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異世界で、のんびり趣味に走りたい  作者: チカ.G
都市ケートン ー 鉱山に行こう
94/345

93.

 ちょっと短いです、すみません。m(_ _)m


 結構長くなってきました。

 とはいえサブタイトルを思いつくだけの発想力もない私です。

 それでも少しだけでもわかりやすくと思って章管理もどきをしてみました。

 お役に立てればなによりです。

 『あそこですよ』

 スミレが指差す方向には1つの闇のボールがある。

 ミリーはその闇に向かって歩いていく。

 「おい、本当にミリーでも大丈夫か?」

 『大丈夫ですよ。ミリーちゃんは猫系獣人ですからね、何かあっても敏捷性はコータ様より遥かに上です』

 いや、そりゃあそうだろうけどさぁ。

 「ムカデとかゴキとか、いないだろうな?」

 『大丈夫ですよ。もう、心配性ですね』

 「そりゃ心配するに決まってんだろ? ミリーはまだまだ子供なんだからさ」

 『ミリーちゃんは大丈夫です。心配するよりも頑張るところを褒めてあげてください。今のあの子に一番必要なのは心配される事よりもコータ様に頼りにされる事ですから』

 それってやっぱりまだ不安があるって事なんだろうな。

 「判った・・・・ミリー、頑張れよ」

 「コータ? うん、がんばる」

 急に声をかけられてびっくりして振り返ったものの、俺とスミレに笑顔で返してくれる。

 ミリーは俺と違って闇の中に手を突っ込むという事に抵抗はないのか、ズボッと突っ込むとそのまませわしなく両手を左右に動かしている。

 「うわっ」

 ハラハラしながら後ろから見守っていた俺の口から声が漏れた。

 ミリーが頭を闇の中に突っ込んだからだ。

 「スミレっ、あれ、大丈夫なのか?」

 『大丈夫ですよ。ミリーちゃんは体が小さいから闇纏苔やみまといごけまで手が届かなかったから上半身を中に入れたんでしょう』

 ランタンの明かりに照らされて見えるのはミリーの下半身だけという状況にテンパってしまっている俺とは正反対に、スミレはとても冷静に分析して応えてくれる。

 でもさ、下半身だけしか明かりに照らし出されない、というのは尋常じゃないんだぞ?

 判ってるのか、スミレは?

 「あっ」

 ミリーの手が出てきたかと思うと、リュックサックを背中から下ろした。

 でも頭は闇の中だからちょっとホラーな絵柄だよ。

 ミリーはそのままリュックサックを闇の中に入れると、また俺から見えるのは彼女の下半身だけになる。

 ハラハラしながら時折動くミリーの下半身をじっと見つけていると、不意にパッと彼女の全身が現れた。

 『無事に闇纏苔やみまといごけの採取ができたようですね』

 「う、うん」

 あまりにも唐突に上半身が現れたところはまるで手品のようだった。

 「コータ。コケ、とれた」

 「お、おう。ミリーは凄いなあ」

 「これ、わたしの、リュックに、いれる」

 「俺が持っててもいいぞ?」

 「だいじょぶ」

 俺とスミレのところに戻ってきたミリーは、テキパキとリュックサックの中から俺が持っていたのと同じような筒状の皮袋を取り出すとそこに仕舞った。

 『ミリーちゃん、ちゃんと蓋が仕舞ってるか確認しましたか?』

 「したよ」

 『偉いですね。これでもう少し頑張ればミリーちゃんもオレンジ色のカードになりますね』

 「うん、がんばる」

 オレンジ色のカードと聞いて、ミリーは更にやる気になったようだ。

 どうやら俺とカードの色が違う事が不満らしい。

 そんなミリーの頭を撫でてやる。

 やっぱり、ミリーは可愛いなあ。






 それから俺とミリーは交代で闇纏苔やみまといごけを採取していく。

 普通なら1日に2−3つ採取できればいい方らしいが、俺たちには探索ができるスミレが付いている。それにスミレが作ってくれたランタンは特製でかなりの光量なので、2つもあれば坑道の中は部屋の中のように明るい。

 だから闇纏苔やみまといごけの作り出す闇を見つけるのも容易い。

 「とれた」

 ミリーはそう言いながら入れ物を手に俺とスミレのところに戻ってきた。

 「これで何個目だっけ?」

 『コータ様、ミリーちゃん、ともに5個ずつですから10個になりますね』

 「依頼の数って5個だったよな? じゃあ十分か」

 『そうですね』

 半分は薬師ギルドに納品して、残りは俺が手元に置いておけば魔力回復ポーションを作る事ができる。

 今までは体力回復ポーションしか作った事なかったからな。

 これで2種類は作れるって事だな、うん。

 「そういや今何時だ?」

 『今はあとの5時になります』

 午前中を前の何時、午後をあとの何時、という言い方をするんだったよな。おまけに1日は20時間だ。なかなか覚えにくいが、それでもこの世界で暮らすために慣れないといけないって事で、時間に関してはスミレにはこの世界の時間を使うように頼んである。

