表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七年ぶりに再会した幼馴染~昔のように接していたら幼馴染の様子がおかしい~  作者: 紙缶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/3

第1話 再会

校門までの桜並木の中を歩いていく。

桜の花びらと一緒に私の髪も風がさらっていく。


私たちは校門をくぐり、昇降口前の掲示板に足を止めた。

掲示板にはたくさんの新入生がいる。

生徒たちに囲まれているため、掲示板が見えにくく、

背伸びをしてみたが眼の前の人の背中しか見えない。


頭の少し上からため息が聞こえた。

ムッとして、上を見上げると、弟の律が呆れたような目で見ている。


「はぁ……怜、僕が見てくるからここで待ってて」


そう言って掲示板に向かう。


「待って、私も見たい!!」


律からはぐれないように制服の袖を掴んだ。

律は少し困ったような顔をしたが、そのまま掲示板の前まで歩いていく。


周りの生徒が少し騒がしくなった気がしたが、気にせずに掲示板の名前を確認する。

背が低いので上のほうを見るのに苦労したが、ようやく自分の名前を見つけた。


-----

1年3組

倉谷怜(くらやれい)

------


(やった!見つけれた!!)


律より先に見つけられただろう。

小さくガッツポーズをする。


「律~私のクラス見つけたよ!3組だった!!」

「僕も見つけた」

「どこのクラス?」

「5組だった」


「どれどれ~~」と言いながら私は自然と律の腕に抱きついた。

「ちょ、怜……!」


律が何か言いかけていた気がするが、私は気にせず掲示板へ目を向けた。

律の声が気になったのか周りの視線が少し集まった。

何やら「キャー」やら「マジかよ……」などと聞こえる。

きっと友達とクラスが同じだったり分かれたりしたのだろう。

周りの視線を気にせずに、私は5組のクラス表を確認する。


------

1年5組

倉谷律(くらやりつ)

------


「おぉ~ホントだ!!」

「ウソ言ってどうするんだよ……」


律はそう言って頭を抱えながら、ため息を吐いた。

朝からずっとため息ばかりでどうしたのだろうか?


「ため息ばかりだと幸せが逃げちゃうぞ?」

「……誰のせいだと!!それといつまで抱きしめてんの?」

「ああ、ゴメンゴメン」


私は律の腕を離した。

律のクラスメイトの名前を見ていると気になる名前を見つけた。


------

1年5組

周藤直(すどうなお)

------


(すどう……なお?……どっかで聞いたことあるような??)


私は律に聞いてみた。


「ねぇねぇ、律~周藤直ってどっかで聞いたことない?」

「あの子でしょ?引っ越し前によく遊んでた女の子」

「ああ!!なおちゃんだったっけ?懐かし~~」


私たち姉弟とよく遊んでいたなおちゃん。

幼稚園から小学2年生の春休みまで毎日のように遊んでいた幼馴染だ。


なおちゃんは泣き虫で、私にとってはほっとけない妹のような存在だった。

肩より少し長い髪をヘアピンやヘアゴムでよくまとめていたのを覚えている。

あれからもう7年も会っていない。


「いや~あの泣き虫だったなおちゃんがどんな子になってるか楽しみだな~~」

「律の今の姿だったら分らないかもな……」

「まあ、私も()()()()()()()に成長したし、多少は分らないかもしれないね!髪も伸びたし!!」

「……まああの頃と比べるとねぇ」


律が何か含みを持たせたようなことを言ってきた。

私は無言で律の脇腹をつねる。

「ウッ」と聞こえたが、姉を敬わない弟など知らない。


昔は私のほうが背が高く、二人とも髪も短かった。

近所の人たちにはよく()()と間違えられていたのを覚えている。

律は中学生になると身長がぐんぐん伸びていき、今では()()と間違えられることがほとんどである。


私がそんなことを考えると律は少し眉をひそめながら言った。


「まぁ、同姓同名の別人の可能性あるけどね」

「そんなわけないよ!『周藤直』なんて珍しい名前だもん!」

「……まぁ、本人だったらラッキーくらいかな?」


そう言って律は肩をすくめる。

その様子に私は律の顔をジッと見つめる。


「律が一番仲良かった子だと思ったけど、違ったっけ?」


私がそう聞くと律は呆れたように笑った。


「どっかの誰かさんに振り回されてた被害者同士なだけだよ」

「そ、そんなこと……ない、はず……」

「それに泣いてた原因は主に怜のせいだったぞ」

「……キオクニゴザイマセン」


律の視線から逃れるように顔を背ける。

また、頭の上からため息が聞こえた。


「まぁ……本人って確認できたら捕まえとくよ」

「うん!お願いね?」


私たちは校舎の中に足を踏み入れた。


律と別れて1年3組の教室に入ると一瞬静まり返ったが、すぐに喧騒が戻ってきた。

座席表を確認し席に着いて周りの様子を確認する。


同じ中学の出身だろうか?何人かで集まって雑談をしている生徒や緊張のためか席で大人しくしている生徒などいろんな人がいた。


私は大人しく席に座る。

本当は席の近くの人とおしゃべりしたいが、律から昨晩「初日はくれぐれも大人しくしていてくれよ……」と懇願された。


(全く律のやつ!姉を何だと思ってるんだか!!)


