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337話 オーサム・アンドレイアー

 俺とゴ-シュは相手の隙を探しつつ、ジリジリと距離を詰める。

 お互いが攻撃射程距離に入っていた。



「力が(みなぎ)って来る!? ありがたい。アルカディア様の力添えに報いてみせますぞ。

 冥界にて、この戦いをご覧下さい!!」


 まずいね。ゴーシュが言う様に力が注がれ、やつのレベルが大きく上昇している。

 しかも上がり続けてるのだ。


 放っておけば、戦闘力∞のブロリ〇の様にレベルが高まり続ける事だろう。


 だが、俺がまずいと言ったのは力を注ぐ相手についてなのだ。



 ゴーシュを助けるのはアルカディアじゃなく【魔神】である。この悪意に満ちた魔力は、間違えなくあいつのものだぜ。


【魔神イブナス】ならレベル上昇だけじゃない。

 こいつに何らかの、()()()()()()()()()()()を授けてるだろう。



「ならゴーシュを相手にしてもしょうがない。術者であるスロイブを最優先で攻撃するぜ!!」


 攻略が難しいスタン〇を相手にする必要はない。

 その場合、本体を叩くのが定石〈※:物事を処理する時の最善の仕方〉だと俺は知ってるからだ。


 召喚者であるスロイブを倒せば悪魔のゴ-シュは、元の冥界に返還(アンサモン)されるんだ。

【魔神】が強化していようが関係ないのである。



「ずるいやつだね!? スロイブを攻撃されない様に飲み込みやがった。

 体内に隠したのかい」


 しかもゴーシュはスロイブから得た〈悪魔召喚〉を使用して、大量の悪魔を呼びだしている。


 俺は、アーガシアと【七帝】の仲間へ、都市防衛の指示を出す。


 だって()()()()()()()()()()()()()()だから。



「わかったのじゃ」

「「「「「ニャア/僕/僕/朕/私に任せて!!!!!!」」」」」


 アーガシア、ニャハル、レム、ミラルカ、妖六郎、シャーリーは良い返事をした後。都市の各部に走っていった。


 彼女達なら建物に傷一つすら、つけさせる事がないだろう。



「俺とゴーシュ、これで二人きりになった訳だけど。

 アルカディアが見ている前で恥をかく前に、降参する事をおすすめするぜ!!」

「ほざけ!! チンチクリンの小妖精(ゴブリン)ごときが! でかい口をきいた事を後悔させてやるわっ!!」


 やつが振るう右腕をかわし様、俺は聖剣を抜いて切り付けてやる。


 二人が同時に笑った。


~~~~



 ゴーシュというケルベロスはなかなかに手ごわい敵だ。


 本当なら簡単に倒せるのだが。

 言い換えたら苦も無く片づけられる雑魚に過ぎないんだが。


【魔神】がこいつに手を貸しているせいで手強い敵に変わってしまってる。



「ちょこまかと、すばしこい奴め。こちらの攻撃が全く当たらん!

 だが貴様の攻撃は痛くもかゆくもないぞ。どちらに分があるか、わかってるんだろうがな」

「ほざいときなよ。まだ本氣を出して戦ってすら、いないんだぜ!!」


 40代目陸〇の様に「そろそろ本氣を出していいか?」と、自分へ暗示を掛けたい氣分だ。

 やつの言う通りである。


 こっちの攻撃はゴーシュに効いてないが、ゴーシュの攻撃はこっちに当たっていないだけだ。


 つまりダメージを食らう。

 当たると痛いわけなのだ。

 圧倒的に俺の方が不利である。

 でも……分析は完了したからね……。


 スーパーアーマーみたく崩れナシな高い防御力があるだけで。コイツの防御は、決して物理攻撃無効ではない。


 つまりゴーシュの防御力を超える攻撃を与えれば倒せるに違いない。