 重さとか長さとかは言い方が違うだけでほぼ一緒だから楽なんだけどな。

 時間ばかりは仕方ない。

 んで、今はあとの5時って事は・・・元の世界の午後6時ってところか。

 「結構長い時間頑張ってたなあ。んじゃそろそろ休むか?」

 『はい、それがいいでしょうね』

 「でも、どこで、休むの?」

 今夜は坑道の中で1泊するという話は昼飯の時に話してあっただけど、ミリーはどこで寝るのか気になるみたいだ。

 『坑道の中には複数カ所休憩のための広間が作られています。ほら、お昼ご飯を食べたちょっと広い場所を覚えてますか?』

 「うん」

 『あんな感じの場所がたくさんあるんですよ。ですのでその内の1つに行って、今夜はそこで休みましょう』

 「わかった」

 スミレの言葉にミリーは皮袋に採取した苔を仕舞いながら頷く。

 「坑道にある広間だったらちょっとした結界があるから、虫は入ってこれないからゆっくり休めるぞ」

 「コータ・・虫、怖い?」

 「へっ? こ、怖くはないぞ。でも寝てる時にあんなのがそばに来たら気持ち悪いだろ?」

 「ん・・・そ、かな?」

 「そこで考えるなよ、ミリー。おまえ、寝てる時に虫が顔の上を横切ったら嫌だろ」

 「それは、いや」

 それで納得したのか、ミリーは俺を見上げて頷いた。

 虫が平気なのは獣人だからか、子供だからか。どっちにしても逞しいよ、全く。

 「でも虫、仕留めると、お金、になるよ?」

 「うん、そうだな。でも俺は寝る時くらいは虫に顔を踏まれる心配なんかしないでぐっすり寝たい」

 今日、移動中にゴキと遭遇した、しかも2回。

 でもどちらもミリーがあっという間に仕留めてしまった。

 彼女の腰に差している短剣はスミレが作ったもので、解体用の筈なんだけどなあ。

 それであっさりと仕留めるミリーはさすがというかなんというか・・・

 おまけにミリーが仕留めたゴキ、いやカルッチャは触覚を持って帰ればお金になるという事で、ミリーのリュックの中には触覚が4本入っているんだよ。

 もちろんスミレが出した布に包んでたけどさ、俺のバックパックやポーチには絶対に入れたくないぞ。

 「できた。コータ、しみゃった、よ」

 「おっけ、じゃあ移動するか」

 『判りました、先導します』

 「道案内よろしくな、スミレ」

 リュックサックを背負って立ち上がると、ミリーはスミレのすぐ後ろに付いていく。

 坑道に入ってから移動はスミレ、ミリー、と並んでしんがりは俺だ。

 『コータ様、ランタンを1つポーチに仕舞ってください。それからミリーちゃん、もう1つのランタンを持てますか?』

 「もてるよ」

 「ランタン仕舞っていいのか?」

 不意に止まったスミレの指示に、俺とミリーが返事をする。

 『そろそろ鉱夫とかち合うかもしれませんからね。もしかしたら間に合わないかもしれませんので、今から準備をしておいた方がいいと思いました』

 「そりゃそうだな。ミリー、大丈夫か? 持ちにくかったら俺が持つぞ?」

 「だいじょぶ。もてる」

 既にランタンをスミレから受け取って持っているミリーを見たけど、別に重そうにしてないから大丈夫か。

 それを確認してから俺もランタンを受け取って消してからポーチに仕舞う。

 『一応旧坑道内にある広間を選ぶつもりなので鉱夫とかち合う事はないと思いますけどね』

 「旧坑道にある広間だと結界はないだろ?」

 『はい、でも私の結界がありますから大丈夫ですよ』

 「そりゃそうだけどな」

 『結界の魔法具を持ってきたといえば気にしませんよ』

 「まあ、その方がこっちも都合がいいか」

 『はい、どうせコータ様はポーションを作りたいでしょうからね』

 バレバレだ。

 でもさ、せっかく見つけた魔力回復ポーションの材料だ。使ってみたいって思うのは当然だろ?

 「ミリーもそれでいいか?」

 「どこでも、いいよ?」

 「んじゃ、スミレ、それで行こう」

 『判りました』

 俺たちはまたスミレの先導について今夜の休憩場所である広間を目指した。

 





 読んでくださって、ありがとうございました。


 お気に入り登録、ストーリー評価、文章評価、ありがとうございます。とても励みになってます。


Edited 02/25/2017 @00:07  読者様のご指摘により、誤字訂正しました。

腰に差している探検 → 腰に差している短剣   ありがとうございました。

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