霧の朝
霧の好きな人も苦手な人もあるようですが、私には白い闇に思えます。
エッセイではありませんが、他に置き場所がなかったので、ここへ持って来ました。
ちょっと心が疲れているかな……。
大きな運河を渡る時、白い船が行くのが見えた。
白い霧の闇の中にぼうーっと浮かぶ姿は幻想的でもあり、儚げにも見える。
ふと車の中の空間が異次元のもののように思えて不安になり、信号の赤い色を見て安心をした。
道路には殆ど干からびた生き物の亡骸が張り付き、背中から頭までつーんと走るようなひきつれを感じて心が震える。
ふと宗教を思う。
これが人なら復活を待ち、土葬をするのに、死んだ魚はトイレに流し、犬猫は道路の傍らで真ん中で、干からびて風が散らすまで放置されている。
そうすると宗教が訝し気なものに思えて来る。
頭のいい人は助けてくれる。
でも、話が分からないくらい頭のいい人は苦手だ。
穏やかな人は、心を安らかにしてくれる。
でも、打っても響かなければ、いないのと同じだ。
優しい人は、心を温めてくれる。
でも、傷付き折れそうな翼が見えると、目を伏せてしまう。
いつも上手くは行かない。
いえ、殆どが上手く行かないことばかりだ。
一人の人の一生は、きっと、この霧の粒子と変わりがない。
さわさわと湧いて出て来ては、音もなく消えて行く。
生きているのじゃなくて、やはり生かされているんだろう。