人だかりと錬金術
朝から街が騒がしい。
ギルドに向かう途中で冒険者でもハンターでもない、一般市民の方々が何かをみようと集まっているようだ。
すごく邪魔だ。
「あれが緑の――」
「キャーカッコいい! 私もワンチャン――」
「2級らしい――」
周りの人の話を盗み聞きすると、別の街から高ランクのハンターか冒険者のチームがやってきていて、その野次馬ということでいいのだろう。
なんてどうでもいい話だ。
この分だと今はハンターギルドには行けないな。もう少し早起きすれば良かった。
依頼は少ないらしいが、久々に錬金術ギルドにでも顔を出すか。
ハンターギルドに向かっていた足を錬金術ギルドへと向ける。
錬金術ギルドの周辺は落ち着いている。
そもそもこの街で在籍している錬金術師が俺を含めて3人しかいないのだから、賑わいようがない。
錬金術か……最初に来たときよりも錬金術の素材はたくさんある。ただの石ころからただの雑草までよりどりみどりだ。
楽しくなってきたぞ!
ギルドに入り、コインを受付に置く。
案の定、この錬金術ギルドの受付は誰も来ない。
「依頼を受けに来たが、誰に言えばいい」
以前来たときより少しだけ様子がおかしい。
慌ただしいような気配を感じる。
依頼なんかハンターギルドみたいに張り出せばこちらで勝手に選ぶのに張り出されていないせいで、一々(いちいち)受付と話さなきゃならない。
「これは、アカ様」
大きな茶色と白の翼、たしかユーリとかいう受付とか諸々(もろもろ)を兼業している忙しい奴だったな。
「何か良さげな依頼がないかと思って寄らせてもらった。収入の低いものでも構わないんだが」
「……もし、の話なのですが」
ユーリが言いづらそうな雰囲気を出している。
演技なのか本気なのか判断つかない。
「あの、アカ様がギルド試験の際に作られていた液体回復薬。あれを急ぎで作成していただく事は可能ですか?」
「ん? 作るのは構わない。なんか曖昧だがそれは誰かからの依頼になるのか」
「つい先程、ハンターギルドから回復薬の依頼が緊急で届きまして、ギルドに備蓄の塗る回復薬は全て出したのですが、足りないと。どうやら緑のクチバシのメンバーに怪我人が出たとかで慌ただしく、まだ依頼書も届いてない始末でして……」
緑の……? 外で人だかりができてた高ランクパーティーか?
有名なんだろうな多分。いきなり緑のクチバシと言われても、外の噂を聞いてなければ聞き返すところだった。
「怪我人が出たということは俺が作る即効性の回復薬の方がいいということだな」
「そういうことですね。どうでしょう。報酬は事後になりますが、緊急ですし高等級チームの要請で悪くはないはずです」
まあ、別に暇だしいいか。
「わかった。今は手持ちはないので作ってくる」
「お願いします! ギルドコインは次に来たときに処理しますので」
ギルドコインを返された。まだ依頼書もできてないから処理できないのだろう。
なんか慌ただしいと思ったら緊急依頼があったのか。
これはラッキーだったな。来てよかった。
ギルドに提出した回復薬を渡しても良かったが、改めていくつか作りたくなった。
一度、安宿に戻って色々試してみよう。




