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七年ぶりに再会した幼馴染~昔のように接していたら幼馴染の様子がおかしい~  作者: 紙缶


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3/3

第3話 帰宅

「取り合えず、移動しようか?」


周藤直との再会の衝撃が抜けないまま立ち尽くしていた時に、

律がそう言って歩き始めた。


昇降口前で話し込んでいたからか何人かの生徒がこちらを見ていた。

私たちは顔を見合わせて律の後ろを追いかけた。


身長差による足の長さのせいか、直が先に律に追いついた。


後ろから直を観察する。

高くなった身長、短くなった髪、広くなった背中、がっしりした肩幅……

私の視線の先は直の肩くらいの高さしかない。


(身長……大きいなぁ)


昔は私が数センチ高かった。

「なおちゃん」の顔を見るといつも目があっていたが、

今では私が見上げないとまともに顔をみることもできない。


(……こんなに大きくなりやがって!!)


昔と違う視線の高さに無性に怒りがわいてくる。

そして、自分の成長について考える。


(ま、まだ大丈夫、15歳だし、牛乳毎日飲んでるし、ちょっと遅めの成長期でまだ来てないだけだし……)


この7年でものすごく成長した直に嫉妬してしまう。


(その身長少しはよこせ!5センチでいいから!!)


そう思い、直を睨みつける。

律とコソコソ話していた直は私の視線に気が付いたのか、後ろの私を気にするようにチラチラと見ている。


その表情で「ああ、この人はなおちゃんなんだなぁ……」と思った。


(なんか……モヤモヤする……)


胸の奥がモヤモヤしてどう言っていいのかが分からなくなってくる。

律はすでに受け入れているのか、私と直の気まずい雰囲気を楽しそうに見ている。


そんなことを考えていると、歩きながら直が私たちに聞いてきた。


「これからどうする?」


と彼は気遣うような目で私たちを見ている。


「入学式だけだったから、時間はあるけど……どこか落ち着いて話せるところある?」

「この辺ならカラオケとか喫茶店とかならあるけど……」

「私、あんまりお金持ってないんだよね……」

「……どうしよっか」


私と直が頭を悩ませていると

律が


「なら家に来る?」


と言った。


「「えっ!?!?」」


私と直の声が重なった。


「話するなら家が一番いいだろ?それに家知っといてもらいたいし」


と続けた。


「いやいやいや、いきなり家に行くのは……」

「僕は大丈夫だよ?今家に母親しかいないし、親にも再会したこと話したいし」

「律は大丈夫だと思うけど……」


そういって直は私をチラチラと見てくる。

律は肩をすくめて言った。


「別に怜の部屋に入るわけじゃないしいいんじゃない?」

「い、いいのかなぁ……」

「……それとも直は怜の部屋に入りたいの?」


と律はニヤニヤしながら直をからかっている。

すると、直は叫んだ。


「そ、そんな訳あるか!!」

「そんなに否定することないじゃん!」


私は全力で否定する直の背中を思いっきり叩いた。


「痛っ!?!?」

「いいから家に行くよ!!」

「で、でもぉ……」


まだ尻込みしている直の前まで歩いていった。


「それに、幼馴染なんだからあんまり気を遣わないで!!」


そういって直の手をつかんで歩き始めた。


「く、倉谷さん!?手!手!!手ぇ~~~」

「手くらい幼馴染だったら繋ぐでしょ?」

「~~~~!?」


私は後ろを振り返らず、そのまま家へ向かって歩き始めた。


後ろから律の笑い声が聞こえた。

……家に帰ったらお仕置き確定だ。


~~~~


直の手を引っ張ったまま家に着いた。

二階建ての我が家の前で手を離す。

後ろを向くと膝に手をついた直の顔が真っ赤に染まっていることが分かった。


「なおちゃん大丈夫??顔が真っ赤だよ??」

「えっ、あ、だ、大丈夫……です」

「ホント?熱でもあるんじゃない?」


そう言って、私は直の前髪を上げて額に手を当てた。


「ん~~ちょっと熱っぽいけど、ほんとに大丈夫なの??」

「!?!??!?」


すると直は私の手から逃げるようにして飛び退いてしゃがみ込んだ。

顔を膝と腕で完全に隠してしまっている。


(そんなに私に触られるの嫌だったの!?)


直は顔を隠したままその場から動かない。

律はそんな直の肩をポンポンと叩き、私には「先に入ってて」とでも言うように家を指差した。

その反応に少しイラっとしてしまう。


(なんか私が邪魔者みたいじゃない!!)


「私、先家に入ってる!!」

「着替えてリビングで待ってて」


律がそういったのが聞こえたが、無視して家の中に入った。


「ただいま!!」

「おかえりなさい」


リビングからお母さんの声が聞こえた。

私はリビングに顔を出す。


お母さんはソファーに座ってテレビを見ていた。

私がリビングに来たのに気付いたお母さんは顔だけこちらに向けてきた。


「おかえりなさい。律は?」

「まだ、外。今なおちゃんの相手してる」

「なおちゃん?」


お母さんの頭に疑問符が浮かんでいる。


「ほら、こっちから引っ越す前によく遊んでた子だよ」

「あ〜!!思い出した!!えっ?同じ高校だったの?」

「うん。律が同じクラス」

「へー、そっか〜。どうカッコよくなってた?」


カッコよくなってた?

お母さんは確かにそう聞いてきた。

心なしかお母さんの目がキラキラと輝いているように見える。


私は思わずお母さんをジト目で見る。


「お母さん、なおちゃんが男の子って知ってたの?」


私がそう聞くとお母さんはキョトンとした顔になった。


「えっ??」

「だ~か~ら~!なおちゃんが男の子って知ってたの!?」

「……むしろ知らなかったの??」


お母さんが信じられないものを見るような目で私を見ている。

私はお母さんから逃げるようにリビングの外に足を向けた。


「そのことについてこれから尋も……オハナシをするから」


そう言って2階の自分の部屋に入って制服からいつもの部屋着に着替える。

私が2階から降りてきているとちょうど玄関が開いた。


「ただいま~」

「お、お邪魔します……」


律と直が家に入ってきた。

私に気が付いた直が階段から降りてきた私を見て思いっきり吹き出した。


「ななななっんて格好してんだ!!」

「はぁ??」

「下!下、したぁ~~」

「下??」


私は自分の姿を見た。

いつものようにTシャツ(律のお下がり)、中学時代の体操服の短パンである。

短パンが膝上丈になっているが、Tシャツが大きくの裾が膝より下になっている。


下を見てもいつもの格好だから直がなんで慌てているのかが見当つかない。

直は両手で目を覆っているが、時折、指の隙間からこちらを見ている。


「下がどうかしたの?」

「ず、ズボン!!ズボンはどうした!!」

「ズボン?」


(何言ってるんだろう?ちゃんと履いてるのに)


「ズボンなら履いてるよ?」

「ほら」と言って、短パンが見えるくらいまでTシャツの裾を持ち上げた。


「くぁwせdrftgyふじこlp」


直はまた、声にならない声を出して玄関で蹲ってしまった。


「「はぁ~~~」」


玄関とリビングの入り口から同時にため息が聞こえた。

律とお母さんは同時に2階を指差した。


「「とりあえず、もう一回着替えろ(てきなさい)」」


……解せぬ。


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