彼女は何でも知っている。
「うーん…倉田、どこに行ったんやろか。」
集の教室を見渡した後、佐野はつぶやいた。
「佐野くん?…あっ、やっぱりそうだ。」
突然後ろから声がした。
振り返ると、葵がこちらを見上げている。
「えっと…葵、ちゃん?」
「うん。佐野くんどうしたの?」
「倉田探してんねやけど、知らへん?」
佐野がすぐさま答える。 葵はうーんと考えるしぐさを見せた。
「えー、倉田くんかぁ。…確か、二年の教室で見かけたって聞いたかな。」
「ほんまに!?ありがとう!」
そう言って、佐野は駆け出す。
が、すぐに戻ってきた。
そして、真剣な顔で問いかけてきた。
「二年の教室て、どこにあるん!?」
葵は、教室の場所を教えた。
そして、走り去る佐野の背中に微笑みを向ける。
「あっ、葵ちゃん!」
「なんだよ、葵か。」
「…将人くん、侑希?」
佐野を見送ってすぐ、葵のもとに将人と侑希がやって来た。
「葵、ナオどこにいるか知らねぇ?」
「え、佐野くん!?」
驚く葵を、もどかしそうに侑希が見つめる。
「佐野くんなら…たった今二年の教室に行ったよ。」
「ぅえっ!?」
「なっ、何でっ!?」
当然のことながら驚く侑希たち。
「わ、私が教えたの。…倉田くんの場所聞かれたから…。」
「…なっ、なんて事してくれたんだよ!!」
怒鳴る侑希に、葵はただ戸惑った。
「えっ、何でって…」
「今、ナオが行ったらマズいんだよ!!」
そう言い捨てて、侑希は走り出す。
「おっ、おい侑希!!」
将人の声も侑希には届かない。
「……どうしよう。…私、とんでもないことしたんじゃ。」
今にも泣き出しそうな顔で葵がつぶやいた。
将人は何も言えずにいた。
あんな、あんな顔の侑希を見たのは久しぶりだったのだ。
「…だっ…大丈夫だって!葵ちゃんは知らなかったんだから。」
将人が言っても葵の表情は変わらない。
「…じゃあ、俺あいつら探すから…。」
いたたまれなくなった将人は、侑希の後を追いかける。
その後ろ姿を、葵はしばらくぼんやりと見つめた。
そして、一度息を吐いてから将人とは逆方向に走り出した。
葵ちゃんの情報源は、一体どこなんでしょうか…? そして侑希!ダメでしょ、女の子泣かしちゃ!! 侑希 「泣かしてないし!それに、葵なら別にいーだろ。」何なんだその、葵ちゃんは特別☆発言は!? 侑希 「違っ!!それはっ…幼なじみだから…。」 またそれですか…。葵ちゃん、かわいそうに。こんな横暴な幼なじみがいるなんて…。 侑希 「横暴じゃないだろ!それより、集は…」 ということで、次回はやっと集が登場します。




