序章 異世界への招待
人間は、いったい何のためにこの世界に存在しているんだろう?
愛のため? 金のため? それとも、誰かから認められるため?
まあ、少なくとも――今の俺みたいに、毎日会社で嫌いな上司にこき使われるためじゃないよな。
ああ、考えれば考えるほど嫌になってくる。
仕事が終わったら家に帰って、いつものようにパソコンを開いて、好きなMMOでもやろう。
ゲームをしていれば、嫌なことなんて全部忘れられる。
家に帰り、パソコンを起動する。
すると、画面の隅で見慣れないアイコンが点滅しているのが目に入った。
思わず舌打ちする。
「仕事が終わってからまでメールかよ……」
嫌々ながらメールを開いてみる。
だが、そこに書かれていた内容は、俺が想像していたものとはまったく違っていた。
『 あなたは、自分の人生を幸せだと思いますか?
あなたは、異世界へ行ってみたいですか?
YES NO 』
「……は?」
嫌いな上司からのメールじゃない。
なんだ、これ…… 異世界?
イタズラか? それとも、迷惑メール……いや、詐欺か?
無視してゲームを始めようと思った。
けれど――
画面に表示されたその言葉を見ているうちに、胸の奥から、ある衝動が込み上げてきた。
今の生活から抜け出せるのなら。
異世界へ行けるのなら。
もう一度、人生をやり直せるのなら。
今度こそ、自分の力をすべて出し切って、何一つ後悔しないように生きることができたなら――。
そんな人生を送れたら、どれだけ幸せだろう。
気づけば俺は、その衝動に突き動かされるように――
「YES」をクリックしていた。
その瞬間。
パソコンの画面から、目を開けていられないほどのまばゆい光が放たれた。
「な、なんだ!?」
何が起きている?
コンピューターウイルスか? それとも故障? まさか……「YES」を押したせいなのか?
「……NOにすればよかったのか!?」
そう思ったときには、もう遅かった。
白い光がどんどん強くなっていく。
視界が真っ白に染まっていく。
そして――
俺の意識もまた、その眩い光の中へと、ゆっくり消えていった。




