勝利したものの
さて、その後の話だ。
当主様が手を打つより早く、三人組が自分達の方がハズレだと気付いてこちらにやって来た。
シェリー君の状況を把握。クソガキとオドメイド、そして本件の表向き主犯格を拘束した上で回収し、ゴードン家へと向かっていった。
クソガキとオドメイドの要領を得ない説明があり、それを補足する形で三人組が説明をして、やっとのことで状況が明らかになった。
そしてその間、シェリー君はずっと眠り姫だった。
《一週間後》
一週間眠り続けていた。
止めを刺した犯人として反省する必要があるな。
とはいえ、一週間眠り続けたお陰で都合が良い事が幾つかあった。
「教授……教授?二人は無事ですか?ケガ人は?私は何日眠っていましたか⁉」
一週間後の朝遅く、いつもより少し騒がしい屋敷の、ゲストルームのベッドで目覚めたシェリー君の開口一番がそれだった。
「落ち着くんだ。死者0名で怪我人は1人。そして唯一の重症者がたった今、目覚めた。
一週間も目を覚まさないから医者の説明を聞いてもクソガキとオドメイドは落ち着きが無かったんだ。」
それを聞いて落ち着き、同時に罪悪感の表情を浮かべた。
「良かった、ケガ人は無かったのですね。それにしても、申し訳ないことをしましたね。」
周辺の様子を見て溜息を吐く。
ゲストルームは当然だが、家庭教師として宛がわれた部屋よりもずっと豪奢で質も良い。
「三人組がシェリー君を屋敷に運んで、しぶしぶ帰った後、医者が呼ばれて診察。魔力不足と過労という診断が下され安静にさせておく様に言われた。
そこで、本件の功労者を質の悪いベッドで寝かせる訳にはいかないということでここを用意した、という訳だ。
誘拐事件の最悪のシナリオを回避したんだ。誇って良い。」
「その後皆さんは、バトラー様のご兄弟含め、どうなったか教えて頂けませんか?」
「屋敷で働いていた人狼兄弟は当主判断で『お咎め無し』ということになった。
結果的に大した被害が無かったこと、今までの勤勉な勤務態度が理由ということになっている。」
表向きはそうなっている。だがそもそも、あの当主は最初から許す気だった。
「そして、あの元人狼は当然だが、誘拐事件の犯人として傭兵と共に逮捕されていったよ。」
「彼の体調は、何か不調や異常はありませんでしたか?」
「無い。健康体という奴だ。矮小な人間になったことを不健康になったと言われたらどうしようもないが、もう捕まった後。文句は言えない。
そして、どう調べても人狼だった痕跡を見つけ出す事は出来ない。」
「良かった…………」
「さ、めでたしめでたしだ。取り敢えず水差しの水を飲んで、きょう一日は安静にしておくといい。声をかけるのは後でクソガキとオドメイドが来てからで十分だ。」
「そうですね、そうすべきなのでしょうが、最後に一つ聞きたいことがあります。」
「何かね?」
「外の様子が少し賑やかなようですが、今、外で何が起きているかを聞いていません。
教えて頂いてもよろしいですか?」
キラリと目の奥が光る。やれやれ、厄介なことだよ。
久々ランクイン、そしてリアクションありがとうございます。




