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ゲドルの仲良し3人組

ケテケテの討伐依頼を受けた若いハンターが3人、森の中へと踏み入れていた。


本来この森にはプチプチしかいなかった。


だが、前日討伐されたばかりのブラックキメラと呼ばれる魔物により大量のプチプチが倒されて魔物の生態系に異常が発生する事態となった。


ケテケテは単体ではプチプチよりも強い魔物だが、群れをさないために場合によってはプチプチよりも弱いと判断される魔物だ。


若いハンターの3人はプチプチに苦戦しながらも、少し戦いなれたような雰囲気でプチプチに囲まれないように立ち回りながら戦っている。



「なかなかいないな……」


「まだ探索し始めたばかりじゃないゲドル。なにが、なかなかいないな……よ。こんなので疲れてたんじゃランクも上がらないわ」


「……なんだと? こっちは先頭で敵の攻撃を受けなきゃならないし索敵もしなきゃならない、MPを温存したいとかいうから結局プチプチを倒すのも俺なんだぞ!」


「な、なによ! 大声出して! バカじゃないの!? 魔物が寄ってくるじゃない!!」


「バカなのはどっちだよ! 作戦がおかしいって何回も――」


「や、やめようよ。もう2人とも大きな声になってるし、これ以上は本当に危ないよ。まずは場所を移動して安全を確保しよう?」



青いフードを被った男の魔法使いシールが2人の間に入って仲裁をする。


最初の依頼を受けたときにプチプチに囲まれた経験がこのチームにはあった。その時の経験を生かして、依頼前に必ず作戦を作るようにしていた。


作戦では紫フードの魔法使いカリンがほとんどを決めている。ゲドルには作戦と呼べるものを考えるのは不可能だったし、シールにはチームの命運を握る命令を出すほどの勇気はなかった。


カリンの作戦は 1、囲まれない 2、魔法を温存 3、逃げ道を確保する という通常時の作戦に加え、今回の依頼の作戦、ケテケテが出てきたらゲドルは防御、シールはゲドルへの支援に回り、カリンの魔法が完成するまでの時間を稼ぐ、というものだった。


他の依頼をやっているうちにカリンは上手くいくのは自分の考えた作戦のおかげなのだと自信を覚えていた。


空気の悪くなったチーム。しかし、これは今に始まったことではない。


ゲドルの剣が折れて、チームのお金で買い替えたあたりからカリンは機嫌が悪かった。私物が壊れてそれをチームの共同で貯めていたお金を使って買うのだから、多少不満は出るだろう。


それに加えて作戦も自分で決めなくてはならず負担の偏りが自分に来すぎているのではないかと漠然ばくぜんと考えていた。


それが爆破してしまったのだ。



「今は依頼に集中しよう、ね」



シールは雰囲気が悪くなっていっているのは気づいていたが、自分では何もできる事はないと見て見ぬ振りと問題の先延ばしでなんとか今日までチームをもたせてきた。



「いや、今日は言わせてもらうわ。そもそも作戦を私が――」


「黙れ! ……ケテケテがいる」



声に寄せられたのか、魔物が近づいていた。


プチプチも3体寄ってきている。


ケテケテの後ろにはムーンフェイスと呼ばれる黄色い宙に浮いている仮面型の魔物までいた。



「クッソ! 撤退だ! 一度引くぞ!」


「何言ってんのよ! そこにケテケテがいるんだから私が魔法を当てればいいじゃない!」


「本当に当てられるのか? ムーンフェイスも来てるんだから、外しましたを笑って済ませられないぞ」


「あ、当てれると思うわよ! ……わかったわ、じゃあシールに決めてもらいましょう」


「え!? 僕!? ああいや、どうかな。ほら、そんな事を言ってる場合でもないかな。まだ僕達に気づいてないみたいだし一度様子をみない?」



シールの指示に2人とも素直に従って木の影に隠れて敵の様子を伺う。


魔物がバラけたところで攻撃することにしたようで、3人は息を潜めて魔物の群れをしばらくにらみ続けていた。

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