緑のクチバシ、グレストル到着
緑のクチバシの面々は速馬車という移動手段で一日かけて既にグレストルに到着していた。
速馬車は人のみを載せて走り、御者は移動速度の魔法が使える魔法職のみが手綱を握る極めて高額な移動手段で有名だ。
わざわざそれを使ったのは依頼を先取りされないため、というよりは単純に高等級ハンターでは時間がもったいないから使われることが多い。
グレストルの中に馬は糞の関係上、特例以外で入場できないため門の前で降ろされた。
「グレストルも久々ねぇ。まずはハンターギルドよねぇ?」
ゴツめの男がヒゲを気にしたように触りながら重そうなタワーシールドを地面に置く。
門兵とやり取りするために先行していた金髪の男が口を開いた。
「そうだな。それから宿をとって作戦会議。必要なアイテムの確認と足りないものを購入して、偵察に出発だな」
まだ暗くなるわけではない時間帯で人は少ない。
ガシャンガシャンという音が緑のクチバシのメンバーの後ろから近づいてくる。
みんなが音の方を見ると全身に鎧を身にまとった太った男が歩いてくる。
フルプレートアーマーは防御力の高い装備だが、機動力を極めて損なうため、ハンターで使うものは皆無だった。
壁役だとしてもゴツい男が持つようなタワーシールドでの壁が一般的。手を離せばそれだけで身軽になれるからだ。
フルプレートアーマーでは逃げる事ができなくなる。ガシャンガシャンと音もなって隠密にも向かない。メリットはあるがデメリットがでかすぎるのだ。
だが、彼らの目の前にはフルプレートアーマーの男がいる。
かなり珍しいのか、メンバー全員が凝視しているが全身鎧男は視線を全く気にした様子もなく足早に通り過ぎていく
「なんだあれ」
忍者風の目元しか出てない男が通り過ぎた鎧を見て誰に言うでもなく呟いた。
「剣、というか武器を装備していないように見えたけど、気のせい?」
「体格から多分モンク職じゃないだろうから、暗器か、たまたま武器を携帯していなかったか……まあ、僕達には関係ないだろう。もしかしたら一緒の依頼を受けた別の街のハンターかもしれないね」
リーダーだろう金髪の男がそういうと、少し気にした様子ではあるもののギルドに向かい歩き始めた。




