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俺にブサイクと言われたら学年一位の美少女がなぜか懐いてきた  作者: 雪方ハヤ
第一章 学年一位の子のこと

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第四十二話 萌ちゃんが求める、答え

 ――『最上萌』の、少し前の話――


 私が、まだ『李萌』だったとき。


 気づけば、他の人にあるはずのあるモノは、私にない。


 小さい頃から園で過ごし、それが当たり前だと思っていた。


 幼稚園に入る前、私はいつもお世話になっている園の先生からこう言われた。


モンちゃん、今まで言えなかったけど――君の両親は、君を生まれて間もなく、亡くなられたの」


 両親って、なあに? 亡くなられたって、なあに?


 あの頃の私は、当たり前のことを、当たり前のように知らなかった。


 だれも私に、『答え』を教えてくれない。わからない問題があっても、すぐそばに答えてくれる人がいない。


 だからしだいに、私が自分で答えを探すようになったの。


 小学校に入学すると、答えではなく、先生から評価をもらうようになったの。


「萌ちゃんすごーい! もう高校数学の範囲をやってるの??」


「ここ、エリートって呼ばれてますよね、先生……もっといろんなことの答えを、教えてください……」


 幼い頃の私は、難しい問題を解けば解くほど、私の両親のことについての答えを知れると思っていた。


 しかしある日、東方からあるすごい男の講師が来たの。壇上からオーラが出ていて、イスに座る私の太ももが硬くなった。


「みなさん、どうも金沢と申します。つまらないお話は聞いてくれないと思います。ここは北京トップの学校と聞いてきた、だからみなさんとゲームをしたいと思います」


 このオジサンから放される穏やかさ、今まで出会った人の中でも特に居心地いい。


「今から僕を含む、全員が初見だと思われる犯罪事故現場の様子をまとめたプリントを一枚配る。僕と一対一で様子を分析して、死因、殺人の動機、天候や環境を推測してもらう。近い方が勝ちだ。やってくれる人を募る――」


 犯罪研究の、プロ。私が初めて出会うプロだ。料理のプロ、教育のプロ……犯罪研究のプロは聞いたこともなかった。


 他の生徒は開始してから、頭を抱える人もいれば、心苦しい事故現場を見て諦めた人もいる。


「他に、だれか僕とやってくれる人はいないかー?」


 私が、イスから立ち上がる。


「やります――」


 ※


 やった内容は覚えていない。しかし時間を忘れるくらい、頭がスッキリとなった。


 事件の死因、動機、環境の答えを出した瞬間、金沢先生も同時刻に答えを言った。


「…………」


「…………」


「君、すごいね。お名前は?」


「李萌です」


「まさかこの分野で僕と勝負できる子がいるとは……」


 と、男が声を下ろした瞬間、教室から熱烈な拍手が送られた。とうぜん、私も自分と戦えた人を見かけるのは、初めてだよ。


「萌ちゃんすごーい!」


「萌ちゃーん!!」


 みんなの『評価』だ。


 授業終わりに、私は金沢先生の方に足を運んだ。この人なら、私の質問に答えを出してくれるだろう。


「先生……自分の答えを探したいとき、どうすればいいんですか?」


 先生が一瞬、唐突な質問に目の動きが止まる。しかし次に私に吐く言葉は、私の人生を変えてくれた。


「答えを、つくるんだよ」


「え……」


「君は学校にいる。なにかしらの答えが求められる。でもなにか答えを探ろうとしたいなら……自分で答えをつくりにいけ」


 なんだよ、答えをつくるって。意味がわからない、意味がわからない。


「わからない表情すんなって。いずれわかるさ。後……一つだけ言いたいことがある」


「なん、ですか?」


 金沢先生はポケットから携帯を取り出し、一枚の写真を私に見せる。


 それは幼くて、中学生くらいの男の子だった。


「これは僕の息子だ。もし君がいつか日本に来たとき、こいつと勝負してやってくれ」


「ええ……」


 そして、と金沢先生は声を繋いだ。


「――面倒なこと起こしたら、君の力で彼を止めてやってくれ」

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