平和な今日の予定
最近街の中が騒がしくなってきた。
国境付近で攻撃があったとか隕石が落ちたとか情報がめちゃくちゃでよくわからないが、とにかく何かがあったらしい。
しばらく商人として露店を出していた。赤字だ。常に赤字。
客は来てくれるようになったのだが、安い物しか買わない。
どれだけ売れたとしても銀貨1枚になるかならないか程度で、そもそも許可証に銀貨1枚、宿代や飯代、20日毎に払う滞在税にハンターギルドに納めるお金を含めると、まあまあ赤字になる。
ただ、お客さんとして来てくれた人やその噂を聞いた人が、あの鎧は頭が悪いほど物を安く売る商人、というイメージを与えることに成功している。
なにせ道を歩いていると「今日は店を出さないのかい?」と声をかけられる程に。
同じ商品を売っていると売れなくなってくるからカゴだけ作っていても行き詰まる。そろそろ別の安物商品を何にするか決めなくてはならない。
「今日も店にいくのか?」
「そうだな……久しぶりに他のギルドを回って依頼を探すのもありか」
コロンに聞かれて目的を決めた。最近、商業ギルドにしか顔を出してない。
特に錬金術ギルドは緑のクチバシの薬を渡してから足も運んでいなかった。
ボロ宿の中で今日の予定が決まると、コロンが俺の兜を渡してくる。
「はい、あなた」
「あ、ああ。ありがとう」
本当にいつのまにか、俺の呼び方が“あなた”に変わっていた。
俺はまだ彼女に何もしていないが、本当に結婚したことになったのだろうか。自分でもまだよくわからない。
ただ、この狭い部屋に2人で居ても不思議と居心地は悪くなかった。
これがどういう感情かはわからないが、悪いものではないだろう。
「じゃあ錬金術ギルドに行ってみるか」
コロンと2人でボロ宿を後にした。




