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25 - 1

 今日は、比較的無心で業務を進められたから機嫌がいい。明日は土曜日だし、今晩は飲みに出かけてみようか。思い立つと、すぐに会社を抜け、出会い系サイトのアプリを立ち上げた。暇そうな男たちの写真が、途中で途切れたプロフィールと一緒に並んでおり、縦スクロールでまだ受け付けられそうな顔を探した。供給が叶わない男は勿論、顔が良くてもリバだったり、地雷臭たっぷりなプロフィールが記されたりしている男はスルーだ。

 ふと、知り合いに似ている顔写真を発見した。あくまで「似ている」だけであって本人ではないのはわかる。それに、もともとストレートの彼はこんなアプリを使うはずがない。斜め上から撮られたその顔は、わざとらしく、必死に目元の陰影を作っていた。

 俺はアプリをスワイプで消して、代わりにSMSを開いた。


<なあ、今日夜会えないか>


 暫く送信した文面を眺めていたが、多忙な彼からすぐ連絡が来るわけでもなく、真っ直ぐ帰ることにした。



 風呂から上がり、バスタオルだけを身に着けてベッドに乗る。ベッドの下の収納スペースにしまっておいた玩具などを取り出し、ひとりで遊んでから近所のファミレスへ何かを食べに行こうかと思っていたところだった。いかがわしいサイトを観ようと思って、スマホのロックを解除すると、SMSのアイコンにバッチがついている。すぐに開いた。

 一番上の名前の欄には+81の後に頭の0を抜いた彼の携帯番号が表示されていた。


〈ごめん、今日ほんとは夜から休みだったんだけど、撮影長引いて無理そう〉

〈そっか、じゃあいいや〉

〈明日なら空いてる〉


 すぐに返ってきた返事に、どきっとした。明日なら。約束を付けて会おうとしてくれている。必要とされているようで胸がぎゅ、となった。でも。


〈明日は先約がいるから無理だわ また今度ということで〉


と、返すと一分ほど返事が来なくなったので、きっと撮影が再開したのだろう。と、思っていると、


〈わかった じゃあまた〉


と、二言送られてきた。

 この時間の間隔は、多分。躊躇いと寂しさだ。重くなったなあとつくづく感じた。そして、俺の気持ちも重くなっている。そろそろ潮時か、とも考えたりもしているが、五月に入ってもまだ、互いの体を求めて仕方がなかった。

 しかし、加地の気持ちはそれだけだろうか。わからない。ようで、わかってしまいそうなことに対して、目を逸らした。

 俺は、こんなに加地の体を求めても、本当の心は明にある。それは、いつどんなときだって、誰にどう抱かれたって揺るがなかった。それを思うと、加地が可哀想に思えてきた。

 萎えてしまった。箱に入れたままの玩具たちをベッドの下へしまい、財布を持って家を出た。さて、何を食べようか。

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