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タイム!!  作者: 音無奏
36/48

これが、噂の作戦B!?

 ローカに出る。

 そこには俺の行く手を阻むように、数人の一年が両手を広げて待ち構えていた。


 こいつらもラグビー部員か!


 教室を出たときの勢いは殺されて、俺は立ち尽くした。


 後ろを向くと、パソコン教室の文字。

 道が、ない。


 その上、そいつらは両手を広げたまま俺との距離を縮めてきた。


 本当にやばいぜ、これっ!



「ちょっとごめんね。」



 その時、そいつらの間を縫って、一人の男子生徒がこちらへ来た。


 長身で綺麗な顔立ちのその生徒は俺の前に立つ。

 頭一つ分は大きくて、見上げた。



「君が、倉田?」



 以前、聞いたことがあるような台詞だ。



「はい。」



 俺は正直に答える。



「そうか。」



 そう言うと、その生徒は俺の手を掴んだ。


 そして、両手を広げたままたじろいでいる一年の中につっこんでいった。



「倉田、走れるよね?…じゃあ、


しっかり走って!」



 俺は引きずられていた状態から、走り出した。


 一年は簡単に抜けた。

 だが、一生懸命走ってもこの生徒は、抜けない。

 それだけ速かった。


 四階から一気に一階まで下り、体育館へつながる渡りローカの所で止まった。


 少しの間、息を整える。



「とりあえず、自己紹介だよね。俺は、白河草太。陸上部の二年で、今日は倉田の護衛隊長任されたから、よろしく。」


「…はぁ。」



 俺はイマイチ状況がつかめず、気のない返事を返す。


 白河先輩は微笑みながらうなずいた。



「ところで、今日の作戦なんだけど…。」



 そこまで言って、白河先輩は気の毒そうな顔を俺に向けた。



「うちの部長がね、絶対これがいいって言うから、決まったんだけど。」



 部長…って、あの時の鼻唄の人か。

 確か、作戦Bがどうとかって言ってたな。



「その…変装作戦ってのになったんだ。…とりあえず、これに着替えて。」



 言いながら白河先輩は右手に持っていた紙袋を俺に渡した。


 中を見る、…絶句!

 白河先輩を見る、気まずそうに目を合わせてくれない。


 もう一度中を見る。

 そして白河先輩を…それを何度か繰り返した。


 そして最後に、袋の中を見る。


 そこにあったのは、紛れもなく台坂中学のセーラー服だったのだ。

 三度は確実に見たので間違えようがない。

 非常に残念ながら…。



「……これに、ですか?」


「俺たちは、反対したんだけど…部長が…。」



 俺が部長に殺意を覚えたのは言うまでもない。


 何が作戦Bだ、部長さんよぉ!?

 俺に何を目指させたいんだ、あんたは!



「…どうしてもですか?」


「ああ。」



 かすかな望みをかけ尋ねてみたが、あっさりと却下された。

 あの時の峰川先輩の哀れみの視線の意味が今、わかった。




 数分後。



「おー、けっこう似合ってる。」



 白河先輩が俺を見ての第一声がこれだ。


 俺はぎこちない動きで歩いてみて、異議を申し立てる。



「あの、こんなのでバレないとは到底思えないんですが…。」


「そんなことないよ。倉田、普通に可愛い。」



 白河先輩は感心したように何度もうなずく。


 誉められても、全然嬉しくなかった。

 ただ、下に来ている体操服がもごもごするのがすごく気になる。



「じゃあ、行こうか。」


「へっ?」



 間の抜けた声で聞き返す俺の手を、白河先輩が握った。


 何の迷いもなく、白河先輩は階段を上っていく。

 そして、二年の教室へと入っていった。



「まぁ座って。とりあえずバレるまでここで時間を稼ごう。」



 俺はすすめられた通り、その席に座る。


 ひたすら、居心地が悪かった。

部長さんの作戦は、自分が見てて面白いかどうかで決まります。       ちなみに作戦Aは、部長さんが集になりすますという、入れ替わり作戦だったとか…。

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