ダンジョンの殺し屋
4人は遭遇時即撤退の方針を改めて確認し地下3階への階段を登った。
そして豹悟の提案で、今回は帰りなので道も分かるし敵も殆どいない、ならば体力の続くレベルのスピードだがこのフロアは走り抜けよう。
地下2階に上がるくらいなら2時間もかからない。
休むならその後でゆっくり休めばいい。
という事になり、3人はそれに同意し常に緊張状態を保ちながら4人は進んだが、結局危惧していた遭遇はなく実にスムーズに地下2階への階段に到着した。
「無事地下3階を抜けたことを一旦報告するわ。」
階段を登りながら豹悟は電話をかける。
あれだけ身構えていたから僅かに肩透かしを食らった気持ちはあったが、それでも無事にこのフロアを抜け、4人は胸をなでおろしていた。
電話を切った豹悟が言うには、例のモンスターの仮称が決まったらしく、ヤツは今後〝スレイヤー〟と呼ばれることとなったようだ。
「嫌な名前だ」
その意味と実際の所業に乖離が無いことに顕人は苦々しさを感じた。
そして少しの休憩を経て再び進み始めた4人だったが、1時間ほど歩き地上が近くなってきたところで先ほどの肩透かしを感じた自分たちを恨むこととなる。
巨大な腕、鋭い爪、まさしくスレイヤーが30メートルほど先に立っていた。
戦慄の時間が始まる。