二人は幼なじみ。
「…集、うまくやってっかな?」
疲れた表情の将人が、ぼそっとつぶやいた。
「白河先輩がいるみたいだから、大丈夫なんじゃねーか?」
そんな将人のつぶやきに侑希が答えた。
一年ラグビー部員から逃げ切った二人は、今一階の理科室前にいる。
さすがにここは人気がなかった。
タイルの床に座り込み、一息ついているところだ。
「え…あの先輩いんの?」
「…?何かあるのか?」
不思議そうに言う侑希に将人は渋い顔を見せた。
「…俺、苦手。」
「何で?」
侑希が尋ねるが将人は答えようとしない。
いい先輩だと思うんだけどな。
「集、どこかなぁ?」
侑希がつぶやく。
「……予想はつくけど…行きたくねぇな。」
「どこっ!?」
将人の言葉に侑希がすばやく反応する。
将人はしばらく言おうか言うまいか悩んでいた。
だが、結局口を開く。
「…多分、二年の教室で時間稼ぎしてるんじゃねぇのか?」
「…二年の教室かぁ…。」
「侑希、お前まさか…」
長い付き合いである。
侑希の考えを理解した将人が頬を引きつらせた。
「ん?…何?」
「お前、相手は二年だぞ?」
「だからっ、何だよ?」
将人はため息をついた。
しらばっくれてんじゃねーよ。
「…行くつもりだろ。」
侑希は素直にうなずき、思った。
将人には嘘つけないなぁ。
「あのなぁ、せっかくバレないように時間稼いでんだろ。俺たちが行っちゃ台無しだぜ?」
「…でも、」
「とにかく、今はナオ探そうぜ。」
将人がさえぎって、提案する。
だが、まだ侑希は不満顔だ。
「いいから、行くんだよ!」
将人は、面倒くさそうに言って立ち上がった。
侑希もしぶしぶ腰を上げる。
「ナオなら、まだ教室じゃねーの?」
侑希の言葉に、将人は少しだけ考えてうなずいた。
「だろーな。じゃっ、行くか。」