家に帰ったらどうお仕置きしてやろうかと考えていたら、いつの間にか入学式が終わりクラスの自己紹介が始まっていた。


私の番だったのか担任の先生に自己紹介するように促される。

私は自己紹介のため、深呼吸をして立ち上がった。


律はよく、

「怜は黙ってれば知的美人に見えるから、あまりしゃべるな」

と言っていた。

それを聞いたとき膝蹴りをしたが、躱されてしまった。


向こうの友達も、

「外面と中身のギャップがすごい」

「見た目は美少女、中身は幼女」

「歩く台風系幼女」

などと好き勝手言っていた。

まったく失礼な話である。

……まあ、お菓子をもらったら忘れてしまったのだけど。


(みんな見てろよ!この学校では知的クールビューティーキャラで行ってやる!!)


「倉谷怜です。これからよろしくお願いします」


そういってお辞儀をして軽く微笑む。


(ふっ……決まった)


私はそう思い周囲を見渡す。

女子生徒たちは私を見て小声でこそこそ話しているが、男子生徒の数名が少しボーっとしているような感じになっている。

入学式で疲れたのだろう。体調には気を付けてもらいたいものだ。


自己紹介が終わり席について他の生徒の自己紹介に耳を傾ける。

全員の自己紹介が終わり、あとは帰るだけになった。


配布された教科書や配布物をカバンの中に詰めて、帰ろうと席を立ちあがると前の席の女子生徒に話しかけられた。


「倉谷さん、もう帰るの?」

「はい、弟も待っていますので今日は帰ります」

「そっか~~。これからよろしくね?」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」


私はカバンを持って教室を出て昇降口へ向かう。

律とは事前に昇降口前で待ち合わせの約束をしていたのだ。


靴に履き替えてると律を見つけた。

私は律に近づいて服の袖口を引っ張った。


「律、お待たせ。帰ろっか?」

「……いちいち袖を引っ張るなよ」


そういって腕を振り、私の指を外した。


(こ、コイツ……振りほどくことないでしょ!!)


律を睨みつけようとしたら、目の前でポカーンとしている男子生徒が目に入った。


律よりはほんの少し背が高く、

黒髪黒目の普通の男の子だ。


私と律を交互に見て、

何か言いたそうに口を開けたまま固まっている。


私はその男の子を見て、一瞬だけどこかで見たような気がした。

けれど思い出せず、慌てて笑顔を作った。


「初めまして、律の友達かな?これから仲良くしてあげてね?」

「えっ……あの、は、はじめ……まして?」


男の子は困ったような顔のまま、律に聞いていた。


「律、お前妹なんかいたのか?」

「あ~~、こいつは……」

「私は妹じゃなくて、姉です!!」


そういうと男の子は目を見開いたが、何も言わずに顔を俯かせた。

私は文句を言うために、男の子にずいっと近づいた。

俯いた顔を見ようとすると、自然と見上げる形になる。


「おい、言いたいことがあるなら聞こうじゃないか?うん??」

「!?!??!?」


男の子は私に驚いたのかすごい勢いで後ろに飛び退いた。

顔が真っ赤に染まった男の子は口をパクパクしながら律と私を交互に見ている。

律は笑いながら男の子を紹介した。


「こいつはクラスメイトの周藤直。直、こっちは俺の双子の姉の倉谷怜だ」


「えっ!?!?」

「ふぇっ??」


律はなんて言った?

目の前の男の子が『周藤直』?


私が知っている『周藤直』は髪が長い、妹みたいな女の子だ。

目の前にいる『周藤直』は髪が短い男の子だ。


向こうも混乱しているのか、呆然と私を見つめている。

その表情は記憶にある「なおちゃん」を彷彿とさせるものだった。

試しに昔の呼び名で呼んでみる。


「な、なおちゃん?」

「れ、れいちゃん?」


向こうも昔の呼び名で呼んできた。

私のことを「れいちゃん」と呼ぶのは後にも先にも「なおちゃん」だけだった。


(なおちゃんが男だった……じゃあ私、ずっと勘違いしてたってこと!?)


「「ま、マジかぁ……」」


私は思わず天を仰いだ。

その様子を見て律はクスクスと笑っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