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魔物の出現

住民たちは眠りについて時間が経ち、一人で見回りを続けていた。


何もないし音もしない。風で森の葉がこすれる音か、消えかけの松明がパチパチしている音だけだ。


だが、物語の冒険者がしそうなこの行動に少しだけワクワクしていた。


徹夜てつやで焚き火の近くに座って、時々村の周りを警戒しながら歩く。


何もないんだが、それが楽しく感じる。


――ガササッ――


耳の端で音がなったのをとらえた。


来たか!


地面をこする音。人が歩くような音ではない。


左手にナックルダガーと右手に自分作メリケンサックを装備。


どこにいるのか分からないので“マップ”を使って魔物がいるのか確認した。


赤い丸がマップの畑の位置をすごい速さで動いている。


ちょっと意味がわからない速度だ。赤い丸に残像が残るほど速い。


どう倒すのが正解だろうか。「えいやっ!」と、短剣で切れるような速さではない。それに近づいて逃げられればふりだしだ。


罠か、魔法でどうにかするか……。


使えそうなアイテムを確認する。


とりもち、トラバサミ、落とし穴、電気柵――。


動きさえ止まれば弓で狙うことも可能だろう。


魔法なら抵抗されない前提でマヒ系か早すぎるからエリア攻撃系か即死魔法という手もある。


ステータスを魔法寄りにしているからあまり効果を期待できないがスキルも使えるものがある。


気配遮断けはいしゃだん透明化とうめいかで消えて近づけるかもしれないし、視界でとらえれば縮地しゅくちで近づく事はできるだろう。攻撃まではスピードが足りなくて無理だろうが。


だが、ここはアイテムコレクターとして生きていくのだ。今回はアイテムの力を見せつけていこう。


まずはとりもち。ネバネバの罠。対象が上を歩くとネバネバがひっついて行動を阻害そがいするアイテム。うまく行けば動かなくなる。


ただ、敵は既に畑でのんびり遊んでいるのだから今更どうやってしかけるかが問題だ。


何も気配遮断けはいしゃだん透明化とうめいかや魔法ならステルスなんかに頼らなくてもアイテムでもどうにかなるのだ。


存在を消す薬もあるが、装備もある。



隠匿いんとくのマントを装備した。



これで隠れることが可能だ。多分。使った事はないし試したこともない。


だがこいつはゲームで関所を堂々と通ることができるアイテムだった。


魔物に効果があるかは知らないが、ダメならまた考えよう。


足音をたてないようにゆっくり近づく。


マントの効果か、そもそも近づいても逃げないタイプの魔物なのか畑をガサガサしているだけだ。


だいたいがコイツは何をしているのだろうか。畑の野菜を食っているわけではなさそうだ。速すぎてわからないが。


畑に十分近づいたのでとりもちを取り出す。


セット。


30cm四方の白いネバネバが畑の一角に出来上がった。


……下の野菜はダメになったから後で謝ろう。


後はこの場でとりもちの上を通ることを祈るだけだ。

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