第11話:豆腐で人は殺せるか?
現実に一個下の妹がいるんですよ。妹は俺の事呼び捨てにするんですよ。妹の方が身長2、3センチ高いから、兄として見られてないのかな。一回でいいから妹からお兄ちゃんって呼ばれたいですよ
「なぁ、太一?
お前って『モテるための心理学』読んでるんだって?」
「何だそれは?
そんなもん知らねぇな」
太一は目が泳いでいる
「亜紀から聞いたから確かだと思うんだけど」
「なぜ、あいつがそれを?
あれは教室では読んでなくて、図書室で読んでたのに」
「どっちでも一緒だと思うんだけと
まず、学校で読む自体が間違ってないか?」
達也は呆れはてていた
「学校で読んで、女の子を見てそれを確かめたかったんだよ」
「友達だから言うけど、それは当てにならんと思うぞ」
「なぜだ?」
太一は驚いていた
「例えばだ、めちゃくちゃ可愛い子がお茶を間違えてお前の服にこぼしたらどうする?」
「それは当然、大丈夫だよ、気にしないでって言う」
太一は自信満々に言った
「じゃあ、もしそれが不細工な子だったら?」
「それは多分怒ると思う」
太一は気まずいような顔をした
「だろ?
違う人が同じ事をやっても、反応が違うんだよ
爽やかな奴が下ネタを言っても大丈夫だけど、ネチネチした奴が言うと気持ち悪がられるのと一緒だよ」
「じゃあ、これを実践しても無駄って事か?」
「う−ん、無駄とは言わないけど、たいして変わんないと思うよ」
「そうなのか」
太一はかなりへこんだ
「それに書いてあるかどうかは知らないけど、脚を組みかえたら、○○○の合図とか書いてある本があったな」
「それは本当なのか?」
太一は身を乗り出して聞いた
「本当なわけねぇだろ
んなもん。脚を何回もくみかえる女の子なんかいくらでもいるだろ
それに、それはフロイトの考え方だ」
「フロイト?
何だそれ?」
「そうか、お前は知らないか
フロイトって言うのは18世紀のオ−ストリアの精神分析学者でな
人間の生活を深層意識の性欲衝動に求めたんだよ」
「は?
どう言う意味だ−」
太一は理解できないようだった
「例えば、花を捨てたとする
それは欲求不満と解釈するんだよ」
「なんでだよ」
「花につぼみがあるだろ
女性の性器の一部と言うかまぁ何かをつぼみと比喩する場合があるんだよ
それを捨てると言う事は処女を捨てるとかエッチしたいと言う意味に考えるんだよ」
「それはこじつけじゃないのか?」
「まぁ、心理学って言うのは主観が入るし、考えた人の生い立ちや考え方によるからな
それにフロイトの説は現代の心理学者では間違っていると言う人が多い」
「何でだ?」
「フロイトの説は科学的でないからだ
主観が入らないということは有り得ないから、少しならいいのだが、フロイトは主観が入りすぎているからだ
それを偏見とも言う」
「じゃあ、心理学は信用してはいけないと言う事か?」
「嫌、そう言うわけではない
ある程度の成果は得ている
ただ、人間の心なんて100パ−セントわかるわけではない」
「どうゆう事だ?」
「他人にその人の事がすべてるわかるのか?
それが家族や恋人や親友だとしてもだ
人には秘密や人に知られたくない事だってあるし、第一その人自身にだって、自分の心がわからない時だってあるのに」
「ああ、そう言う事か
確かにそれはあるが・・」
太一はまだふに落ちないようだった
「これは哲学の話しになるが、太一の言ってる赤と俺の赤は違うかもしれない」
「何言ってるんだ?」
「元々物に色はないらしい
よくはわからないが線があたって、屈折して見えるらしい
だから、お前が赤と言ったとしても見てるのは青かもしれないと言う事だ」
「いや、それは青だろ?」
「違うよ。
お前が世間一般で言う青を見てたとしよう
しかし、大多数の人はそれは赤と呼ぶ
そうすると、お前はそれは赤と呼ぶんだ」
「じゃあ、俺が世間一般で言う赤を見てたら、それは何と呼ぶんだよ?」
「それは大多数の人が青と呼ぶかもしれないし、緑と呼ぶかもしれない
よって、言葉でわかりあえると言うのは限界があると言う事だ
その結果、人間は100パーセントはわかりあえないと言う事だ」
「じゃあ、わかり合おうとするのは無駄だからやめろって言う事か?」
「お前はさ−、何でそう極端なの?
