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御伽話のように  作者: 玄米和花
1/9

出会い

初投稿です。

稚拙な部分は多々あるとは思いますが、読んでいただけると嬉しいです。

「_____ハル、ハル」

もう何度も読んでいるのにハルの声は返って来ない。


この国は魔法と剣が発達していて、一見煌びやかに繁栄しているように見える。


しかし、この国は王族が大きな権力を持っている。そして、女王と王子が自分達の浪費の為に民衆から税を奪い取り、苦しめている。




そんな中、父が王宮騎士である俺は10歳の頃から、王宮にある鍛練場に行き、騎士になるために励んでいた。


「その歳でこの出来とは大した才能だ。皆もカイを見習いなさい。」


今日も先生に褒められた。皆と比べて褒められる。勘弁してくれ。周りを見渡すと、俺を憎しげに見ている年上の鍛練生。嫉妬の目。めんどくさい・・・。

休憩に入ると皆はそれぞれ数人で集まる。

「疲れたー」

「キツすぎー」とおしゃべりしてる。そして、先生がつかさず

「愚痴をこぼすな。カイをみなさい。何も言わず、鍛練に励んでいるんだぞ。」と怒鳴る。別に話せる友達がいないだけだけどな。

あーあ。こんな才能無かったらあそこに混ざれたかもしれないのに。


鍛練の帰り道、いつものように一人で廊下を歩いていると前から、俺を憎々しげに見ていた奴らが歩いてきた。まだ、あっちは気づいてないようだ。別の道を通ろう。横にのびている廊下の方に急いで曲がる。


しかし、王宮は入り組んでいて、限りなく広い。迷子になってしまった。どうしよう。とにかく人に道を聞きたいが人がいない。第一、ここは王宮だ。声を掛けただけで不敬にあたる人がわんさかいる。


父から聞いた話を思い出す。私利私欲の為に王宮の金を使う女王様。なんでも買い与えられてわがままに育った第一王子様。うぅ・・・。やだ。とにかく元きた道に戻ろうとしてるけどここだったかな・・・。


道を曲がると、そこにはガラス張りの庭園が広がっていた。色とりどりの花、庭園に差し入る光。ここは本当に王宮の中なのだろうか。いつの間にかドアノブに手をかけていた。まずいかもしれない。でも、好奇心が邪魔をする。


えぃっ!少しだけ・・・中に入ると花の優しい香りがする。どの花も傷1つない。美しすぎて本当に生きているのか不思議になる。次の花、次の花と瞳を奪われるうちに、庭園の奥まで来てしまった。


すると並び立つ花の隙間からベンチが見えた。ベンチには人影がある。まずい。勝手に入ってきてしまったし怒られる。しかも王宮の庭園に出入り出来る人物だ。見つかったらやばい。そーっと、そーっと。


「誰だ。」低い声が響く。物音は立てなかったのに見つかってしまった。


「ここへ足を踏み入れる許可は下りていないはずだが?姿を見せろ。」


恐る恐る物陰から姿を出すと、そこには二人いた。一人は父が何度か家で飲み会を開いたときに見たことのある王宮騎士だ。


「トキさん?」

「・・・お前はオランの子供じゃないか。どうしてここに。」

「道に迷ってしまって」

「どうやったら何年も通っていて迷えるんだ。お前は剣以外てんで駄目だな。まぁ、案内してやる。」


知っている人で良かった。ほっとため息をつく。


「あの、君の名前は?」


もう一人の方に声をかけられ、見るとそこには白に近い金色の髪をした、雪のように真白な肌の、灰青色の瞳を持つ少年がいた。

俺と同じくらいの歳のようだが、明らかに高い身分の身なりをしている。まずいかもしれない。


「カイです。」

苗字まで名乗ったら、王宮騎士の父まで罰せられるかもしれない。


「私はハル。あの、少しお話できませんか?」

嬉しそうだ。罰せる気はないのだろうか。


「トキ、下がってて」

何も言わず、トキさんが離れる。


「私は王族の一人ではあります。しかし、王とは親戚と言っていいのか分からないほど遠い関係ですので、お気になさらないでください。」


心配していることがバレてしまっていたようだ。早く帰りたい。なんで王族の暇潰しに付き合わなくちゃならないんだ。


「綺麗な花ですね。つい見に来てしまいました。」


とりあえず当たり障りのないことを話しておく。


「そうでしょう?ここの花は庭師の方が外国から花を取り揃えていて____」


目をキラキラ輝かせて花の解説をしていく。どうやら正解だったらしい。豪華な花に惹かれはしたが、それほど花が好きな訳では無いので適当に相槌をうつ。


だがハルという少年の話は止まらない。時計が一周した。


「あ、もうこんな時間ですね。そろそろ戻らなければ」はぁ。ようやく終わった。


「今日はありがとう。あの、もしよろしければ、良かったらでいいんだけど・・・またお話してくれませんか?」

かしこまらなくてはならないし疲れる。


「はい。もちろん。」

しかし本当のことを言うわけにはいかない。


「それでは、次の週のこの時間。またお会いしませんか?」



その日から、1週間に1度、1時間ほどハルと話すようになった。





ご覧いただきありがとうございました。

読んでいただけて嬉しいです

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