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第1話 弟の家

「上棟式、来月やるから来てな」


弟から届いたLINEを見て、パヤオはスマホを伏せた。


家を建てる。


たったそれだけの言葉なのに、胸の奥が少しだけざわつく。


弟は昔から要領が良かった。


勉強も、仕事も、恋愛も。


気が付けば結婚し、子どもが生まれ、そして今度は新築の家まで建てる。


一方のパヤオは、休日の朝からソファに寝転がりながらスマホを眺めていた。


証券アプリの画面には、わずかな資産額が表示されている。


「億り人への道は遠いな……」


独り言をつぶやいて苦笑した。


その時だった。


「パパー!」


娘が小さな足音を立てながら駆け寄ってくる。


まだ言葉は少ない。


それでも満面の笑みでパヤオの足に抱きついた。


娘は手に持っていた積み木を差し出す。


どうやら見てほしいらしい。


ぐらぐらと揺れる不安定な塔。


今にも崩れそうだった。


「すごいやん」


そう言った瞬間だった。


ガラガラと音を立てて塔が崩れる。


娘は一瞬固まった。


しかし次の瞬間、


「きゃははは!」


大笑いした。


失敗したのに。


崩れたのに。


まるで何事もなかったかのように。


また積めばいい。


そんな顔をしている。


パヤオは床に散らばった積み木を拾いながら、ふと思った。


「俺、いつからこんなに他人と比べるようになったんやろな」


窓の外では風が吹いていた。


娘は何度でも積み木を積み直している。


そして、この時のパヤオはまだ知らない。


数週間後に届く一通の手紙が、自分の人生を大きく変えることになることを。


(第1話 終)

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