飯の時間
門兵に近くで火を起こして構わないか確認してから木の枝をマジックバックから取り出す。
この間の採取の時に草だけでなく木の枝や小石、砂もインベントリに入れてみたので、それを活用する。
小石を円を描くように並べて三角形になるように枝を組み込んでいく。
「ファイア」
適当な魔法で火を付けて完成すると、ただの焚き火の出来上がりだ。
金網やら台をインベントリから出してもいいが、それではせっかくの野営異世界料理が楽しくない。
石を焼いて鉄板代わりにしようとしたとき、錬金術の時を思い出した。レベルMAXで作成して劣化エリクサーみたいな低級回復薬ができたのを。
料理スキルをレベル2にまで下げる。
石が熱々になるまでに具材の下ごしらえだ。
まな板代わりの大きめの石を取り出す。
アーティファクト 普通の包丁 をインベントリから取り出してぷちぷちの肉を石の上に並べた。
この肉は一度口に入れたから知っている。すじ肉ではない、スジだらけ肉だ。
せっかく3つあるんだ、色々試そう。
1つ目の肉はミンチに。
包丁でガンガン切っているとゲドル達が不思議そうに覗き込んで何かを言っているが、無視だ。
つなぎになる卵も豆腐も何もないから肉団子にしてもボロボロになるのはわかっている。でも肉団子にする。
野菜を混ぜてもいいが、味がわからないので今回はノーマル肉団子。
2つ目は筋だけを包丁で切って丸焼きにしてみる。
そのまま火に突っ込んで焼き芋風ぷちぷち焼きだ。
3つ目はスライスして焼肉風。どっちみち筋だらけで固そうなので薄めにスライスした。
野菜がたくさんあるのし人数もいるから鍋にでも、と思ったがやめた。
肉の下ごしらえだけで疲れたからだ。もう野菜も素焼きか生で食えばいいだろう。
アーティファクト 木の皿 をゲドル達に渡した。
そして焼いた石を焚き火から取り出す。
調理開始だ!
ボロボロになるだろうぷちぷち肉団子を石で焼く。
しばらくはハンバーグのようにしっかり焼けていたが、残念。
結局そぼろみたいにバラバラになった。
それを包丁ですくってみんなの木の皿に乗せてやる。
「……うまい!」
美味しい美味しい食べてくれるので悪い気はしない。
自分も食べてみる。
……パサパサしていて塩味もなければ調味料も付いてない。
お世辞にもうまいものではない。
ただ、筋も切り刻んだから固くはないというだけだ。
せめて塩か香辛料でもあればよかった。
――――――――
――――――
――――
全部食べた。
結構な量があったと思ったが、4人で食えば普通の量だったようだ。
「アカ、マジで助かったぜ!」
「そうか、それはよかったな」
「アカの顔も見れて満足だぜ、ホントはオークか何かが鎧装備してるだけかと思ってたんだよ」
確かに、食うために仕方なく兜を外したんだった。
兜を装備しなおした。
こっちも野菜の種類と味と売ってる場所まで教えてもらったから、Win-Winだな。
3人に渡したアーティファクトである木の皿を確実に回収しておく。
「料理できるなら飯屋すればいいんじゃない?」
「そりゃいい! アカ、飯屋やれよ! 今日食べた肉の切り方とか珍しいし、絶対流行るよ!」
飯屋? 飯屋か……もしかしたら儲ける事ができるかもしれないが、冒険はできなくなりそうだ。
「いや、飯屋というガラでもないからやめておこう」
「えー! 絶対流行るぜ?」
飯屋ではなくとも今日の露店売りを見て自分もあれならできるのではないかと考えていた。
この世界で取れた物、自分で作った物を自分で値段を付けて露店で売る。
楽しそうだ。すごく、ワクワクするじゃないか!
さっそく明日、商業ギルドに顔を出してみよう。




