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ゲドル御一行

手のひらで所持金を数える。


銀貨は2枚、小銀貨3枚、銅貨5枚、小銅貨2枚。


決して多くはないが、余裕は出てきた。


小銀貨4枚あれば少なくとも一泊できる。


贅沢ぜいたくしなければ短い間はなんとかなりそうだ。


だが、飯問題はどうにかしなくては。小銀貨1枚あれば飯は食えるが、だいたい肉を焼いただけのものだ。


農業ギルドがあるのだから野菜もあるはずだが、料理としてはまだ食べていない。


食費を浮かせるためにもできれば飯は自分で作りたいな。



「お! アカ! ……こんなところで金出してなにしてんだ?」



本日二度目のゲドルだ。後ろには魔法使いのカリンとシールがいる。



「金を数えていた」


「こんな道の真ん中でか?」



辺りを見渡してみて、確かに変なところで金を数えていたようだ。


そもそもいちいち数えなくても収納すればカウントされるのだが、なんとなく手に乗せて数えたくなるのだ。



「そうだゲドル。飯を自分でも作りたいと思っていて、食材はどこで手に入るだろうか」


「アカ料理作れるのか! 俺たちまだ飯食ってないんだよ」


「いや、お前たちの飯の事情は知らんが」


「どこで買えるか教えるから、少し俺に作ってくれよ」



交換条件か。


そもそもの食材の値段が高いと買いたくないし料理は諦めるんだが。



「お前だけ食うのか?」


「いやいや、全員分」



後ろの二人を見ると、飯を作ってくれるのかという期待で目をキラキラさせている。


3人分だと? 広い街だが一人で歩き回っても俺は構わない。



「お前たちは別に食うに困ってないだろ? こんな金無しにたかるな」


「……昨日から何も食べてない」



カリンとかいう魔法使いが口を開く。



「は? お前ら金稼げてないのか?」


「いえ、あの……稼いだ分とチームの貯金全部ゲドルの剣に消えちゃって」



シールが言いにくそうな声を出してゲドルが頭をかいている。


腹が減ってるのか。しかもこんな子供が昨日から何も食ってないとは。


飯屋は高いし金が無いなら食わないという選択も仕方がないのかもしれない。



「ええい、わかった作ってやる。食材が買える場所に案内してくれ!」


「ラッキー!」



金ができてもすぐ無くなる。


まあ、こんなものか。


ゲドル達に案内されて市場のような場所に着いた。


ゲドルによると朝早くに市場が開かれるらしい。


既に市場が開かれて時間が経ってるので、余りものだらけで人通りも少ない。


布の屋根だけ着いた露店が並ぶ中、食材を眺める。


……全部見たことない食材だ。


なにかの根っこ。こっちは手のひら大の葉っぱが重なった何か。枝のような固そうな物。


うーん、全然わからん。


果物のような物を扱っている店もある。



「アカは何を買いにきたんだ?」



今日自分の口に入るものが気になって仕方ないのだろう。


目が輝いている。


さて、何を買いに来たかと言われても全然わからんのだからどうしようもない。



「よし、お前たち、食べたい物を買え。作るのは俺だ」


「マジで!? やったぜ!」



いやいや、バカみたいに買うなよ、と言う間に市場に散らばっていく。


俺の体は3つもないから、せめてまとまって動いてくれ。

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