第四話 初めての猫召喚
すみません、最近ちょっと仕事が忙しくて、更新が遅くなっています。もう少し余裕ができたら、更新ペースも上げていきたいと思います!
木の家の外に出て、地面に降りると、キアラはさっそく俺に能力の使い方を教え始めた。
「まず、地球人みんな、それぞれ自分の職業がある。これは、雅人もう知ってるね」
「そして、私たちの世界では、あなたたちのことを『職業者』と呼んでいる」
「『職業者』は、自分の能力を感じることができる。ご飯を食べることや、眠ることと同じくらい簡単。誰かに教えてもらわなくても、自然に使えるようになる」
「そうなのか? キアラ先生」
「そうだよ」
「でも、俺には何も感じられないんだけど」
「雅人、考えること多すぎる。心を落ち着ければ、できるよ」
心を落ち着ける……か。
どうすればいいんだ?
自分の能力を使うにはどうすればいいのか考えていると――
突然、頭の中に、自分のものではない大量の記憶が流れ込んできた。
こ、これは……?
猫召喚士という職業の使い方だ!
なんて便利なんだ。
欲しかった知識が、そのまま頭の中に出てくる!
使い方は、本当に簡単だった。
ただ集中して、「猫召喚」と唱えるだけ。
よし、やってみよう。
「猫召喚!」
子どもの頃、アニメのキャラクターと一緒になって、技の名前を叫んでいたような気分になる。
俺の目の前の空間に、いくつもの光の粒が現れた。
そして、その光の粒が地面の上へと集まり、どこか見覚えのある、可愛らしい形を作っていく。
次の瞬間――
光が一気に散り、一匹の三毛猫が姿を現した。
日本ならどこにでもいるような、普通の三毛猫だ。
おお、出てきた!
でも……これ、本物の猫なのか?
確かめるために、俺は恐る恐る手を伸ばした。
俺の手の存在を感じたのか、猫は自分から頭を寄せてきて、すりすりと擦りつけてくる。
本当に可愛い子猫だ。
この温かさ。
そして、このふわふわした毛の感触。
間違いない。
これは本物の猫だ!
ん?
子猫の頭の上で、何かが光っている。
これは……ステータス画面?
ゲームのウィンドウみたいなものが、子猫の頭上に浮かんでいる。
よく見ると、そこにはこの子猫に関する情報が表示されていた。
名前:なし
種族:猫
レベル:1
年齢:1
能力:なし
召喚されたのは、ただの普通の子猫か。
これじゃあ、ハズレ職だと言われるのも仕方ないな。
でも――
目の前のこいつ、本当に可愛いな。
突然異世界に現れたというのに、人間みたいに自分の未来を心配することもない。
……ん?
ふと気づくと、キアラがさっきからずっと子猫を見つめている。
まあ、こう言うと失礼かもしれないけど……。
キアラは子猫を見つめながら、息を荒くしていた。
「や、雅人! ほ、本当に猫ってこんなに可愛いんだ!」
「え? 初めて見たのか?」
「うん、私たちの世界には、猫、いない!」
「母さんが初めてぬいぐるみを見せたときなんて、神様だと思って拝んでた人もいたんだよ!」
「ずっと、想像の中にしかいない可愛い動物だと思ってた。でも、本当に存在するんだ……!」
「雅人、わ、私も……触っていい?」
見ればわかる。
キアラも子猫を触りたくて仕方がないらしい。
「どうぞ」
キアラはしゃがみ込み、少し震える手で子猫の体に触れた。
「にゃ、にゃあ」
子猫が突然、鳴き声を上げた。
「おおおおおおおおおおおお!!!」
「な、鳴いた! 雅人、わ、私、何か悪いことした!?」
「何もしてないよ、キアラ。ただ、猫がお前に甘えてるだけだ」
「そ、そうなの?」
キアラは恐る恐る猫の体を撫でている。
時々、尻尾にも触れてみたりしている。
「私、夢を見てるのかな……?」
「こんなに可愛い動物に触れることができるなんて……」
「母さん。キアラ、今、とっても幸せ」
「そうだ、雅人。この猫、名前ある?」
確かに、名前はつけてやったほうがいいよな。
三毛猫だから……三ちゃん、なんてどうだろう?
「三ちゃん」
俺が子猫につけた名前を聞くと、キアラの顔いっぱいに幸せそうな笑顔が広がった。
……お?
変わった!
俺がこの子猫に名前をつけた瞬間、頭上に浮かんでいたステータス画面が変化している。
名前の欄が、
「なし」
から、
「三ちゃん」
へと変わっていた。
その後も、俺はキアラと三ちゃんと一緒に、楽しい時間を過ごした。
猫って、幸せそうだな。
三ちゃんは後ろ足で体を掻いたかと思うと、遊び疲れたのか、そのまま気持ちよさそうに眠り始めた。
しばらくして、キアラが俺に向かって頭を下げた。
「雅人、ごめん。雅人の職業能力、練習するためだったのに……私、三ちゃんと遊ぶことばかりになっちゃった」
「いいよ。ちゃんと俺の職業能力を使えるようになっただろ?」
「それに、俺が召喚した猫がキアラをこんなに喜ばせられたなら――それが、この職業の意味なのかもしれないし」
「えへへ……じゃあ、私、ご飯作ってくるね」
「うん、頼むよ」
ところが、数歩歩いたところで、キアラが立ち止まって振り返った。
「あ、そうだ。忘れるところだった」
「雅人みたいな職業者は、ダンジョンに行ってみたほうがいいよ」
「明日、私も一緒に行く」
「ダンジョン?」
「そう。みんな、ダンジョンで自分の能力を鍛えるの」
「雅人も、行かないとね」
「わかった」
ダンジョン、か。
俺は、さっきキアラから聞いた話を思い返していた。
三ちゃんの名前が変わったということは――
もしかして、他の項目も変化するんじゃないか?
特に気になるのは、「能力」という項目だ。
おそらく――
猫召喚士という職業の可能性は、俺が思っていたよりずっと大きい。
明日、ダンジョンへ行ってみよう。




