方針
少しの休憩を経て一行は再び奥を目指して歩き出した。
先ほどの戦闘を振り返りながら顕人が口を開いた。
「もし、次敵を見つけたらどうする?」
先ほどの戦闘では昴が口火を切ったが、毎度正面から突っ込んで勝てるとは限らない。
自分たちのチームにあった基本戦術が必要だと顕人は考えた。
「山縣の魔法は便利だが、山縣頼みだといざという時に魔力切れなんて事になったら目も当てられない。
かと言って永崎は元より、俺も岩手もまだまだ精度が低いから敵がフリーの時くらいしか危なっかしくて撃てないからなぁ。」
「う…ごめんなさい」
楓は肩を落とした。
「いや、山縣みたいに戦闘に組み込めないって時点で俺も大差ないよ。
岩手も、俺より上手いけど使いどころは俺より考えないといけない魔法だし。」
「…」
「とりあえずだ、各々魔法の練習は魔力のコントロールくらいなら放出しなくてもできるから続けるとして、
敵と出くわした1手目は俺と岩手で魔法を打とう。
山縣の魔法はいざという時にとっておいて、基本は剣で戦おう。
リスクはあるが先の事を考えると今のうちに剣の扱いに慣れることもできるし、魔力の温存も出来る。
突っ込むのは正直怖いが、敵が本格的に襲いかかってくる前に先制して1匹2匹は倒しておきたいな。」
「おー、凄いぞ小野、まるで孔明だな。」
感心しながら顕人が言った。
「まぁ、なんとなくだけど試行錯誤しながらやっていこう。
当然死なない事が第一だから山縣には魔法を使うタイミングとかでちょっと苦労をかけるけどよろしく頼むよ。」
「わかった、カッコいい名前もつけてもらったし頑張るよ。」
顕人はなるべく平静を装いつつもどこかこの状況を楽しんでいた。
これまで友人という友人を持った事がなく、熱い気持ちを抱いたこともない。
ここ(ダンジョン)は彼に図らずしも欲しがっていたものを与えていた。
そして先ほどの戦闘の必死さを思い出し、一つ身震いした。




