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【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~  作者: ざつ
第二部 人類統合戦争 編

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第六十四話:武人の絆:辺境連合との合流準備

 教団との激戦、そして多方面作戦の成功から数日後。ヒカルは、新たに加わったリリアの献身的な近接護衛と、6龍姫の絶え間ない愛の調律という重圧に晒されながらも、戦況の分析を続けていた。


 司令部には、磐石の守護龍テラが、辺境12国連合との同盟に関する最終報告を携えて戻っていた。不動の防衛将ガイアは、現地に残り軍事指導を継続中である


あるじよ。辺境12国連合総帥リヒター殿との同盟は、盤石です」


 テラは深々と頭を下げ、その顔には安堵と母性的な誇りが滲んでいた。


「リヒター殿は、わらわの母性的な愛とガイアの指導が示す防御戦術の優位性を理解されました」


 テラがガイアの言葉を代弁する。


「王よ。リヒター殿は、王の優しさが古王残党や通商連合の裏切りを瞬時に制圧した運用力を見て、さらに強い信頼と期待を持っております」


 テラは続けた。


「わらわは指導を通じて、リヒター殿に『あるじの優しさは、戦術的な合理性を持つ』と説き、王の統率力を評価させました」


 リヒターは同盟締結の証として、人類側の腐敗分子に関する極秘情報を提供したという。


(テラの献身的な愛とガイアの武人としての誠実さが人類側の最も硬い信念を打ち破った。この同盟は今後の戦いに不可欠だ)


 ヒカルはテラの頭を優しく撫で、心からの感謝を示した。


「よくやった、テラ。お前の献身的な愛は、人類側との共存という、王の最も難しい義務を果たすための礎だ」

「あ、ありがとうございます! 主様!!」


 ◇◆◇◆◇


 テラへの賞賛と愛の言葉は、司令部に控える紅蓮の激情竜姫レヴィアの嫉妬の炎を一瞬で燃え上がらせる。


 レヴィアの炎の髪が逆立ち、ヒカルの絆の共感者に感情値(嫉妬)99%という警告音が響き渡る。


「ちっ!またその地味で過剰な母性的な愛に王の心が奪われたわ!」


 レヴィアは、地団駄を踏むような勢いでテラとヒカルの間に割って入り、情熱的な抱擁を仕掛けた。その動作は、王妃の威厳というより、おもちゃを取られた子供のように大げさだった。


「夫! 貴方の疲弊は、あの地味な薬草料理よりも、私の情熱的な愛の炎で癒されるわ! テラの愛は非合理的よ!」


 テラは穏やかな微笑みを崩さないまま、レヴィアの激情を静かに牽制する。


「レヴィア姉様。情熱的な愛は、王の心身を燃やし尽くします。わらわの愛は、王の生命線という、最も重要な兵站を担っておりますゆえ」


(テラの感情値:献身99%/対抗心40%。レヴィアの激情を論破したわ。王への愛の独占は、武力だけでなく、献身という地味な領域で証明される)


 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静な瞳でこの王妃争奪戦の構造を分析していた。


(テラの母性は内政の柱。レヴィアの激情は軍事の柱。どちらも王の愛を独占する権利を持っているわ。私が後れを取るわけにはいかない。王の知性を証明する最高の謀略を練り、私こそが最後に正妻になるのよ。私が、王の愛を独占する!)


 ◇◆◇◆◇


 レヴィアとテラの激しい愛の衝突を収束させた後、ヒカルはテラに同盟の最終的な状況を尋ねた。


「テラ。リヒター総帥が率いる連合軍は、いつ我々の軍に合流するのか?」


 テラは、リヒターから得た情報を整理して報告した。


「王よ。連合軍は、現状、教団の聖騎士団の攻勢とカインの謀略が激化するのを見極めております。総兵力10万のうち、予備兵力を確保した上で、5万の精鋭が攻勢に加わる準備を進めております」


 テラが補足する。


「そして、ガイアは、現地で連合軍の防御結界技術の向上と、盟約軍の兵站ルートの確保にこれまで以上に専念します。これこそが、同盟の軍事的な強化になると信じますわ」


 ヒカルは頷いた。リヒターが提供した「人類側の腐敗分子に関する極秘情報」に目を通す。


「アクア。この情報はカインの権力基盤を揺るがすための戦略的な鍵となる。シエルと共に、彼らの論理的な弱点を突くための謀略を練り始めろ」

「御意、王。私の理性的な愛をもって、カインの論理的な支配を崩壊させます」


 アクアは冷静な表情の中に、知性的な闘志を燃やした。同盟の成立は、テラの愛の証明であり、アクアの次なる戦略の舞台を整えたのだ。


 ヒカルは立ち上がり、テラの功績を称えた。


「テラ。辺境連合との同盟は、この聖教団との戦いにおける最も重要な布石だ。よって、この功績に対し、お前に今夜の『MVPモスト・ヴァリアブル・プリンセス』を与える」


 テラの穏やかな表情が一瞬で崩れ、喜びのあまり目を輝かせた。


「えっ……! わ、わらわが、MVP……! あるじ、わらわの地味な愛が、ついに報われたのですか!」


 テラは喜びのあまりヒカルの手を取り、上目遣いで囁いた。


「今夜のことですが、王のお疲れを癒す愛の調律の義務を、わらわに独占させていただけませんか? 朝まで、わらわの命と全てを懸けて頑張りますわ」

「テラ、わ、わかった。お前の献身的な愛は、この王の心を癒す最大の防御だ。その義務は、喜んで受け入れる」


 ヒカルは、テラのあまりにも大胆で献身的な勢いに、冷や汗を流した。彼は王の公正な裁定を下す義務を思い出し、何とか理性を保ってテラの手をそっと解いた。


「だが、テラ。王の疲弊回復は、軍の継戦能力の最優先事項。過剰な献身は、明日以降の軍務に支障をきたす非合理を生む。故に、『朝まで』の献身は、王の義務として許可できない」

「えええええ、そんなぁ」

「今は戦時だ。許してほしい。王の公正な裁定は、今夜の調律時間を最大限に延長するところまでとする。それが、王妃としての最も合理的な義務の履行だ」


 テラは、王の裁定にしぶしぶ従いながらも、その瞳に優越感を宿した。


「……御意。王の公正な裁定、わらわは喜んで受け入れます。ですが、王のお疲れは待ってくれません。調律は、今からでも始められますよ、あるじ♡」


 このMVP授与とテラによる独占宣言は、レヴィアとアクアに激しい衝撃を与えた。


「なっ……!?テラ、この地味で過剰な母性愛の化身め!王の疲弊を癒すのは、私の炎の情熱的な愛の義務だ!何を勝手にMVPと称して王を誘っている!」とレヴィアは再び炎の髪を逆立てて地団駄を踏んだ。


 特に最近MVPを逃していたアクアは、冷静な仮面の下で凄まじい焦燥に駆られていた。


(ぐぬぬ、テラめ……! このままでは、論理的な正妻の地位が献身という非合理的な力で奪われる……! それだけは絶対に阻止する!)


 アクアは冷たい笑みを浮かべ、ヒカルに宣言した。


「王よ。MVPは戦果に見合った対価。次のカインの腐敗分子を排除する謀略こそ、真の戦略的な価値があります。必ず、私がMVPを奪還し、王の隣に立つ論理的な正妻の座を証明しますわ!」


 ヒカルは、竜姫たちの愛の競争という、最も恐ろしく、最も頼もしいエネルギーに囲ままれながら、静かに次の戦略を組み立てるのだった。


【第65話へ続く】


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