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東京ダンジョン  作者: ルーデル
1章
29/46

攻防


〝ドクンッ〟


豹悟は自分の心臓が大きく脈打ったのを感じ、額には冷や汗が伝った。


(何故…何故地下2ここにいる…!?)



幸いと言うべきかスレイヤーは豹悟達と同じ方向に進んでいたためまだ気付かれてはいない、のだが、4人はある予感を感じていた。


声を潜めて顕人が言う。

「もしかしたらヤツは地上に出得るんじゃ…」


今まで被害が地下3階で起こっていた事やリザードマンが上階で現れなかった事で完全に思考の盲点になっていたが、そもそも地下一階にいたモンスター達は地上に登っていた。

つまりスレイヤーも同じことをしても不思議では無い。

そしていくら地上に出て戦闘力が落ちるとはいえスレイヤーレベルのモンスターが地上の人間と交戦すればより凄惨な状況が待っているのではないか。


4人の遭遇時即撤退という目論見は崩れかけていた。


「あんなヤツが地上に出たら被害はとんでもない事になる。」


豹悟の言葉に3人は静かに覚悟を決めた。




「アイツをここで仕留めるぞ。」



4人は交戦時のプラン通りに動き始めた。


「出し惜しみは無しだ!グラセ!」


豹悟は自分の出せる出力のありったけを込めたグラセを放った。

もしこれで貫けるのであればこのサイズのグラセにより無事では済まず、貫けないほどの強度ならば着弾地点より氷が広がる特性により次の一撃は必殺になる。

この初見殺しの一撃に合わせるべく楓は既に動いていた。


もはやグラセの進行速度をも楓の脚力は上回るため一拍置いたのち楓は駆けた。


そしてスレイヤーの頭上には魔法の発生箇所すらコントロールする顕人の特大のティーロが楓と共にスレイヤーの体を砕くべく堕ちるのを待っていた。


更にダメ押しでティーロと楓の攻撃後0.5秒後を目安に昴の特大ヴェレーノが重たい放物線を描いて迫っていた。



豹悟が魔法を練ってより昴が魔法を放つまで約2秒。

完璧ともいえるコンビネーション、過剰ともいえる火力。

しかし4人はスレイヤーを侮ってはいなかった。




気配を察知したスレイヤーがこちらを振り向き、眼前に迫るグラセに対し半歩身を引き隆起した腕を振るった。

スレイヤーの体を覆い尽くす程の高出力のグラセだったが、スレイヤーの蛮力は豹悟の目論見と共にそれを砕き割ったのだ。


「バカな…」

豹悟は驚愕したが2の矢3の矢は続く。


楓が狙うはグラセを砕いた右腕先端。

顕人のティーロは頭上より串刺しを狙って堕ちた。


楓の剣は正確にグラセを砕いた箇所を捉えスレイヤーの右の手を切断し楓は後ろに跳躍し距離を取った。

そしてティーロは〝ガッ!〟と鈍い音を立てて頭部を穿ったに見えたが、貫くには至らず身をよじってティーロを地面に落とした。


更に迫るヴェレーノをスレイヤーは左手で、今しがた楓に切り落とされた右手を空中で拾いヴェレーノを払い吹き飛ばした。



この攻防、時間にして5秒に満たないものだったが、全力を持ってしての奇襲で仕留められなかった事が4人に影を落とした。



「あれで仕留められないどころか、全然元気そうだな。」

豹悟と共に作戦を練った顕人はこの結果に焦りを感じた。


完全に豹悟達に向き直ったスレイヤーが自分の右手を捨てると静かに怒りの表情らしきものを浮かべ腰を落とす様子を見せた。



「来るぞ!」



そう叫んだ豹悟の眼前に巨大な爪が一瞬にして迫っていた。



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