる魔族からしたら50年はあっという間の出来事なんだろうが。
苦しんでる人間に対し『救われるまで50年待ちなさい』は残酷すぎる。
そのように言われて、納得できる当事者がはたしているだろうか?
答えは゛いない゛である。
その証拠に温厚なレムと感情が希薄であるシャーリー。
二人から膨大な殺氣が発される。
場は戦闘がはじまりそうな雰囲氣になった。
ちなみに俺は、アルカディアの指摘をどうとも感じていない。
己の心に従い悪党を倒した。
自分が一番納得できる選択肢を選んだんだ。
その事で誰かに何を言われようとも、揺るがない確固たる自信があるのだ。
といってもレムと、シャーリーを止めないといかん。
二人は俺の事も考えて意見を言ってくれたんだろうが本当に一戦しちまいそうだぜ。
「軽率な発言じゃった。苦しむ君たちを考慮しておらなんだ。
この通り頭を下げる。
どうか許しておくれ」
「「あっはい。……えっと……ゆ、許します」」
「良かったのじゃ。これから友誼を結ぶ仲間になるのだから、ギクシャクするのは嫌なのじゃ」
あんだって?
お目めをキラキラ輝かせアルカディアが話しかけてくる。
その期待に満ちた目はいったい何なんだい!?
「サタナに連絡をつけ勇者アベルに、ここまで来てもらったのには理由がある。
本題に入ろう。
君の傘下に我が冥界を加えてもらいたい。
きたるイブナスとの最終決戦で、僕達は大いに役立つだろうなのじゃ」
願ってもない申し入れだい。「もちろんだぜ。よろこんで」
言いつつ俺は、アルカディアと握手を交わす。
「これだけではないぞ。僕もつけるのじゃ!
サタナにするように可愛がっておくれなのじゃ。にゃひひひ」
そっちは、断固として断ーる!!!
「何故じゃ!?」と言われるけど。嫁にルーナがいるし。
アルカディアの想いがもし成就してしまうと。
嫁の大叔母をハーレムに入れている、倫理感が終わっている魔王。
悪い風評が立つ未来が簡単に想像できる。
絶対にそこに到達させてはならない。
俺は見えてる落とし穴に落ちるマヌケではないのである!
「ルーナさえよければ構わないと思うぞ。
僕の血族からアベルの妃が出ているから、これ以上いらないという氣もしないではないがな」
「アベルは僕の旦那じゃ。叔母上の入る余地なぞ無いのじゃ!!」
サタナさん論点そこなんだ。
アベル本人の意志を無視したらだめだい。
「残念じゃが、まぁ良い。長い人生で氣が変わる時も来るじゃろう。゛マスター゛の考えが変わることを待つのも面白いのじゃ。
それと、叔母上は禁句じゃ。僕のことはアルカちゃんと呼ぶことを許すのじゃ」
絶対変わらんもんね。
でもサタナ、アルカディア、ミラルカ、ルーナ。
『イフマイータの血族』は全員、顔が整っている美人なんだよね。
アルカディアの言う時がひょっとすると来るかもしれない。
いや、ルーナの氣持ちを裏切ったりしないぜ。心に固く誓っておくのだ。
俺とアルカディアは正式に同盟を結び、冥界は【ななつのくに】に参加となった。
正確に言うとトウ・ダーラ国の傘下に収まったのだ。
・「僕はサタナと同じ存在じゃし前から決めてた事じゃ。受け取って欲しい」
アルカディアは姿を変え漆黒のマントになった。というか俺の『使い魔』になったのだ。
サタナの様に、俺が死なない限り不死身となって敵を攻撃する。
相手から見ると、やっかいなこと、この上ない存在になったのである。
・俺がマント装備中であったとしてもアルカディアとして活動が可能である。
サタナの様にね。
俺に言われたくないだろうがデタラメだぜ。
さすがはもう一人の゛イフマイータ゛だ。
・「マスターの『使い魔』となった僕に゛名づけ゛を頼むのじゃ」
「僕の真似だなアルカ」
「君だけいい思いはさせないのじゃ。にゃひひひ」
サタナの突っ込みを無視し、俺はアルカディアに新たな名前。『ユートピア』を付けようとした。
しかし、アルカディアから今の名前と意味が同じだから別のにしてと、イチャモンをつけられる。
しかたなく第二案『ナハトディユ』を授ける。
なんか「まともだ」とか小さく聞こえたけど氣のせいだろう。
俺、なんといってもネーミングセンス抜群なんだし!
ナハトが『夜』、ディユが『冥界』と言う意味だ。冥界王である彼女にピッタリの名だろう。
「アルカいやナハト。
僕らに我がマスターが新装備を着た姿を見せてくれ」
「うむ。マスター準備は良いか?『冥界を纏う王の外套』装着のお披露目じゃ」
心の中で「冥界王ナハトが自らこの俺を選んだのだ!!」と、呟きながら新装備を着込んだ。
白夜を思わせるソレは───。
純白に赤い模様と紅い星が浮かぶマントである。
俺の肌に吸い付くような一体感を感じる。
飛〇のマントの様に見えるが、ちっとも動きの邪魔にならない。
俺が動く方向をマント自体が察知してるかのようだ。
〇飯ちゃんなら「でもこれ全然邪魔になりませんよ。クリリ〇さん自由に動きます」と感想を言うだろう。
「かっこいい」
ルーナを含む女性陣の声が聞こえる。
アルヴェールは〈※:アルヴ/ルーマニア語で白〉〈※:ヴェルメリオ/ポルトガル語で赤〉をアナグラムにした名前になってます。
ナハトは「僕のことは、アルカちゃんではなく。ナハトちゃんと呼ぶよーに」とすぐに訂正しました。
ナハトは〈【ななつのくに】の傘下に収まる僕の目的は達成できた。イブナスめ、貴様の魔手から僕と悪魔たちの『ユートピア/理想郷』は必ず守ってみせるのじゃ!〉そう考えたみたいです。
イフマイータの名前は【七勇者/フルーツ】を切り分ける〈ナイフとまな板〉が由来になります。
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