お前には100か0しないの?」
「じゃあ、何だって言うんだよ?」
「人は100パーセントわかり合えないと思っていてもなお、100パーセントに近づけようと努力したり、わかり合おうとするもんなんだよ
だから人は友達になったり恋人になるんだよ」
「お前って、いつからそんな事考えてるの?」
太一は驚愕の目で見た
「う−ん、中1の終わりぐらいかな
だって、面白いじゃん
ワクワクしてこない?」
達也は楽しそうに語った
「いや、頭痛くなってくるだろう?」
「そうかな
面白いのに」
達也は残念そうだった
「自分は面白くても、他の人が面白いとは限らないだろ?」
「確かにな
自分がかわいいと思っていても、相手はそうか?と言う事があるからな」
中2の時あるアイドルの事を全然可愛くないといったら、友達がはぁ?、お前ばかじゃないの?お前の目は節穴か?
東京湾に沈めてやろうかという事件があったからな
「10人が10人可愛いと言うのはいるかもしれないけど、万人が可愛いと言う女の子はいないからな」
太一は当たり前のような言った
「今思ったんだけど、なんかお前に言われるのって、すごいムカつくんだけど」
「何でだよ?」
「多分お前が『お兄ちゃんと一緒』って言うエロ本を読んでるからだよ」
「なぜそれを?」
太一はかなりびっくりした
「これも亜紀情報だ」
「あいつはスパイか?」
「それに近いな」
あいつはなぜか人の情報や弱みを知っているのだ
俺の家の電話番号も、タウンページに載せてないのに知ってるし
「それで、思ったんだか、太一お前は、<童貞です事件>の前から女子から嫌われてたと思うぞ」
「え、そうなの?
確かにそんな感じはしてたけど」
「ああ、お前は教室で堂々と妹系のエロ本を見てたらしいなぁ
それをクラスの女子が見てたらしいぞ
平均的なエロ本でも女子は引くんだから、まぁ当たり前ちゃ当たり前だな」
「なぜだ−
尾行のコツは、コソコソせずに堂々とする事なのに」
「それは怪しいと思わせない為だろ?
エロ本読んでる時点で怪しいだろ?」
「怪しくなんかない
男して当然の事だ
女の子はそれをわかってない」
太一は嘆かわしいねぇと首を振った
「う−ん
それは心の中で思っていても、口に出さない方がいいと思うよ」
「俺は思った事は口に出す男なんだよ」
う−ん、裏表がないというか、馬鹿というか
多分後者の方だと思うけど
「そう言えば、心理学はある程度成果は得てると言っていたけど、具体的にはどんなんだ?」
「まぁ、わかりやすい例で言えばプロファイリングかな」
「ああ、羊達の沈黙という本の中のか?」
「あれは誇張されてるがな
プロファイリングだけで犯人を捕まえる事はできない」
「どうゆう事だ?」
「プロファイリングとは魔法のようなものではない
ドラマや小説のように犯人をつきとめれるものでもない
あくまで、科学的に犯人の対象を狭めるものなんだよ」
「そうなのか?」
「そうだ。またプロファイリングは統計的なものであって、100人100色なのだから必ずそれが当てはまるわけでもない
それに歩いて聞く捜査がなくなるわけでもない
プロファイリングは一つの道具であるので、最終的にはお偉方がそれを決めるのさ」
「へぇ−、でも前の事件では失敗したじゃん」
「太一にしてはよく知ってるな
前の事件はプロファイリングがあたらなかったと言われているけれど、あれは限られた情報でやったからだ
何度もいうが、プロファイリングは魔法ではないので、確かな情報があればあるほど、精度が上がるんだ
しかしこれは素人ができるものではない
テレビで心理学の教授がでてあれこれいっているが、所詮犯罪心理学に関わっていないので、素人同然なんだよ」
「でも、それってさプロファイリングを知っている人がいれば、関係ない証拠をたくさん残して捜査を撹乱する事ができるんじゃないの?」
「だから、プロファイリングをする人(心理捜査官)はつねに情報をあつめて慎重に事を行なわなければいけないんだよ」
「そうなんだ
きっとこれが愛なんだ」
「わぁ−、何か歌詞パクってる
何の曲かは言わないけど」
「それって昔のジャニーズの曲の歌詞ですよね?」
「わっ、お前いつからそこにいたんだよ」
達也は驚いた
それも当然だ
なぜなら達也の後ろに亜紀がいたからだ
「なぁ、太一?お前ってモテるための心理学からですよ」
「最初からじゃん
太一何で言ってくれなかったんだよ
それ以前に何で俺気付かないの?」
「山口先輩が言わなかったのは、私が目で脅したからです
達也さんが気付かなかったのは私が気配を消してたからですよ」
亜紀はさも当然のようにいった
「お前は忍者か?」
「達人クラスになれば、気配を消すことも、読み取る事もできますよ」
「高校生が達人クラスになれるなんて無理だろ?」
「無理と思うから無理なんですよ
本当に近頃の若者はすぐ無理って言うからのぉ」
「いきなりおじいちゃんになっちゃった?
