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東京ダンジョン  作者: ルーデル
2章
39/46

前進


石川いしかわ まさる、彼の性格を一言で表すなら豪胆だ。


基本的に策を練るタイプじゃなく、無謀とも思える突撃を行ったこともある。


しかし本人はいたってケロッとしており、優れた戦闘力と魔法の腕で無事にダンジョンから帰還した。

そんな彼はこの過酷なダンジョン内においてチームメイトにとって拠り所とも言える存在であり、石川を死なせまいと皆よく戦った。



そんな彼らは地下3階にて天井から滴り落ちる水を発見した。


石川のチームメイトは岩とモンスターしかないこのダンジョンで初めて見た他の物質に警戒したが石川はそれを躊躇なく飲んでしまった。


彼曰く「ちょっと喉が渇いてた」のだという。



兎にも角にも水を飲んだ石川に起こった変化は



「消耗した魔力が回復した。」


立ち上がった石川は水の効能を話し始めた。



「体に力がみなぎるっていうのかな?

説明は難しいがとにかく俺は道中魔法の練習のしすぎでそれなりに消耗してたんだがな、その水を飲むと魔力の欠損が補われていくのを感じたよ。

流石にたらふく飲んでも全快ってほど回復するわけでもなさそうだったけどな。」



体力(傷)が回復する薬草、魔力が回復する水。


「まるでRPGだな」


昴がボソッと呟いた。



ここで極めつきとも言うべき報告がなされる。




「小野達のチームを救援に行ったエドガーチームより提出されたこの玉だが…」


エドガーは豹悟達のチームを救出した際にスレイヤーの遺骸があったところから黒い拳大の玉のようなものを回収していた。


豹悟達の状態が芳しくなかったためエドガーから〝正しい入手ルート〟も添えて報告が上がったのだ。


「これに関してはもはや原理も何もわからないがダンジョンに潜った状態でこの玉を軽く叩くと地下1階から地下4階のフロア名が表示される。

そしてそこをタップすると恐らくそのフロアに付近の人間ごと転移できるようだ。

恐らくと言うのも試したのは比較的すぐ帰還出来る地下2階でしか試してないからだ。」



(あんなものが落ちてたんだ…)


ダンジョン内の物資で有用な物を持ち帰ったチームには特別褒賞が出る場合がある。


今回の調査に純粋に報酬目当てで来ている人間は少ないが、楓はエドガーの自分たちのチームに対する気遣いに感謝した。


「大変に有用なものになるが、残念な事にこちらは一点ものの為全チームに支給する事が出来ない。

そこで運用方法を検討した結果、3つの事を決定した。」



「1つは、現在最も深く潜ってる階層に全員で転移後チーム毎に別れての行動とする事。」


「2つ目は、その後の玉の所持は当面エドガーチームとし、場合によっては救援が必要な階層に駆けつけて貰いたい。」


「そして3つ目は、更なる調査の効率化の為調査隊の詰所を簡易的な物になるが地下の既に踏破済みのフロアにも設置する事。

随時設置するものの為立派なものは作れないが補給も常に行いこれにより地下と地上の往復をできる限り少なくしたいと考えている。」



今回の犠牲は決して小さくなく、あるものには傷を、あるものには決意を与え、調査隊は地下の攻略に向け大きく前進したのだった。

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