薬の効果
緑色で粘性のある回復薬がゴザーの皮膚に広がる。
「どうだ?」
ゴザーはまだ効果が現れていないからか喋らない。
見ている方は間違いなく効果が現れているのを確認していた。
緑色の液体が薄く付いた内側の皮膚の腫れがひいて、どす黒く変色していた皮膚はいくらかマシになっていく。
「なかなか見ないタイプの薬ね。誰が作ったの? この街の錬金術師?」
ケイリーがゴザーへ薬を塗りながらメルトリゥに顔を向けた。
「よくは知らないんだが、門で見かけた全身鎧の男がいただろう? あいつが錬金術でこの薬を作ったみたいだ」
「へぇー。なるほどな。ならあの格好もまだわかるか。逃げるのにも戦うのにも向かないが、守るのにはうってつけだからな」
薬の匂いで部屋全体がむせ返るほどの草の匂いになり、アタリが何も言わずに木の窓と扉を開け放つ。
「なかなか優秀な錬金術師みたいねぇ。だいぶ痛みも引いてきたわ。みんなありがとうね」
目を閉じて何かを考えていたゴザーが腕を少し動かしながら話した。
「一度ギルドに戻りましょう。あたしの怪我であんたたちマトモに報告もしてないんじゃない?」
「本当にもう動けるのか?」
「腕の方は大丈夫。足はまだだめだけど、固定してれば動けないほどじゃないわ」
ゴザーはソルとケイリーに両脇を抱えられて立ち上がる。
足は添え木に布を巻き付けた状態だ。
「怪我も治さなきゃだけど、盾はどうしようかしら。お気に入りだったんだけどねぇ」
右手が寂しいのか、握ったり閉じたりしながら手を見ている。
「この街じゃ期待はできないだろう。一度、メルートに戻ろう」
まだ痛々しいゴザーを連れて一同はギルドへと向かってゆっくりと歩いていった。