コズマ=ボンノーの伝説 3章
「正直に答えろ。俺の愛するベリープリティーアンドクールビューティーシャイニングワイフに非道をしたクソヤロウは何処だ?」
今にも血肉が飛び散りそうなまさに修羅場。そんな場所を一瞬凍り付かせた者が居る。
ここは街外れの倉庫。裏社会の組織の頭目二人が手下を連れて商談…が終わって抗争に突入しようとしているところだ。
この場に居る人間は全うではない。法に背き、人を食い物にして、その尊厳を踏み躙り、肉を貪り、骨の髄までしゃぶり尽くす外道達。
全うな人間はここに居るべきではない。居ては数秒と経たずに外道達に始末される。
だから、そんな場所に子煩悩で愛妻家の警備官が居る訳がない。いきなり音も無く、倉庫に居た誰にも気付かれずに現れるなんて芸当出来る訳がない。
裏社会の人間にとって警備官は目の上のたん瘤。敵対組織の人間より、今まさに抗争を始めようとしている相手よりも、真っ先に排除すべき対象だ。
そんな男が、2つの組織の頭目が対峙している場所に立って、数的に圧倒的不利な状況でありながらも殺意が溢れた眼で目の前に居る二者を射抜くなんて現状はあり得ない。
だから、この場に居る彼は子煩悩で愛妻家で、市井からも同僚からも信頼されて尊敬されて、感謝される警備官の人ではないのであろう。
「まぁ良い。手前ら全員やっちまえばその中に居るだろう。一人やるのも全員やるのも何にも変わらない。さぁ、手前ら、全員やるぞ。」
倉庫にいきなり現れた男に誰も彼もが唖然としている。
そんな中、一人だけ、いきなり現れた当人、コズマ=ボンノーだけが動揺も躊躇いも無く純粋に殺意を漲らせ、腕を回す。
その行動を見て我に返り、二者はこの男が邪魔者だと認識する。
三者の殺意が交差する。しかし、この中で一人だけ、殺意の本質が違っている者が居る。
二者は別に殺すのが目的ではない。相手が契約を違え、それが原因で自分に死の危機が迫っているから相手を殺してそれを解決しようとしているだけだ。
問題が無事解決するならば、『殺人以外の方法を使っても良い』と思える理性と合理性が有る
要はこれらの殺意は目的のための手段であり、『合理的』なのだ。
たった一人の男が抱いているのは、自分が最も愛し、自分の全てを捧げると決めた二人の内の一人に害を成した許されざる者に自分の犯した大罪の報いを受けさせるという考えだけだ。
許せないから情報屋を半ば脅し、邪魔をしようとした破落戸を吹き飛ばし、情報屋の言った『かもしれない』程度の当てにならない情報でここに来て、立っている。
そして、確証も無く、かもしれない連中が居るから、疑わしき者に報いを受けさせる。それだけだ。
それを殺意と呼んでよいのか?
他人から見れば確証も無い相手によくもここまで純粋な狂った殺意を向けられるものだと戦慄する代物。
合理なんてない。獣でさえもっと思慮深い。
だからこれは異常で異様な異形の殺意。手段も目的も在って無いような衝動。
「殺れ、一人残らず!」
「みーんな殺っちゃいなさい!」
「ヴオァAα●άጨΔüꗘእዠ鏖ŋꘐς▼✕ꖲअ◇Λ!」
吠えたのは獣でも人でもない、それは何だろうか?
今解る。それは怪物だ。
※ボンノーの叫びに言語的な意味は有りません。そして、仕様の関係で入力できない文字が三文字ほどあったので泣く泣く当サイト投稿分はカットです。




