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飯準備

俺の手には大量の野菜があった。



「悪い! 買いすぎた!」



頭を殴ってやりたかったが、あいにくと手がふさがっている。


命拾いしたな。


少なくとも小銀貨2枚はなくなった。あちこちで銅貨やら小銅貨をつかったのでどれだけ浪費ろうひしたかは後で計算しなくては。



「……まあいい。肉を買いに行くぞ」


「うそ! 肉までいいの!?」



カリンが驚いたように声をあげる。



「食わしてやる義理は無いが、俺が食いたいから買う」


「ラッキー! アカ、肉はこっちだぜ!」



野菜を持つ腕を引っ張られて走ることになる。


ナイロン袋のありがたみをこの状況で感じることになるとは。


せめてカゴでもあれば全然違うんだが。



野菜露店からそこそこ離れた場所だが、生肉が露店に並ぶ場所まで来ることができた。


鎧の下は汗がしたたっている。汗臭くなりそうだ。


大きな肉からぷちぷちサイズの小さな肉、ピンクでいかにも生肉なものから毒々しい紫色の肉まで色々並べてある。


肉だけですごい種類があるんだな。これは集めがいがありそうだ。


コレクター魂に火は着くんだが……金が無いから今はやめておこう。



「どれにする!? なあ! なあなあ! アカ早く決めようぜ! どれにする? なあ! おい! もう決めてるのか!?」


「痛い痛い! 揺さぶるな! わかった、わかったから!」



野菜が落ちるからやめろー!


叫びそうになるのを抑え込む。



「では、安い肉をお前たちが選んでいいぞ。1人1つだ」


「うえっへーい!」



奇声を上げて肉屋に突撃していった。


このまま何も言わずに帰ったら……いや、やめておこう。


後を追うと、みんなぷちぷち肉を手に持っている。



「それでいいのか?」


「十分!!」



3人とも力強く頷いた。


安い肉って言ったしな。それが妥当だとうだろうよ。


金さえあれば高い肉を買ってやりたいが。


1つ小銅貨1枚。結局ぷちぷちの肉はギルドに渡すんじゃなくて自分で食った方が得だなこりゃ。


店主に金を払ったが、さて。



「次だ」


「まだ買うのか!?」


「いや、飯を作る場所はあるか?」


「……そんな場所ないよ!? え!? 調理する場所を先に決めてたんじゃないのか!?」



ないか。


まあ、予想済みだ。



「あるかどうか聞いただけだ。外に出るぞ」


「外に?」


「野営だ」



寝泊まりするわけではないが、外キャンプで作ればいいだけだ。


みんな不思議そうな顔をしている。


野営文化が無いのかもしれない。冒険は携帯食で済ませられるしな。


首をかしげた3人を連れて門を後にした。

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