 ベルダースーパーグレートソードとサタナでも傷つけられないため選択肢は二つだ。



 ファイフラム・サルバシオンでなく今回は『奥の手①』の指パッチンでいく。


 ゴーシュの攻撃が迫る中。

 俺は、手を前に出しそれから指を弾いた。



「爆ぜろ。〈セプテムウォルンタース・ソウル・オーサム・アンドレイアー〉」



 バヂン……ズドゥゥン、ギィリリーン。重低音と超高音の反する音が耳に届く。


……

………

…………「ぐうぅ」

 

 ジュウゥと肉が焼ける匂いが鼻をつく。

 大やけどを負った右腕を抑え、うめき声を上げる。やはり詠唱抜きでこの〈七帝の大魔法〉を使うのは無理があったか。


 レベルが上がれば使いこなせるだろう。

 でも、今のレベルだと自分にも大きくダメージが来るらしい。


 本来は【神越えの七帝】で放つ合体大魔法だから、今のゴーシュでも原型をとどめず灰にできるだろう。



「大した威力の魔法だ。……アルカディア様の力添えがなければ……灰になっていたなぁ……」


 ゴーシュの右腕だけ無くなっており、他はなんともない様子だった。


 素晴らしい防御力じゃないか。〈イブナスの馬鹿野郎!〉

 そう心の中で悪態をついちまったぜ。



「そろそろ本氣を出していいかい?」


 俺は左手の指を弾きやつに向けてもう一度。()()()()。〈セプテムウォルンタース・ソウル・オーサム・アンドレイアー〉を撃ち込んだ!


 結果は、やつの左脚が吹き飛ぶだけに終わる。そんな事はわかってるとも!!



「決意完了だぜ! アベルの覚悟を良ーく見ときなよ【魔神イブナス】!!」


 大やけどを〈全回復〉させ、すぐにゴーシュに向け連続で〈|オーサム・アンドレイアー《最勇氣》〉を撃ち続ける。


 痛みはあるがへこたれてるヒマはねー。ポルナレ◯の氣分だい。


 頭ではRED(夕焼け空〈レッド〉)が憎しみの歌を撃つ時「反動なんか氣にもならねえ」と言っていた。


 彼と違い俺の場合。やせ我慢である。

 


 仮にミス〇だったら「本当の覚悟はここからだ。オメーらも腹をくくれ! セック〇・ピストル〇ーーー!! うおおおおおおーーー!!!」


 そう言って敵を撃ち続けるところだろう。私に勇氣を与えてくれる。



「待てっ!? あぎゃ。ぐっは。やっだあぁああぁ、ばぁああああーーー」


 合計72発を撃ち終え、俺はゴーシュの状態を確認する。


 やつは塵と化し消滅していた。


 どんなもんだい。何とか勝利したぜ!!!

オーサムは英語のスラングで〈※:最高、素晴らしい〉です。アンドレイアーはギリシャ語で〈※:勇氣、度胸〉になります。


一発につき腕が吹き飛ぶため、オーサムアンドレイアーは四肢と頭と胴体の合計6発でゴーシュを倒せます。

アベルの72発は完全なオーバーキルと言えます。


─────────────────────

アルカディアそしてコソコソ見ている【魔神】よ。

俺たちに手出しするとどんな結末を迎えるか?

よーっく見てなよ!


俺はゴーシュの魂を掴み左手を添えた。目的はこいつの靈核を完全に破壊するため、そのための攻撃を加えるからである。


歴代陸◯のひとり。

桃◯が虎砲を震わせ、親父殿に膝をつかせた「なゐふる」。

四十年かけ完成を見た、陸奥◯明流における奥義だぜ。

この技は同じ原理で放たれる。

俺は、『ウルトラショック・ウェイブ』をゴーシュの靈核に叩き込んだ!!


この技を食らった靈核は完全破壊される。……はずだったけど手前で止めてしまった……。


俺の勘が、やめておいたほうが賢明だと告げている。

まぁいい、逃げなよ。

離した魂は慌てて冥界へ逃げ帰った。


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