痛、痛いから殴るのやめて」
亜紀は達也の頭を思いっきり殴った
「今のはおばあちゃんの真似です
間違えないでください」
亜紀は怒っている
「ご、ごめん」
何で俺が謝らなきゃいけないんだ?
でも、謝らなきゃまた何か言われるからな
「そう言えば、太一って義妹を欲しがっていたよな?」
達也は話題を変えた
「お前の妹くれるのか?」
太一は目が爛々(らんらん)と輝いている
「え、達也先輩って妹いたんですか?」
亜紀は驚いたようだった
「ああ、一人な
お前に俺の妹はやらねぇよ
第一人にくれるって言う言葉はおかしい
それは人買いの言うセリフだぞ
それにお前みゆちゃんに嫌われてるだろ?」
「ぐはぁ−」
太一は精神に100のダメージを受けた
「みゆちゃんって誰ですか?」
亜紀は首を傾げた
「俺の妹だよ」
「自分の妹にちゃん付けなんて気持ち悪いですよ」
「ふ、それはみゆちゃんに言われ慣れてるから傷付かないぜ」
「話しがそれてるよ
俺に義妹をくれるんだろ?」
「だれもお前に義妹をあげるなんて言ってないよ
それにあげるくれるはおかしいって言っただろ?」
「じゃあ、何だよ」
太一は拗ねた
「亜紀の妹を紹介するぜ」
「え?水樹って、妹いたの?」
太一は達也の方を向いてしゃべっている
まだ女の子には慣れてないようだ
「いますよ
でも、山口先輩嫌われてるし、堪えられないと思いますよ」
「何でだ?」
「それは亜紀の妹は亜紀以上に毒舌だし、お前の話ししたらキモいって言ってたからだ」
「それはやだな
一応聞くけど、妹にどんな話ししたの?」
太一は恐る恐る聞いた
「女の子とまともにしゃべれないって事と妹好きって事を言った」
「私は顔はパッとしないって言いました」
「何でお前らそんな事いったの?」
太一はしくしく泣いている
「嘘言って気に入られたって意味ないじゃん
それにな、いい奴がいい事をやっても、普通って思われるけどな、嫌な奴とか悪い奴がいい事やると、こいつ結構いい奴じゃんと思うだろ?」
「ああ、いっつも、テストで90点取ってる人が70点取るとどうしたんだって聞かれるけど、30点のが70点取るとすごい褒められる奴ですね?」
「それ微妙に違くねぇ?」
達也はちょっと違和感を感じたようだ
「どっちもちげえよ
それはちょっとやな奴がやったらの話しで、挽回できないぐらいダメな奴はだいぶ頑張らないといけないだろ?」太一は苦々しげに言った
「じゃあ、だいぶ頑張ればいいじゃん」
達也は簡単じゃんと感じでいった
「そうですよ
最初から諦めちゃだめですよ」
亜紀も同じ様に言った
「そんな簡単に言うな
頑張ろうにも避けられてちゃ意味ねぇだろうが」
「ああ、それもそうか」
達也は納得したようだ
「まぁ、どっちにしても山口先輩なんかに妹はあげませんけどね」
亜紀は平然と言った
「お前の妹なんていらねぇよ」
太一は吐き捨てるように言った
「太一諦めよ
お前の描いてるような妹は二次元にしかいないんだよ
いい加減目を覚ませ」
達也は太一の肩をゆさぶった
「うるさい
いるかもしれんだろ
血がつながっていたら無理かもしれないけど、再婚で妹ができたり、養子で妹になったら、わかんねぇじゃん」
太一は力説した
「そりゃあないとは言いきれないけど、少なくともお前は好かれないんじゃないのか?」
達也はさも当然のように言った
「確かに私も絶対好きになりませんもん」
亜紀も当たり前のように言った
「なぜだ−
俺のどこがいけないんだ−」
太一は手をグ−にして言った
「全部ですよ
そのパッとしない顔も下心丸出しな所も性格も全てです」
亜紀は本当に嫌そうな顔をした
「うわ−ん
豆腐の角に頭打って死んでやる」
太一はいつものように泣きながら教室を出ていった
「豆腐の角で人は死なないと思うな」
「液体窒素で固めたらどうですか?」
「液体窒素で固めた豆腐は表面が凍るだけで、中までは固まらないよ
だいぶ痛いけど、死にはしないよ」
「何でそんな事知ってるんですか?」
亜紀は驚いたようだった
「太一に試した事があるから
一回それで殴ったら角がかけちゃったんだよね
その時に太一が痛そうにしてたから」
達也は懐かしそうに言った
「まぁ、山口先輩なら別にいいですけど」
亜紀はどうでもよさそうだった
「やった人が言うセリフじゃないけど、よくねぇよ」
もし、これをやったら犯罪になりますよ
これをやられていい人なんていませんから
「じゃあ、液体窒素で固めた豆腐をたくさん用意すれば死ぬんじゃないですか?」
亜紀は疑問をていした
「そうまでして、豆腐の角で人を殺したいの?
しかもそれは完璧に犯罪だよ
死刑になるかもしれないじゃん」
達也は亜紀の事が怖くなってきた
「日本では一人殺しただけではなかなか死刑になりにくいですよ」
「基本的にはな
でも、計画性があったとか、殺し方が残酷だと死刑になるぞ」
これは間違ってるかもしれないから、実行するのはやめましょう
「では、豆腐で人を殺すのは?」
亜紀はなおも食いついてきた
「さあ、判例がないからわかんねぇな
なにしろ、豆腐で人を殺した奴いないし
まぁ、残酷かどうかは微妙だけど、殺意は明らかにあるよな」
どっちにしろ、刑務所は確定だろうな
「まぁ、刑務所に入ってまでそんな事したくないから、やりませんけど」
亜紀は真顔でいった
「ああ、しない方がいいな」
達也はウンウンと頷いた
「豆腐の種類によってはどうなんでしょうかね?」
亜紀はまた聞きだした
「何でまた言い出すんだよ」
達也は頭が痛くなってきた
「やらないにしても、考えるだけは自由ですよね?」
「まぁ、自分の頭ん中までは束縛はされねぇな」
行動に出した時に道徳に反するって言われるぐらいだからな
「だから言ったっていいじゃないですか?」
「なら答ておくが、どんな豆腐だろうと、人は殺せないよ」
「そうですか
でも、相手も惨めですよね
豆腐で死ぬなんて
どうせなら、美少女を守って死にたいですよね」
亜紀はしみじみ言った
「いやいや、まず前提が間違ってるよ
まず死にたくないでしょ
しかも、それ完璧男目線じゃん」
「しかし、男は一命をとりとめる
美少女は助けてくれたお礼に治るまで看病をするんです
そして、そうしていく内に二人の間に愛が目覚める
しかし、二人には障害があった
なんと彼女の父は大会社の社長で彼女を政略結婚をさせてようとしていた
この障害をどう乗り越えるのか?
果たして、二人は結ばれるのか?
この内容を見たいなら、月9をご覧下さい」
「何そのベタなドラマ?
どうせ、最後には結ばれるんだろ?
しかも、月9でそんなんやってねぇよ」
「最終回で男は父親によって職を失わされるんです
美少女も家に監禁されるんです
しかし、女はなんとか家を出て男に会うんです
男は心神共に衰弱してるんです。
女は現世では結ばれないと思ったから、あの世でと、二人で心中してしまって終わりです」
「何そのバッドエンド?
月9ではハッピーエンドでないにしても、バッドエンドはないと思うよ」
「現実なんて所詮そんなもんです」
こいつ本当にいい性格してるよなと思った今日この頃であった




